第一章 追放聖女と騎士隊長②
「ひっ……、ミ、ミーティア様?」
彼女を取り囲んでいた聖女の一人がびくっとしながら問いかける。ほかの面々もまったく同じ
そんな中、当の聖女ミーティアはゴゴゴゴ……という地鳴りの音すら聞こえてきそうな
「このわたくしから、首席聖女の称号を剥奪……? 筆頭聖職者ボランゾン様? もしや、頭の表面だけではなく中身まで
「はっ……?」
居並ぶ人々も、宣告を下した筆頭聖職者のボランゾンもびくっと首をすくめてしまった。
「え、え、ええと、ミーティアよ……?」
「目を丸くしてないで、さっさと答えてくださいます?
手にした杖で大理石造りの
聖女と言うより
「う、うそでしょう? あのミーティア様がボランゾン様をにらみつけている……?」
「あの、常に笑顔で
筆頭聖職者ボランゾンも同じ
「そ、そ、そなた、なんだ、その
「理由も説明せず、いきなり『はい、追放』とか言ってくる相手に敬意を
「く、クソハゲ親父だと……!?」
ボランゾンが
裏返ったその声と『クソハゲ親父』という
そんな中、聖女ミーティアは
「で、どうしてわたくしが首席聖女の座を降ろされて、地方に飛ばされるのですか? 理由を話してくださらなければ、わたくしはもちろん、ここに集まった聖女や聖職者たちも
杖でまたガンッと床を叩いて、ミーティアは
聖女とは思えない詰めより方はともかく、言っていることは
「ふ、ふんっ! そもそも聖職者のトップであるわしを、そんな目でにらんでいる時点で首席聖女にはふさわしくないわ!」
「そういう感情論はどうでもいいので、納得のいく理由と説明を!」
「こ、このっ、……それがおまえの
ブツブツとつぶやきながらも、ボランゾンは
「うぉっほん。では説明しよう。称号剥奪の理由は『一つ、首席聖女の選考試験にて、一位の成績を残せなかったから』、『二つ、首席聖女の職務の
周囲がまたざわざわと不穏な空気に包まれる。ボランゾンは「なにが不満だ」とでも言いたげな面持ちでその場で胸を張った。
三つの理由を聞き終えたミーティアは、ふぅっと一つため息をついてから、しっかり顔を上げる。
「──では、その三つの理由に異議を唱えさせていただきます」
「い、異議だと?」
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