いざリャールドへ
第6話 対人戦は即白旗をあげたい。
リャールド編です。
チート要素が強くなっていきます。
――――――――――――――――――――
着いた。意気込んだ割には遠くなかった。
1時間しかかかってないのでは?
ちょっと拍子抜けだなぁ。
改めて、Welcome to リャールド!
しばらくは滞在して、小金持ちになって、
生活を向上させよう。
それまではダンジョンに籠もりきりかな。
よし。まずはダンジョンだ。
初級を選んで、駆け抜けよう。
そう思い、町並みを見ながら探索する。
とりあえずマップを見つけて、
ダンジョンの場所を確認しよう。
入ってきたのは大通りっぽい箇所だから、
多分ぶらついてたら見つかるはず。
りんごを齧りながら彼は歩く。
大玉のりんごは大きく、
彼が齧るには少し口が小さすぎた。
ちょこちょこ小動物のように削る。
その仕草には愛らしささえ感じた。
この街、リャールドは犯罪率の低い街
として有名だった。
最近は次世代型装備の一般普及により、
一時的に犯罪係数、犯罪の数が高い。
警察など、治安維持の組織の権限が
異常に高いリャールドでさえ、
手をこまねいていた。
そのため、こういった事も日常となりえる。
「バァァァン!!」
甲高い音が鳴り響く。火薬の匂いがする。
属性に特化した魔力というのは、
一部を除き独特な匂いがする。
今回は火魔法の特化型、中でも
「着火」に特化した魔力だ。
「なんだなんだ?打ちこわしか?
あったなそんなイベント。
次世代型武器の普及がこの時期に
あったっけ。懐かし〜。」
彼は懐かしさを感じているが、緊急事態だ。
彼の近くで起きた爆発は、矛先を彼に
向ける危険性もあった。
「……ひと暴れしたなぁ。
さて、次はどいつだ?
暴れ散らかしてやるよ!足りねえからな!」
「おっ怖。」
「お前に決めたぁぁ!!」
うっそ待ってやばい逃げないと……
「ファイダルぅ!!」
「ファイアメント!」
2つの魔力がぶつかる。銃弾は火に勢いを
殺され、火をくぐり抜ける前に落下する。
「んだてめぇ、中々やるじゃねぇか。
冒険者かぁ?にしちゃ魔力低っくいなぁ。」
今さら引けない。正当防衛か?
対人戦、FPSやったこと無いから分からん!
読み合いはやる暇も脳もない。
よし、地形を活かして撤退戦に持ち込む!
「ゴルァ!逃げんな!」
怖い怖い!!しかしやるしかない!
「ファイアメント……チャージしてぇ。」
「バァァ…「今!」ドォーン!!」
青い火が弾丸にぶつかる。
しかし、魔力を込めた弾丸は勢いをなくし、
逆に青い火の糧になる。
「くっそ。アレやべぇな。
弾が負けちまった。同レベル相手にした
気分だ。ますます燃えるなぁ!」
「うぇっ、まだやる気ぃ!?」
その後も彼は走り続ける。
土地勘は無かったが、彼が逃げた路地裏に
行き止まりは無かった。
しかし、全力疾走では彼に利は無く、
撤退戦には全く持ち込めそうもない。
彼は正面から戦うことにした。
彼は向きを変え、犯人に向き直る。
「ザッ…。」
「やっとやる気か。待ってたよ!」
相手は興奮状態。説得は出来なさそう。
なら時間を稼いで警察を待つ。
早く来てぇ〜。
「ファイダル!」
「ウォータメント!」
弾丸を反らして勢いを殺す。
水圧を進行方向と逆側にかける!
「止まった!?嘘だろ、
どこからそんな魔力が?」
「お返しだ!」
手を振り、水を中の弾丸ごと勢いづける。
後はこれをいいタイミングで離す…ぅ?
彼は途端に立ち眩む。全身の倦怠感、
魔力の摩耗による体内のエネルギー減少
だった。
水は落下し、弾丸も落ちた。
彼は啞然としながら仰向けに崩れ落ちる。
脳にエネルギーが無く、思考もし辛い。
彼に戦う体力はないだろう。
「ロックメント。」
声がする。警察が来るまで時間が稼げた
ようだった。犯人は土に手足を拘束され、
身動き一つ取れずに直立していた。
「貴方を現行犯逮捕します。」
「お縄かぁ。やっぱ早いなぁ。」
「署まで連行します。ロックメント。」
犯人は引っ張られるように、
鎖状に変形した土塊を引っ張る警察に
連行されていった。
「身動き一つ、取れません。」
何も助けない警察に少しがっかりしながら、
彼はしばらく動けなかった。
魔力濃度の低さからか、
彼が立ち直るまでに30分はかかった。
それまでは彼のいる路地裏に
誰も来なかった。いや、来れなかった。
――――――――――――――――――――
ようやくしっかり立てるようになった。
誰か来ないか逆に心配だった。
路地裏から覗きこんだら、
バリケードがめっちゃあった。
事情聴取は、まあ避けられないよね。
その後、僕は警察に詰め所で話を聞かれた。
正当防衛だったこと。
次世代型武器を使用していたこと。
なりふり構わず弾丸を撃ってきたこと。
証人も居たようで、おおよその内容が
一致した事を確認していた後、
釈放された。力不足だったと詫びられた。
謝罪の謝礼を補うかのようだが、
僕は初級ダンジョンの場所を聞いた。
事件現場からあまり遠くなかったらしい。
ちょっとトラウマがあるから気を張ろう。
この世界は異世界だという事を再認識し、
初級ダンジョンへと向かう。
目的は換金と物資・装備の入手だ。
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