第8話

『人間は狡猾だ。俺たちを捕まえる罠だって、いくらでも使ってくるのさ』


じゃ、ほんとに捕まっちゃったかもしれないのね?


どうしよう…私じゃ助けられないかも…あんたなら、どう?


『無理だな。諦めろ。お前は、捕まらない様に気を付けな。そして、ここから出ていけ』


分かったわよ。行くわよ。


でも、教えてくれてありがとう。少し、諦めがついた様な気がするわ。


『…この先の道を、赤い花が咲いてる方に行くと、人間の年寄りが集まってる砂場がある。そこでなら、もしかしたら、何か食えるかもな。もっと早い時間の方が居るかもしれないが…』


年寄り?ショボショボした人間のこと?


分かったわ。ありがとう。そっちに行ってみる。


怖い顔してるのに、いいやつね。


赤い花、赤い花。あ、あっちね。


ほんとに、ショボショボした人間がたくさん居る…


何してるのかしら?あれ何?丸いの。楽しそう。


「あら、猫ちゃんだわ。トシさん、猫ちゃんよ」


「あら、本当。小さいわね。可愛いわ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る