第一章 追放聖女と騎士隊長⑥
「──ここから先は行けねぇよ! 命が惜しいならすぐに中央に戻りな!」
「馬車なら車輪が
新しい勤め先となる地方の
それどころか王都から
「ここから先は
自身もそろそろ避難するからと、引っ越し準備を進めていた村長に言われ、ミーティアは(ここからは一人で行くしかないか)と腹をくくった。
「では、馬を一頭売っていただけないかしら?
「はぁ、それならこの馬をお
村長が
確かに、村を出てすぐ、
「配属先の地方第五神殿はこの先のはずだけど……」
果たして聖女や聖職者は無事なのかどうか。
不安に思った、そのときだった。
「? なに──」
「っ!」
とっさに手綱を引いて馬を止めたミーティアは聖女の
地面にできた大きな
(あれが魔物!? そのへんの民家より大きいじゃない)
巨大なかぎ
馬がおびえて全身を
すると、ドドドドド……という、馬の大群が走ってくるような地鳴りが、魔物の向こうから聞こえてきた。
(まさか新しい魔物!?)
身構えたミーティアだったが──。
「──
聞こえてきたのは人間の声だ。同時にバッと魔物の背後からなにかが飛び上がり……ものすごい勢いで落下してくる。
落下地点にいたモグラ型の魔物は、真上から
『ギャァアアウ!』
地面がミシミシときしむ音とともに魔物の
もうもうと立ちこめる
「はぁ、はぁっ、とんでもない
『ギャアアアアア!』
この次どころか今現在まったく容赦する気はないようで、痛みに暴れ回る魔物にしがみつきながら、その男はざくざくと魔物を斬りつけ続ける。
そうして魔物がぐったりしたところで、両手で剣を掲げて「
『グギャアアアウ……』
魔物が断末魔の悲鳴を発しながら真っ黒な灰となって
灰は風に
「──よし、
身軽に地面に降りた男は、剣を
すぐ目の前に降り立った彼を、ミーティアはまじまじと見つめる。
彼が身につけていたのは王国
と、その彼が顔を上げて、こちらを真正面から見つめてきた。
ダークブラウンの
ミーティアは軽く息を
「──まだ避難していなかったのか、無能な聖女め! おまえたちの護衛までしている
「……なっ」
「
彼はイライラした様子で
「え──」
正しくは走っているのだが、
まばたきするうちに彼の姿は見えなくなったが、地面に点々と
「
が、しかし。
「……天才聖女のこのわたくしを、『無能』呼ばわりしてくれたわね?」
ミーティアとしては、そこがもっとも見過ごせないポイントだ。彼が何者であろうと、その
「方角からして、彼が向かった先に地方第五神殿もありそう。さ、行くわよ」
手綱をぱっと動かして合図すると、落ち着きを取り戻した馬はすぐに走り出してくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます