☆第7話☆ 初めての初級ダンジョン。

リャールド編の中で今回のみは

文章が増量しています。

――――――――――――――――――――




初級ダンジョンにたどり着く。

受付は、この先か。


「いらっしゃいませ。探検ですか?」


「はい。」


「プレートの提示を。」


そう言われた後、プレートを手渡す。

実は詰め所でとある物を埋め込んで

貰っている。


――――――――――――――――――――


tips:初級認可証しょきゅうにんかしょう


初級ダンジョンに入る際の許可証。

これを入手するには、

単独・パーティーいずれかで

3ダンジョンを踏破する

という条件がある。


しかし、警察等の法的機関の推薦を貰うと

この条件をスキップする事が出来る。


主人公はストーリー中盤において

推薦を貰って初級認可証をゲットしている。


――――――――――――――――――――


原作では主人公が貰っていたが、

そもそも初級認可証は設定資料集でしか

登場していない「知る人ぞ知る物」で、

ストーリーではスキップされていた。

ダンジョン3回攻略は気乗りしないけど、

あの事件のお陰でスキップ出来るみたい。

まあ、流石にあれはトラウマだけど。


とにかく今は一日でも早くお金が欲しい。

金欠なこちらとしては非常にありがたい。


さて潜ろう。ここからがダンジョン攻略だ。




――――――――――――――――――――




関係ない知識かもしれないが、

ダンジョン内で起きた事故は、

全てセルフジャッジである。


その為、危険にあっても犯罪が起きても、

無法都市の様なルールになっている。


ダンジョンに法律などができるのは、

迷宮庁設置後。

ちなみに今から一年後である。


今の時期、安全が担保されているのは

「自動排出の腕輪」をつけている人達、

まあ、主人公が通う学園とかのみである。


実はダイブギアとか、緊急離脱装置とか、

そんなものは実は流通しにくい世界だ。


世間に普及するのは主人公達の

二年生編から。


正式名称はカッコ悪いけど、世間には

「ユーナブ」として流通する。

毎度思うが、この世界の感性は分からん。


まあそれはともかく、つまりダンジョンに

向かうには念入りな準備が必要である。


まあそれはそれとしてだ。

今僕が来ているダンジョンは、

そのような念入りな準備は必要ない。


しかし!曜日ダンジョンは違う!

原作では基本的に一本道のマップ!

敵は湧く。しかし罠は


そう一切無いのだ。上級になったら

明かりとかのアイテムは必須だけどね。


原作で曜日ダンジョンの上級があるが、

初めて曜日の上級をやった時思ったが、

ギミックで行動先が見えないのは辛い。


そういった訳で実は初心者向けダンジョンと

大差がない。あるのはモンスターの強さ。

魔法が効きづらいモンスターも出てくる。


ならばどうするか、僕はこうする。

魔法が効きやすい奴のみを狙う。

何ならボスにアタックするだけでいい。

実はボスは全曜日に決まって火魔法に弱い。

範囲攻撃のスキルが多い火属性キャラの

特徴も相まって、曜日ダンジョンは実に

周回しやすかった。ボスだけな。


その他は普通に物理キャラが無双する。

魔法キャラはボス対策なので、

一人入れれば十分だった。


という訳でボス特攻だ。

勝てなかったら撤退戦に持ち込む。

今は実力が分からない。

初心者ダンジョンは魔法が効きやすいボス。

対人戦は戦闘力が分からないモブキャラ。

全くもって情報が足りない。


実力が足りないか分からないなら

駄目じゃん、と思うけどそんな事で

止まっていては家も十分な時間も食料も、

何も手に入らない。


それにこれが一番の理由で、

初心者向けダンジョンには


一定の回数を攻略すると入れなくなるのだ。

実は講習で聞いているポイントである。

そのため、初級を初攻略する際、

念入りな準備が必要である。だがしかし。


手持ちは準備不足と言う他ない。

あるのは食料、ナイフ。

つまりだ。何度もいうが時間がない。

行くぞ!




