第43話 新生


 赤黒い血が付着した醜い鎌を持った──



 彼らに迫るのはそんな怪物だった。



 怪物は妖精のような透明な羽を小刻み振るわせ、彼らに向かって飛んでくる。



 ブォォンと空気が揺れる。



「クィエ!」



 キャビーの声と同時に、クィエが氷の壁を形成する。



 怪物は空中で急ブレーキを掛け、不愉快そうに咆哮する。その隙にキャビーは方針を伝える。



「先ずは様子を伺う。お前達は退がっていろ」



「ちょっ、あんな化け物さっさと殺しちゃってよ!? また捕獲する気!?」



「当たり前だ。退がれ」



 アイネは心底不安気な様子を示したが、言われた通りに退避する。



「クィエちゃん。危ないから退がってよ?」



 状況も状況な為、クィエは素直に聞き入れる。キャビーの背負っていたリュックを持ち、2人で安全な場所まで退避した。



 彼女らが退避する前に氷の壁を迂回してきた怪物が、両腕の鎌をキャビーに振るう。



 キャビーはそれを剣で受け止めた。

 


「やはり魔力が篭ってる。凄い斬撃だ」



 何度かの攻撃を受け止めた後、キャビーは一度距離を取った。



「ギャアァアッ!!」



 怪物は短く咆哮する。

 キャビーを完全に敵と見做す。



 怪物は強固な茶色い表皮をしている。



 長くて細い昆虫のような脚を4本持ち、2本の大きな鎌を武器とする。図体の割に小さい羽を小刻みに揺らしているのは、登場時と変わらない。



 寝むるように死んでいるあの女性から生まれたにしては、姿形が違い過ぎる。



 体長は大人よりひと回り大きい程度に留まっている。



 怪物は脚と鎌を地面に付ける。地面の上では、そうやって6本の手脚を使用して歩くらしい。



 怪物はキャビーににじり寄っていき、上下左右に開いた口で咆哮を繰り返す。



「うるさい奴」



 怪物の鎌がキャビーの左から迫る。

 


 しゃがんで回避し、その直後に右からきた鎌を剣を縦にして受けてめる。


 

 キャビーは自身の身体に回転を掛け、怪物の顔面を蹴った。それは直撃し、怪物は吹き飛ばされて地面を転がった。



「すっ、凄い。全然余裕じゃない!!」



 離れた位置で見守るアイネが声を漏らす。クィエも興奮して兄を応援している。



 怪物は立ち上がると威勢が消え、弱々しい声を漏らす。



 すると、死亡した大きな女性の周囲を飛ぶ飛翔生物──白い輝きを放った妖精のようなそれは、怪物に取り付き始めた。



「……?」



 怪物の身体に強いオーラが宿る。みるみると元気を取り戻した怪物は、キャビーを見据え、威勢よく吠える。



 取り付いた妖精は輝きを失い、地面に落ちた。



「命を与えたのか……?」



 言うなれば、そのような感じだった。


 

 命を捧げ、子を強化する。その証拠に怪物は、より凶暴性を増してしまった。



「腐ってもあの女の子供という訳か──クィエ! 飛んでいる羽虫を全員殺せ」



 クィエは兄の呼び掛けに応え、霧を広範囲に展開し直した。



「ちょっと待って! あれ妖精よ!? 童話に出てくる。い、1匹だけ残して、お願い!?」



「お兄様の命令と違う。クィエ、お前のいうことは聞かない」



「そ、そんなぁ」



 クィエの氷が次々に妖精を襲う。それらは女性の声に似た悲鳴を発し、逃げ惑っている。クィエはやや人間に似たそれを殺害するのに、高揚を覚え、直ぐには殺さずゆっくりと1匹ずつ命を奪っていく。



