第二章 中級者編
長くて短い道のりを歩む
第11話 僕の武器がおかしい。
『ダンジョンの融合開始。
衝撃に備えてください。』
「了解。」
地震と、地面が割れるような音と共に、
ダンジョンの景色が様変わりする。
真っ平らだった廊下は高低差のある地形に。
そして所々、魔石が青や赤などに光り輝く
神秘的な洞窟へと様変わりしていた。
私が高台から見下ろした先には
特徴的な服装の人が3名。学園の生徒だ。
一人は酷い傷。出口も塞がれて……。
その反対には死神のような敵が一体。
魔石濃度の上昇の原因はどうやら
こいつの発散している魔力が原因だった。
黒いローブに白い骸骨のお面。いかにもだ。
私は高台から飛び降り、牽制がてら
銃を撃つ。
しかし、牽制の筈が死神のような
モンスターにヘッドショット。
死神は魔力となって霧散した。
死神の足元だった場所には
大きい魔石がある。ちょっと美味しそう。
いや、美味しくない。
「あの、貴方は……」
おっと。思考に浸っていた。
挨拶しないと。へいヴァルハラ。
女性の挨拶の仕方が分からないよ。
『お任せください。一時的に身体の
所有権を譲って頂ければ、最適解を
実行いたします。』
了解。所有権の移行を許可します。
『受理しました。実行します。』
そういうと、身体が勝手に動く。
身体はカーテシーを行ってこう言った。
『「始めまして。私はヴァルハラと
申します。以後お見知り置きを。」』
うぉーい!何が最適解じゃ!
ゴリゴリの強者ムーブかますな!
って、身体動かせなかったわ。
「ヴァルハラ……さん。助けていただき、
感謝します。えっと、貴方は何者ですか?」
そうだよね。気になるよね。
いいかヴァルハラ。強者ムーブは
しないでくれ、絶対だぞ!
(命令を受理。実行します。)
ほっ。
『「私は通りすがりの冒険者です。
あなた方こそ、こちらで何を?」』
「私たちは、この付近に異常な魔力濃度を
検出してきたという事で、
調査に来ていました。まさかこんなのに
出くわすとは、全くの予想外です。」
彼女は震えた声でそう語る。
語った彼女の拳が強く握られる。
よっぽど、悔しかったんだな。
『「なるほど。理由は理解しました。
次に救助の報酬を貰いたいです。
何事にも対価は必要……そうですね。
この魔石を貰いましょう。
御三方はそれで宜しいですか。」』
「それくらいなら、大丈夫です。
滝は大丈夫……?」
「命が助かるなら……」
『「では交渉成立で。」』
そう言って拾い上げる私の身体。
なんかスムーズに事が運ぶね。
(後で魔石は食べます。)
食べるな!資金源やぞ!
10,000エルの食料とか食べたくない!
(食べないと私は機能が落ちます。)
後で小物を狩るから。それでいい?
(受理します。)
ふう。10,000エルが胃袋で消し飛ぶ所
だった。考えたくもないね。
早急に資金は確保したい。
学園入学のためにも、食料のためにも。
(食料は問題ありません。
私と同期している際は、満腹状態が
続きます。栄養も取れていますよ。)
えっ何その便利機能。
(排泄も不要です。)
排泄は不要……。なんか昔のアイドルだね。
ともかく食料問題、解決!
――――――――――――――――――――
その後、僕……「私」は彼らと離れ、
ダンジョンを後にした。はずだが。
罠多いね。
「パシュッ……「バァン!!」」
ということでことごとく罠を銃で粉砕
しながら、今帰宅している。
矢の罠とか古典的ぃ!
一応、外見がゴスロリなのは
よくないので、元の服に戻している。
ヴァルハラさんに頼んで既に魔法陣と
外見をいじくり回して貰っている。
後は帰還と同時に性転換を解除してもらう。
ようやく、ようやく元の性別に……。
『マスターの外見的に、もうずっと女の子
でも宜しいかと思います。』
宜しくないです。問題大ありです。
やだよ。中身は男性の少女。
『左様ですか。』
それっきり、特に会話もなく
ダンジョンの入口にたどり着く。
ダンジョンの入口には規制線は
貼られており、僕はそれをくぐり抜けて
受付に向かう。
ちなみに銃は持ち運びに邪魔なので、
腕輪になって透明化している。
腕輪は金色の輪に深い翠の宝石が
台座にはめ込まれている。輪には白色の
翼の装飾が輪を包み込むようにある。
よく思いつくねこんなデザイン。
「君!大丈夫かい!」
唐突に声がかけられ、向いた先には
学生のよう姿の人がいる。
「はい、大丈夫何ですが、
罠にハマってしまって……」
「大変だ。……もしかして、その魔法陣
がそのトラップの効果かい?」
「はい……」
「すぐに医者に見せよう。
病院まで一緒に行くかい?」
「お願いします。」
――――――――――――――――――――
次回は他人視点の回です。
なので2話同時に投稿します。(?)
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