第5話 消えた冒険者(貴族)を探せ

俺の名前は、モンド・トータス。サガミの街を中心に活動をしている冒険者だ。

最近、ゴールドランクまで冒険者ランクが上がったばっかりのソロ冒険者なのだが、俺は特殊な案件を担当している為にギルドに行くのは依頼完了の報告する以外は指名依頼の打ち合わせの時だけだ。

いつもの様にサガミの街のギルドに依頼完了の報告に行くと、受付の前はいつもにも増して大変混雑している。

と、いうか、普段の何倍もの人がギルドの中に詰まっている。

「何かあったのかな」

ベテランギルド職員のトーマスに尋ねる。

「はい、なんでも遺跡に向かった冒険者が行方不明になったとか。それで多くの冒険者達が報酬目当てに集まっているみたいです」

ギルドの中がごった返しているのはそれが理由か。

……しかし行方不明の冒険者の捜索って……。

どうにも嫌な予感がするなぁ……。

「……サガミの街の公爵家の人間とお目付け役が行方不明になったそうだ」

「あ、そうなんだ。大変だね、貴族って」

俺は思わずため息を吐いた。

……はぁ……嫌な予感が当たっちまったか……。

ギルドの中に入ると大勢の冒険者達が遺跡調査に向かった貴族の救助に向かっていた。

その中には俺の友人であるドノバンのパーティーメンバーもいる。

だが、その救出部隊の中にドノバンの姿はなかった。

あいつも流石に今回は大人しくしているみたいだな。

まぁ流石に公爵家が動くとなると大掛かりな準備が必要になる。

……救出に向かうのはあいつの仕事じゃないだろう。

俺は依頼の掲示板に向かって足を進める。

と、その途中で一人の女性がこちらに近づいて来るのが見えた。

冒険者ギルドの受付嬢のレイナさんだ。

今の彼女はこの街では美人としてとても有名なので冒険者達はレイナを警戒して道を開ける。

それだけ今の彼女の表情には圧があった。

しかしどうしたんだろうか?普段通りの彼女なら俺に気付いて笑顔で微笑みかけてくれるんだが……明らかに怒ってらっしゃる。

「この中で、依頼主のケビンを調べた人がいるの?もし少しでも知っている人がいる様なら教えてちょうだい!」

彼女の怒鳴り声にギルド内は静まり返る。

その一喝で冒険者達は慌てギルドから出ていく。

残ったのは逃げ遅れた俺達とレイナさんだけだった。

というか俺も逃げるべきだったと思うけど、あまりの迫力に足が竦んで動けなかったんだよね……。

俺が動けない中、一人の冒険者達が恐る恐るといった感じで手を上げるのが見えた。

冒険者が指名されると嫌々ながら前に進み出るその人は何故か俺の方へ向かってくる。

「俺は、鉄槌のエイン・カシウスだ。俺と相棒のゴーズは遺跡入口で依頼主のケビンとエドワード達が一緒に居るの確認した。事件の情報を聞き遺跡を調べたが、戦闘の跡と魔力トラップらしい魔力残渣を発見した。」

エインと名乗ったその男は事件の情報を話すと直ぐに離れていってしまった。

……う~ん、やっぱりこれは面倒くさいことに巻き込まれたみたいだなぁ……。

俺が諦めの言葉を吐き出そうとしたその時、依頼人を探しに来た冒険者が大声で俺の名前を叫ぶ。

その声に集まる視線。

そして段々と騒ぎ始めるギルド内。

今思えば俺はこの時に完全に諦めたんだと思うよ……。

だって仕方無くないか?もしこのまま居ても魔力残渣を調べないとダメなわけだし。

魔眼持ちは辛いよ!

その後の俺の魔眼を使用した調査でゲートに入っていく2人と人から上級精霊へと姿が

戻っていく依頼主を確認され。この事件は

終息したのである。

「英雄候補か....、まぁ俺には関係ないな。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る