 そんな残忍な3歳の少女を、アイネは止めることが出来なかった。今彼女に手を出せば、間違いなく殺される。そう思った。



 裏で行われる殺戮を尻目に、キャビーは怪物の鎌を避けていた。



 より凶暴性を増した怪物の勢いは凄まじく、とてもじゃないが反撃の隙は見つからない。



「しかし、元気の源はクィエに殺されているが──いいのか? お前は。家族みたいなものだろ?」



 怪物に問い掛ける。

 当然言葉が届く筈もなく、怪物は鎌を振るう。



 親を殺し、その家来のような存在をも厭わない。まるでキャビーの成し遂げられなかったことを、目の当たりにしているみたいだ。



 しかし、その実不快感なるものが、心の何処かで芽生えていた。



 キャビーは良い加減鬱陶しくなって、脳内で大百足に指示を送る。



 辺りの警戒を続けていた大百足は、瞬時に怪物目掛けて突進を行った。



 怪物は吹き飛ばされ、絡み付いた大百足と交戦を開始する。



 しかし、殆ど一方的な戦いだった。



 大百足が奇襲に成功した時点で、凶暴性を増したとはいえ怪物に勝ち目はない。絡み付いたそれを取り剥がすことが出来ず、やがて怪物は動きを制限されていく。



 大百足によって拘束され、怪物は鎌を振るうことも出来なくなった。



 キャビーは近くに寄り、怪物に触れる。



「……何だこいつ」



 キャビーは触れた瞬間、手を離した。



「二重の身体だ──」



 外骨格の中に、別の生き物が入っているみたいだ。



「押さえていろ」



 キャビーは大百足に命令し、アイネの元へ向かう。



 楽しそうに殺戮を行うクィエの癖っ毛な頭を小突いた。



「痛っ」



「クィエ。楽しそうだな」



「うん!」



「……ま、まぁ。別にいいか」



 嫌味のつもりで言ったキャビーだが、よくよく考えれば「殺戮は楽しいもの」だ。



「い、いい訳ないでしょ……っていうか、戦いは終わったの!?」



「いいや。アイネ、聞きたいことがある」



 キャビーはアイネを連れて、大百足の元へ向かう。



「身体が2つ? ──中に別の身体が入っているのね?」



 キャビーはもう一度怪物の身体に触れてみる。確かに、外骨格の内側に何かが居る。



 だが殻に篭ったそれの形を把握するには、少々殻が窮屈過ぎる。あまりにも輪郭が重なり過ぎて、全体像が掴めない。



「まるで殻に篭って──それって丁度、蛹みたいね」



 アイネは言う。



「蛹?」



「うん……あ、待って。これって──」



 アイネは何かを思い出せそうで、眼を閉じてみる。両手の人差し指を側頭部に押し付けて、グリグリと考える。



 その時、怪物が悲鳴のような咆哮を上げた。



「ギャァァアアアッ──!!」



 思わず耳を塞ぐ。



「うっ、うるさいうるさい!! ──何なのよぉ!?」



 怪物の身体が膨れ上がっていた。ドクドクと身体が脈打ち、質量が増加していく。



 大百足の拘束が外れていく──



「キャビーこれ……蛹だ。やっぱり蛹だよ!」



「ああ、見れば分かる」



 怪物は大百足の拘束から逃れた。

 それを機に、一旦大百足には退いて貰うことにする。


 

