第4話 買い物と野宿を異世界で。

本日1話目です。

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服屋。うんまあ予想通りだけど、

ハンガーとかあるよね。現代だなぁ。 


メンズ向けは、あった。とりあえず、

ズボンとパーカーを買おう。

値段は、ズボン2,980エル、

パーカー3,580エル、痛い出費だ。


とりあえず下着は後にして、

先にパーカーとズボンを買って、

試着室で来た。スースーしないこの感じが

今はただただ心地よい。


次は包丁を買う。残りは安物で買えるね。

ということで1,980エルの包丁を買った。

残額は殆ど財布に全ぶっぱ。

バッグ?スーパーの袋で十分だよ。


りんごを食べながら服屋に戻る。

りんごの残りはすぐに焼却だ。

衛生上汚いしね。


「ファイアメント。」




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空腹なし。財布はバッグの中。

残高はすっからかん。

水分は、水魔法を練習して取るか。

いや、湖があったし最悪の場合

歩いて取りに行くか。うーむ。


そうこうしている内に夕方だった。

茜色の空はいつだって、変わらない。


「綺麗だねぇ。」


そんな言葉を洩らすくらい、綺麗だった。

とりあえず水魔法を練習しよう。


水はこう、コップの中の水をイメージ……


「ウォータメント。」


無から四角形の水が生成される。

大体200ml。よし!


コップは無いので、水の一部を学校の水道

のように勢いをつけて、跳ね上げて飲む。

懐かしいこの飲み方。

こぼれて効率悪いけど。


足りなくなったら足して、

喉の乾きを癒やす。

魔力の水は飲んでもパサパサかと思えば、

そうでもなく、魔力も満ちる感覚もあった。


便利なウォーターサーバーを

手に入れた気分だった。


喉が癒えた後は、野宿だ。木の枝や髪を

薪にしよう。


そう思い、少し村……町から離れて

野宿の準備をする。


腰掛け兼ベッドは、おっ。倒木あるね。

君にしよう。


幸い、水に濡れていない、乾いた木の枝が

沢山手に入った。乾燥した地帯らしい。


そいじゃ、薪をまいて、

こう、組み立ててと。

それじゃ、もう一つの薪を用意しよう。


「サクッ。」


うーん。髪の切れる良い音。

包丁は値段の割に切れ味良いな。

良い買い物した。刃こぼれするまで宜しく。


ショートぐらいになったし、

まあ勘違いはされにくいんじゃないかな。


……シャンプー、トリートメント。

まあお預けだね。サバイバーになりましょ。 


洗顔だけは忘れずに。髪の毛は、

精密に水魔法を操作できるように

なってからかな。脱ぐわけにいかんし、

濡らしたらあかんし。


身体とかどうしよ。こう、

水のバリアを薄く一瞬だけ貼る感じ?

一瞬で洗って落とそう。


一番は王都近郊のホテルかな。

都市に近づけば近づくほど、

ホテルがあるはず。値は張るけどね。


ホテルと銭湯の立地、

原作にワンシーンあったな。


「ユーラス」だったっけ。

王都から近い、副都心的なポジションで、

スーパー、コンビニ。住宅街的な機能は

全部揃ってるはず。


怪我の対策で薬局もあるし、うん。

ユーラスを目指そう。まずは王都へだ。

明日ギルドに行って聞き込みしよう。

お休みなさ〜い。


そうして髪と木の枝で火起こしをして寝る。

ちょっと倒木は寝心地悪いが、

湿ってるわけでもなく、苔もない。

特に棘もなく、特に痛くもない。

安心して眠りにつく事ができた。




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ここから他人視点です。

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ある森を伐採していた。基本的に、

良い感じの木を見つけては伐採し、

材木としていた。


材木は建築素材として使われてたり、

DIYなど、とにかく一定の需要があった。


今日も自分は切った木に魔力を込め、

マーキングし、その後回収に向かう

というのを繰り返していた。


夕方頃、日もおちかけた頃合い、

一つの材木に反応があった。

少しだが、動く反応。


盗賊かと思い、急ぎ来てみれば、

一人の"子ども"が材木に寝っ転がっていた。

近くには消えかけの火が炊かれており、

野宿をしていた事がわかる。


「誰がこの子を……いやまあいい。」


まずは匿うことにした。流石に森に

子ども一人は不味い。モンスターによく

見つからなかったものだ。


近くのログハウスに向かう。

ログハウスの中にベッドがあり、

そこに横たわらせた。

背中のゴミははたき落とした。


買い物袋の中には、りんご4つ、梨が3つ。

財布に包丁。財布の中身は覗かないが、

お金も少ないのだろう。

とりあえずベッドの横の棚の上に置いた。


容姿は灰色のパーカーと青色のジーンズ。

髪は雑に切った様なショート。

耳は怖かったのだろう。少し伸びていた。

顔は髪に対して似合わない整った顔立ち。

男だろうが、やや中性的で少し困惑する。

それとも実は女?ますます困惑する。


自分が取るべき行動は、

安静にすることだろう。


子どもが朝になって起きるまで、

帰って寝ることにした。


状況も聞きたいし、出来ることなら

支援もしてあげたい。

善意だけでも、見返りがなくとも、

よっぽどがない限りきっといいだろう。


誰かを、この子を助けてあげたい。

そう思った。

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