第30話 妹よ、許せ(&小説返歌)
いったいなんだったろうか、ええい、わずらわしい、そのうち思い出すこともあろう…などとするうちに一葉の目にも眠気がさしてきた。あのあと確かに義孝からは何度も筆繁く手紙が来たのだった。花見もなにもない、それどころではないと記して、断りの返事を都度返しはしたのだが、はて…いつしかに「諾なり」の返事を出しもしただろうか?こちらの方は思い出したくもないことだった。「月15円…」の数字が当事も今も頭の中で踊る…隣で邦子が苦しげに寝言を云い寝返りをうった。さても自分のかわりに辛い夢でも?…「妹よ、許せ」ひとこと云って一葉の意識も失せた…。
※―小説返歌―
いづれぞや憂きにえ堪へで入りそむるみ山の中と塵の中とは
さびしさもまぎれなくこそなりにけれ更けてさやけきこほろぎのこゑ
by 一葉
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