 怪物の動きが止まる。

 膨れ上がった茶色の外骨格は、どんどん暗い色に変化していく。



 外骨格が固まっていく。



「羽化するんだわ」



「しかし、こいつは生まれたばかりじゃなかったのか?」



 呑気に見ている暇は無いが、今は怪物の内側に興味があった。



 怪物の背中が割れる──



「寄生していたのよ。羽化する直前までね」



 アイネは思い出し、続ける。



「アタシが生まれる前──カタリナ村で獣人のお腹から生まれたのよ、こいつ」

「村民も犠牲になった最悪な事件だわ。お父さんの資料にもあった」



 パカッと開いた背中はから、色素の薄い翼が飛び出した。



 立派で大きな翼──昆虫でもなく、妖精でもない、それは、



「ドラゴン……」



 アイネが呟く。



「キャビー、こいつドラゴンモドキよ! 名前はスキゥーエル」



 内側に向かって湾曲した艶かしい白翼が、大きく広げられた。



 次に現れた頭部は鋭い2本の牙が露出した、ドラゴンに近い形状をしている。



 鎌は無くなっており、4本の力強い脚で殻を脱ぐ。



「キャビー、どうするの……?」



「捕まえるに決まっているだろ。アイネ、お前は退がっていた方がいい」



 アイネは頷くと、走ってクィエの元へ行く。



 外骨格が萎んでいく。

 羽化前と比べて、身体は3倍近くあった。



 スキゥーエルの羽化が完全に終わった。



 少し滑りのある皮膚は、徐々に乾燥していく。皮膚が固まっていく。



 スキゥーエルは身体を揺さぶり、翼を大きな伸ばした。



 えらく外側に付けられた眼球──スリムな顔に比べ大きなそれは、ぷっくりと飛び出している。



 眼球の中にある小さな黒点をキョロキョロと動かし、周囲の確認も済んだようだ。



 大口を開け、キャビーに咆哮する。



「グゥオオオオオオッ──!!」



 立派なドラゴンらしい咆哮だった。



「割とカッコいい」



 目玉はやたら飛び出ているが、それ以外はドラゴンのそれだ。モドキと言われる由縁は、やはり目玉か。



 スキゥーエルは口に魔力を貯めると、キャビーに向けて火炎放射を放つ。



 彼は距離を取り、それを避けていく。



 スキゥーエルは上体を起こし、翼で風を起こす。火炎は勢いを増し、キャビーに襲い掛かる。



 木を盾にしつつ、彼は全てを避け切った。



 キャビーはダッシュし、スキゥーエルに接近する。対してそれは、前脚を地面に叩き付けた。



 衝撃はスキゥーエルの前方の地面を割り、次いで火の柱が幾つも出現する。



 キャビーは割れた地面を器用に踏ん付けていくが、直線的な動きで火の柱を避け切ることは出来なかった。



 側方にズラされ、キャビーの勢いが失速する。



 その隙にスキゥーエルは、飛び上がろうと翼を羽ばたかせた。突風が巻き起こり──



 砂埃がキャビーを襲う。



「──っ!?」



 ただの風の中に斬撃が含まれていた。

 彼の身体に纏った魔力では防ぎ切れず、手脚に傷を負う──



 ──魔力を感じなかった。魔法ではなく、自然現象か??



「クィエ!!」



「うん、お兄様」



 妖精を殺し尽くし、待ち侘びていたクィエは、スキゥーエルに対して攻撃を開始する。



 無傷で捕らえる。そんな指示は受けていないが、クィエは兄の意を汲んだ。



 木や地面から出現した氷の刃の先端を丸くし、怪我を負わせないように気を付ける。



 飛行を始めたスキゥーエルは、次々に現れる氷に驚き、翼を何度も羽ばたかせて回避する。



 羽ばたきによって発生した斬撃が氷を砕く。しかし、氷から氷が生え、砕かれるよりも多く──スキゥーエルの逃げ場は失っていく。



 圧倒的な物量──それがクィエの強みだ。



 スキゥーエルは、即座に勝ち目が無いと判断したらしい。唯一クィエからの攻撃が来ない真上へ逃げる。



「クィエ、逃がすなっ!!」



 現状遠距離攻撃を持ち合わせないキャビーは、クィエに叫ぶ。彼女も全力で応える。



 クィエが発生させた氷が1つに纏まっていき、龍のようにスキゥーエルを追い掛ける。



 スキゥーエルの行先を先回りした彼女の氷は、8方向に別れてそれを包み込もうとする。



 スキゥーエルは急停止し、背中から自由落下による回避を試みた。追ってくる氷は尚もスキゥーエルを捕らえようとするが──



 スキゥーエルは、少年と離れた位置で待機する2人の人間に狙いを定める。



 氷の術者を直感で判断したらしい。



 それの口に魔力が凝縮され、火球が放たれた。



「や、やばいやばいっ!! クィエちゃん!!」



 アイネは迫る赤い輝きに、大いに焦る。直ぐ隣で氷を操るクィエを抱きあげた。



 その場から離れようとする。



「お、お前っ!! 人間!! このぉっ、離せっ!!」



 ドラゴンに集中していたクィエは、急にアイネに掴まれたことに暴れ始めた。



「だ、駄目よ!! 炎が来るんだから、逃げるよ!! 氷、溶けちゃうでしょ!!」



 火球が地面に直撃する。

 その瞬間、大きな爆発を引き起こした。



 爆風はアイネ達を吹き飛ばす。

 

