第22話

あれからずっと、私を見ると「ハーチャン」っていう、音を出すのよね。


あれが何なのか知りたいわ。


ま、この前入ってみた寝床も、ご飯も、気に入ってるから文句は無いんだけど。


たまに気持ち悪い動きするのが、ちょっと怖いのよね。


「だいぶ慣れてきましたよね、この猫」


「松井君、お疲れ様。だいぶ慣れてきたけどね、まだ触らせてくれないのよね」


「お疲れ様っす。まぁ、野良は警戒心の塊ですからね。寝床とトイレと飯がここってだけの感覚でしょうね、こいつ的には」


「仲良くなりたいんだけどな」


「飼うんですか?」


何この太っちょ。あら?あれ何かしら?ちょっとウズウズしちゃう。


あっち?こっち?ここよ!あ、逃げられた。まだまだ~!


はぁはぁ…悔しいわ、楽しいけど捕まえられない…


やるわね、太っちょ。


「家では飼えないから、ここで仲良くなりたいのよ。でも、遊ぶの上手ねぇ。飼ってたりする?」


「うち、元野良の元保護猫が3匹いるんですよ。どいつもこいつも、正しく猫って感じのやつですけど」


疲れた…お昼寝しよう。今度は負けないわよ、太っちょ!

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