――――――――――――――――――――




やってきたはダンジョン内部。

見た感じ、背景で見慣れた景色と一緒。

やっぱ鏡映しの神話やなぁ。

今のところは主人公にさえ会えてないけど。まぁ、僕は存在が原作ブレイカーだし。


と、彼が思案する間にモンスターが近寄る。


「感知に敵三体……よし!」


彼は駆け寄って近寄る。


「ファイアメント!

ファイアメント!

ファイアメント!」


3つの火の玉が牽制として放たれる。

曲がり角から飛び出た彼と火の玉

に気づかず、モンスターは顔面に受けた。


モンスターの見た目はオオカミ。

紺色と白色が混じった毛が特徴。

体長は1m弱ありそうだった。


「よし当たり!やっぱ、第一階層は

こいつだな。本家の曜日ダンジョンと

全く同じで感服だわぁ。」


彼の声に反応して先制で怯んだ

オオカミが体勢を戻す。


「ファイアメント!

ウォータメント!」


「ヴォフ!!」


勢いの良いオオカミだが、

彼は事前に水で30cm程障壁を作っていた。

飛び越すしかないオオカミに合わせ、

青い火が直撃した。


さらに、水を魔力に戻し、

そのまりょくを喰らい、火は大きな壁となる。


それは文字通り飛び火し、

他の二体のオオカミを焼いた。

少なくとも致命傷であった。


「フォン……」


という風の音を合図に壁は無くなる。

壁には焼け跡もない。


その先には魔石とドロップ品に綺麗に

分かれた物が3つ分、あった。

彼はそれらを回収する。


「よし回収した……りんごでも食べるか。」


食べ歩きしながら彼は進む。

道中に彼は幸運にも隠し扉を見つけた。


「ゴゴゴ…………」


「ラッキー。というか上級にあったな、

そんなギミック。懐かしい〜。」


彼が進む先には、草原とがたたずむ。

そのフロアは何故か夜で、

台座に緑と白がベースな銃がそこにあった。


形はポンプアクション式のショットガン。

銃身は長く、所々に金の装飾がある。

バレルは緑色、グリップとレシーバー付近

は白色と、大雑把に分けるとそのような

配色になっている。


銃口から台座に刺さっているそれは

この場所に調和しており、

同時に違和感も放っていた。


「これは…!なんなんだ?」


彼はさっぱり分からない。

それもそのはず。原作には実はこの銃は

なく、影も形も出てきていない。


「とりあえず念願の武器?でいいか。

ぱっと見、☆4クラスかな。

曜日ダンジョンで☆4武器は意外だけど、

あるなら貰おう。」


そうして彼が手にした瞬間、

膨大な苦痛とデータが送られる。


「ぃ゙っ゙つあ゙あ゙あ゙ぁ!?」


彼の意識は苦しみに耐えかね、

一瞬で刈り取られる。

次の瞬間に彼は意識を手放してしまった。






――――――――――――――――――――






意識は朧げだった。

上下左右、全くもって感覚がない。


一瞬で起きた出来事。理解しがたかった。


頭に少しながら流れる何か。

それらは勝手に咀嚼、理解できる。

何が起きているのか、僕はどうなったのか。

この情報は何のために流れるのか。


思考しようと試みる内に段々と鮮明に

なっていく。



……………


…………


………


……



「ふっ……。」


身体が自然に起きる。

警戒して周りを見渡してみるが、

目の前には既に台座から抜けた銃があり、

それ以外には特に変わった事はない。


次に感じたのは違和感。

自分の身体が自分のようでない感じがする。


次にあるのは服。

ゴスロリというのだろうか。

黄緑と白色がベースの、フリル控えめの服。


白色の服に黄緑の線?がある。

ワンポイントアクセントというのだろうか。


しかしながらドレスではなくワンピース。

まあとにかく女性物。何故か着ているのだ。


胸に手を当てると少しながら柔らかい感触。

下は、有るものが無いと、感覚で分かる。


なるほど、なるほど。

……受け入れたくないからまずは

ダンジョン攻略だね。


そう思いつつ銃を拾う。

思ったより軽く、まるで羽を持つようだ。

回したり狙ってみたりするが、扱いやすい。


せめて役に立っていただきたいものだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る