 

「きゃあっ!!」


 

 クィエをギュッと守りながら、アイネは地面に転がる。木に激突し、右腕に強い衝撃が走った。



「い、痛い……っ」



 しかし、アイネは直ぐに立ち上がる。

 次の火球が見えていたからだ。



 火球が直撃するコースでは無かったが、爆風に備えなければならない。



 アイネは思考する。

 が、その前にクィエが彼女を突き飛ばす。



「離せっ、人間!! クィエに触るなっ!!」



 突き飛ばされたアイネは、地面に伏す。

 


 クィエの直ぐ背後に迫る火球──



 クィエはアイネに矛先を向けており、火球には気付いていない。



 絶対にクィエを守らなければならない。アイネは咄嗟に手を伸ばした。



「クィエちゃん!! 危ないっ!!」



「……っ!?」



 クィエは背後の火球に、今気付いた。



 彼女の霧は火球によって蒸発し、更にはアイネへの憎しみも相まって探知が出来ていなかった。



 火球が地面に落ちる。


 

 爆風が彼女達に襲い掛かる。



 クィエは身に付けていた水筒の水で、氷の壁を張ろうとするが、間に合わない。



「クィエちゃ──っ!!」



 爆風が目前までに迫った。

 赤い噴煙をあげ、衝撃波が空間を歪ませる──



 直後、真っ黒な壁が彼女達を保護した。



 顕現化された大百足だった。



 2人の周りを大百足が囲い、それでも爆風はとてつもない勢いで彼女達を襲う。



 クィエの元に辿り着いたアイネは、彼女を必死で抱き締める。



「大丈夫。大丈夫だから……っ!」



 祈るように言う。

 そんな彼女を、クィエはやはり嫌った。



 一方で、氷の追撃が止んだことを理解したスキゥーエルは、空へ逃亡する。



 天空に向けた咆哮は辺りに小玉する。

 


「全く……」


 

 しかし突如、地上からスキゥーエルに向かって急接近する物体があった。



 スキゥーエルがそれを眼の端で捉え、避けようとするも、



 直後、キャビーが投擲した剣はスキゥーエルの左翼を引き裂いた。



 スキゥーエルは上空30mから落下する。引き裂かれた翼で飛ぶことは出来ず、暴れながら落下する。



 キャビーの目前にそれは落下した。



 スキゥーエルは起き上がる。

 落下のダメージを感じさせない。



 だが、左の翼は大きく裂けてしまっている。



 キャビーはサバイバルナイフ2本を取り出し、仕留めに掛かる。既に翼という大事な部位を欠損させてしまった為、キャビーは吹っ切れてしまった。



 顕現化した際の性能に、著しい弱体化が無ければ傷を付けても構わない。



 キャビーはスキゥーエルに肉薄する。



 噛み付きを交わし懐へ入り込むと、左翼の根元に逆手に持ったナイフ(左)を突き刺した。



 更に突き刺したナイフ(左)で身体を持ち上げ、もう片方のナイフ(右)で背中を突き刺す。


 

 スキゥーエルは悲鳴を上げる。



 自身の左肩付近に取り付いた少年を振り払う為、グルグルと回転する。しかし、彼はその程度では離れない。


 

 次にスキゥーエルは左肩を地面に擦り付けようと試みるが──



 氷の柱が3方向から現れ、スキゥーエルの首を捕らえた。三角形を作るように氷の柱は組み合わさり、スキゥーエルの首を挟み込んだのだ。



「グォオオッ!?」



 押しても引いても、首は抜けない。


 

