第四章 胡蝶の夢

第31話 ※この章に言寄せて(1)

 次ページに紹介したごとく中国の荘子に拠れば今のこの場がはたして現実なのかどうか「わからない」もしくは「断定できない」ということです。皆さんは夢を見るでしょうがその夢の世界と、そこから覚めたのちのこの生活の場が、はたしてどちらが真の世界なのか云い切れますか?もちろん後者と誰もが云うでしょうがあの偉大な荘子は敢てそこに疑問を提示する分けです。人生は生きても僅かに7,80年。そののちは(恐らく)あの世の生活があることでしょう。そしてそのあの世には「時間」というものがありません。「今」が永遠に存在するだけです。時間はこの世、物質世界の概念であり、あの世は物質を超越した心の世界ですから時間は無いわけです。皆さんは心で思えば時間・空間を超越して昔にも未来にも行け、地球(いや宇宙)のどこへでも行くことが出来ます。その四次元的な心と制約のある三次元的な肉体(物質)が今は同居している分けですが、時に夢の中で心(光子体)は肉体から離れ、桎梏を離れて異次元の世界に遊びます。そこが死後のあの世なのか、あるいは未来の世界か、さらには過去の懐かしい世界なのか、粗悪な粒子で出来た肉体に戻るなら殆ど忘れてしまう。本来は心の世界こそが実在なのであり、物質界(肉体)は万物流転、いつかは変わり行き消滅するいわば仮の世なのです。心の(世界の)実態からして過去・現在・未来は一点ということになります。同時並存です。

 

 これを踏まえて「一葉恋慕・大森編」のごとくに、一葉はこの章で不思議な体験を致します。それは荘子が見た胡蝶の夢のごときがものです。さあ、ではどうぞ「夢の世界(実在の世界?)」へとお進みください…。

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