第32話 少し先の未来に向けて。
〘アストリアルチュア寮 自室〙
あの後、僕と彼女はアストリアルチュア寮
の中で別れ、無事に自室に戻った。
それにしても気付いていない内に
どんどん肩書が増えていくのは何故
なのでしょうかヴァルハラさん。
『マスターの胸に手をよく当てて
考えてみれば良いのでは?』
100%ヴァルハラさんのせいだという
結論が出ました。
『心外ですね。』
それで魔力は回復したの?
『基礎機能が使用出来る程度には。』
よしそれじゃあ魔石を手に入れて
さっさと魔力を回復して元に戻るために、
ダンジョンに潜りますか。
――――――――――――――――――――
ダンジョンに潜り魔石を回収し、
ようやくヴァルハラさんの魔力が完全に
回復した。
したのだが、結果としては元の性別に
戻ることは出来なかった。
理由としてはヴァルハラさんと口論した
上でヴァルハラさんに押し負けてしまった
ためだ。口論の内容を要約すると……
『そもそもダンジョンの罠で性転換した
という設定の為、効力が切れたと上に
断定されてしまっては、性別は女性の方に
シフトするしかないのでは?』
というヴァルハラさんの意見と……
「不確定要素が多いダンジョンの罠だから
こそ性転換が再発するかもしれない。」
という僕の意見とがぶつかりあい、
長期戦化するに連れ、いつの間にか
仕入れてきたヴァルハラさんの知識に
押し負けた形になっている。
なので僕はこれからずっと女性として
生きていくという無理難題を押し付けられる
事になってしまった。
って、なんで僕はずっと女性に
なってなきゃいけないんだ。
『女性として振る舞うのですから、
最低限の常識は身につけて
いただかなければなりません。』
常識って、ヴァルハラさんのお陰で
トイレもお風呂も身体の手入れもする必要
無いんだし、それに言葉遣いも
ちゃんとしているから何にも……。
『ファッションセンス。』
うっ……。
『まあファッションセンスに無自覚な
TSっ子もそれはそれで…ん゙っん゙ん。
一応私服を晒すような機会はまだ
無いようなので、これからじっくりと
勉強していきましょうか。』
何か良くわからない単語があったが、
そうだね、はい……。
『それはそれとして、
これからどうするのです?』
どうするって……何を?
『断罪者候補としてまた首席としての
立ち回りや、ブラックパーティの協力者
としての怪しまれない立ち回り。
やる事が多いのでは?
特にこの状態のマスターは
ブラックパーティの協力者として
立ち回っていたので危険性は高いかと。』
まあ、うん。確かにそれはそうだね。
だとしたら僕は何かしら理由をつけて
退学をしようと思うよ。
叡門学園に入っている最中だったら
他の学園の話も入ってくるはずだし。
いざとなったらブラックパーティ側に
完全に付いちゃって何とかしてもらえば
良い。
断罪者候補兼首席として立ち回るんだと
したらある程度のボーダーをクリアすれば
良いだけの話だ。といっても、そのボーダー
は異常な程に高いって話だけどね。
そこら辺に関しては持ち前のバカのような
勉強漬けでなんとかしよう。
たかが一ヶ月でこの世界の知識を
叡門学園の首席に入れるほどに身に着ける
事が出来たんだ。学園で学べる知識ぐらい
どうって事はないと思うよ。
『だと良いのですが……
気にしたほうが負けでしょうか……。』
なるようになれって事かな。
『はぁ……。』
――――――――――――――――――――
次回からは時間が一気に飛び、
新しい章に移ります。
新しい章からはが物語が全く違う
ものになる可能性があるので、
そこら辺はご了承下さい。m(_ _)m
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