 念には念をと、氷がスキゥーエルの身動きを封じていく。



「クィエ」



 キャビーはナイフを抜き、クィエを見る。



 不機嫌そうにした彼女が、大百足と一緒に居た。アイネは結局突き飛ばされ、地面に伏している。



 状況を察して、キャビーはスキゥーエルに向き直る。手を触れ、顕現魔法のストック化に成功した。



「お兄様ぁ!!」



 クィエが走ってきて、キャビーに抱き付く。



「お兄様、ごめんなさい。あの人間の所為で──」



「いや、いい。お前が居なければ、捕獲は難航していた。やはり連れて来たのは間違いじゃなかった」



 兄から褒められ、クィエはニマニマと笑みを浮かべる。



 すると、スキゥーエルが吼える。



 クィエが指を下げると、スキゥーエルの口を塞いだ。



「あれ、殺す?」



「ああ、任せた」



「やったっ!」



 クィエは全く身動きが取れないスキゥーエルの前に立つと、両手を広げた。



 白い靄が様々な箇所で生成され、クィエの両腕の動きに合わせて、氷の槍がスキゥーエルを貫いた。



「キャビーぃ……」



 アイネは歩み寄って来たキャビーに泣き付く。



「何だ、鬱陶しい」



「クィエちゃんに嫌われて、悲しい……」



「だから言ったろ。あいつは魔族だ。因みに私もお前は嫌いだ」



「うぇあっ!? そ、そうなの!?」



 アイネはビックリして、語気を強める。



「な、何でぇっ!?」



「人間だから」



「そ、それだけぇ……? じゃあ、ファイさんは!?」



「き……嫌い!」



「嘘……え?」



 キャビーはアイネとの会話を切り上げ、大百足に命令を下す。



「お前は私の剣を探してこい」



 しゅんとして、大百足は走り去っていく。

 


 クィエがスキゥーエルを殺害したのを見て、キャビーはそれの顕現体を出現させる。



 やはり翼は裂けてしまっている。



「お前も私の剣を探してこい」



 飛び出した目玉がキョロキョロと動く。

 スキゥーエルは今も尚無惨に引き裂かれている自身の身体を見て、ゾッとする。



「ほら、早く行け」



 主人の命令を聞き入れ、走っていった。



「キャビー。それって逆らうことってあるの?」



「分からん。少なくとも、そういう奴は今まで居ない」



「ふーん。それなら安心? かな」



「命令を強制出来るから、心配はいらない」



「ふーん。キャビーが言うなら、そうだね」



 戦いを終えた彼らは、各自で傷を確認する。



 キャビーは腕や脚に斬り傷を負っている。服も破れてしまっている為、アイネが気を利かせて自宅から持って来た服に着替えた。



 アイネは木にぶつけた腕をキャビーに見せる。



「キャビーぃ。これ、腕の骨折れてるかなぁ?」



「身体強化魔法の練習を怠るからそうなるんだ」



「ちゃんとしたよぉ。アタシにはこれが限界なんだってぇ」



 キャビーは白いラットのコアを持ち、手を翳す。輝きが灯り、骨に生じたヒビに限り治療を施した。



「後は私の光魔法では無理だ」



「ううん。骨が治っただけで充分。有難う」


 

 アイネは包帯を取り出すと、キャビーに手を差し出すように言う。



「何で」



「いや、何でって。怪我してるじゃん」



「ただの擦り傷だ」



「そんな軽い怪我じゃないじゃん。バイ菌入るから、貸して!!」



 いつになく語気を強める彼女に、キャビーは仕方なく身体を預けた。



「これだから人間の身体は──」



「あ、やっぱ人間だったんだ」



「……もうしらない」



「嘘だってば、面倒くさい奴ねぇ」




 『作者メモ』


 せ、戦闘はこんな感じでどうでしょう……。


 もっと頭使った戦闘を書きたいですが、これが限界です。


 アイネの容姿について一度も触れていない気がするので、今更……


 一応彼女はやや短め?ボーイッシュ?な髪をしてます。色は茶かなぁ? クィエは癖っ毛の白銀の髪です。ファイは綺麗な長髪ですね。キャビーも白銀の髪です。超普通な髪型で……


 白銀の髪ってなんやねん問題はありますが、カッコいいのでこれで。


 基本的にデザインが苦手なので、各々の想像で大丈夫です。


 

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