第2話 ガチホしてみたかったかも
嫁、美也子のことを名前で呼ぶことはない。なぜかわからない。付き合ってるときから、なんか名前で呼ぶのに抵抗がある。
今思うと、二人だけの関係のなかで成り立たない女性を名前で呼ぶことを僕は嫌うらしい。例えば、彼女の両親の前で名前で呼ぶのは躊躇われるとでも言うのか。
前の彼女と付き合ってるときに浮気して嫁と付き合った。仕事の兼ね合いや妊娠したことでどうやら僕は結婚に至った。なんとなく結婚したと言えばよいのかもしれない。家族を持つという明確な意思や決意があったからでもなく、子どもが好きだということもない。(いるとすれば、聞き分けの良い子どもが好きかも)
一人目が産まれてプチレスになった。理由はわからない。ある日嫁から手紙をもらった。
「なんで最近してくれないの?浮気でもしてる?」
その後僕は嫁を抱くようになった。ただなんというか、その文面が脳裏に焼き付き自分の性癖(新たに目覚めた)もぶつけたい衝動に駆られたんだと思う。
結局、彼女の気持ちを察することはできなかった僕は目的を達する為の別の手段を探しはじめる。
そして当然彼女に愛想を尽かされる。
「あなたは他の女に逃げた」
こう言われたがなぜか腑に落ちなかった。
「逆の立場ならイヤでしょう?」
こうも言われたが、ほんとにそうなんだろうかと自問しても不思議と心はざわつかなかった。
今思うと夫婦関係全般に渡り、
何かあれば言ってくるだろう⇨言ってきても結局こっちの意見受け入れんから最初から任せればいいか⇨結局嫁は何も言わなくなった
この図式に15年前に気づいていたら或いは何か違っていたかもな。
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