第14話 レスバをダンジョンでしてはいけない。(常識的に)

本日1話目です。

――――――――――――――――――――


という事で初級ダンジョン再びである。

とは言っても今日は魔法の訓練がメインだ。


魔法の訓練をするに至った理由は2つある。


一つ目は、魔法が当たり前な人と

そうでない人。当然ながら慣れているかや、

積んできた経験に雲泥の差がある。


二つ目は、来たる学園に向けて、

実戦を積まなくては何も意味が無い。


ならばどうするか。慣れるまで使う。

座学より実戦。魔法の発動、仕組み、

それに応じた用語。

身に染みつくまでやる事にする。


勉学でもそうだと思うが、慣れた記憶は

すぐに思い浮かぶ。忘却曲線というのを

知っているだろうか。復習を定期的に

行うことで忘れにくくなるという内容の

グラフが示されているものだ。

つまり「慣れ」は詰め込み教育のような

短期的なものよりずっと効果があるのだ。


僕はこれを「棚と倉庫」の

例えで考えている。


詰め込み教育で覚えた記憶を棚、

慣れた状態の記憶を倉庫としよう。

倉庫はア○ゾンの倉庫と考えて欲しい。


棚に詰めたものは取り出しやすい。

ただし、際限なく詰めると何処に何がある

のか分からなくなってしまう。


それに棚には限りがある。一気に沢山の

情報を詰めるのにも時間がかかるし、

棚は整理して取り出しやすくしなければ

何の意味も価値もない。


対して倉庫の場合を考えてみる。

倉庫に記憶を詰めるのには莫大な時間が

かかる。それこそ機械を用いても

何時間も待つだろう。


しかしながら倉庫はその分棚より

取り出しやすく、容量が大きい。

棚のごった煮な記憶を探すよりも、

予め整理された記憶を探す方が効率がよい。


慣れというのは極論は反復練習だと思うが、

学校の勉強など、捨てる部分の多い勉強は

詰め込み教育で良いだろうと思う。


どの記憶方法にも利点・欠点がある。

しかし今回は魔法。生涯使う技術だ。

一ヶ月の半分を使ってでも学習する。


しかし今回は地球の頃とは違う。


という訳で早速だがヴァルハラさんを

悪用させてもらった。


『ファイアメントの上位互換は

ファイアメアルです。その上位互換は

ファイアメアルトとなっています。

メント→メアル→メアルトの順番ですね。』


「ファイアメント。」


小さく輝くテニスボールサイズの火の玉。

ふむふむ。体内の魔力は使わないと。


「ファイアメアル。」


輝くサッカーボールサイズの火の玉。

ちょっと体内の魔力を使うね。


「ファイアメアルトっ……。」


発動出来なかったのか、失敗したのか、

不完全な魔法がある。

一応ファイアメアルよりは大きく、

くす玉サイズの火の玉がそこにある。

しかしながら発動して数秒で消える。


身体が急にだるい。また「アレ」か。

というかメアルとメアルトで使う魔力の

落差が激しすぎない?


『マスター。ダンジョン内は危険です。

私の魔力を譲渡して復帰するので

変身して下さい。』


変身するっていってもなぁ……。


「はいよぉ……合言葉とかいるぅ……?」


『我らに光あれ。はどうでしょうか。』


「厨二病。却下。ヴァルハラでいいや。

ヴァルハラ尽く全てを裁く浄化者。」


呼びやすく分かりやすいのはこれだな。

あれだ。スマホのパスワードを覚えるのが

面倒という理由で自分の生年月日を入れる

ぐらい分かりやすい合言葉だ。


『許可を受理。ヴァルハラ起動します。』


機械的な返事の後、例のゴスロリに変身

する。ついでに性別も変わる。


「相変わらず慣れない。慣れたくもない。」


『マスターがこの力を使うならば、

やらなければならない事です。

何かを成すには、何かを捨てなければ

なりません。自尊心であれ、

羞恥心であれ、強くなるには必要です。』


「あ゙あ゙ぁ……。うん。そうだね。」


正論パンチが良く効くね。実際に僕も

そうしてきた。勉強をする為に友を捨て、

恋愛も捨てて、結果として残ったのは3つ。


勉学、目標、ゲーム。


今さら考えるとストイックだと思う。

ストイックな人、現代じゃ少ないもんね。


……僕は何故性転換から人生観を?


『マスターが勝手にノックダウンした

だけです。』


というかそもそも有名な人の名言を

使っていたでしょ。話題で効果半減だよ。


『人は息抜きが無いとストレスを

貯め続け、やがて決壊してしまいます。

出口がないダムが無いように、

人にはストレスを流す穴が必要です。

……せめてマスターが現状の姿に不満が

無いように納得して貰い、

ストレスの軽減を図っていました。』


恥ずかしい、ヴァルハラさんが言っている

事が大分恥ずかしい。


「分かった、分かった。

そこまで聞けたなら十分だよ。

ありがとう。」


『マスターにそう言っていただけるとは

光栄です。』


「マスターって呼び方もなんか変だし、

そら」で良いよ。」


『それではそら

改めて宜しくお願いします。』


「宜しく、相棒。」




――――――――――――――――――――




『大丈夫でしょうか、宙。』


大丈夫、大丈夫。ちょっと羞恥心がね。


『やはり性転換による羞恥心の発生は

抑えきれないのでしょうか。』


いや、違う。違うんだよ。ほら、前の会話。

分からない?恥ずかしいじゃん。


『私はメンタルケアをし、宙は自己の

現状を受け止める行為をしました。

破綻も羞恥も無いはずです。』


えっとヴァルハラさん。一つ言いたいことが

あるの。


『はい。』


確かにヴァルハラさんの見解は合ってる。

だけどね、客観視してみると、

台詞を無駄にカッコつけて言っている

カッコ悪い人なんだよ。


しかも、打ち解けた暁に呼び方を変える。

これすっごいテンプレなんだよ。

駄目だ恥ずかしい。

意識を今だけ手放したい。


自動戦闘オートバトルを起動しますか?』


はい。やります。ちょっと気絶したいです。


『受理しました。意識の譲渡完了。

主核の意識をスリープモードに変更。』


あっ……、しゅんごい眠いぃ……。




――――――――――――――――――――

区切りが悪いよ!!!

という事で2話目をどうぞ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る