よくある巻き込まれ異世界召喚されてみました。
旅鴉
第1話
テンプレートかよ、と思った。
今日は、2カ月に1回のペースでホームセンターへ買い物に来る日だった。
田舎のホームセンターなので、食料品店もドラッグストアも併設されていて
一か所で全ての買い物が済ませられる便利な店だ。
その買い物が終わり、帰宅の為に店舗敷地から出て、いつもなら信号の少ない裏道(たんぼ道)を走るのだが、今日に限って近くを走る国道経由での帰宅経路を選んだ。
それが間違いだった。
国道交差点信号待ちしている自分の車より数台前にいる、
何処かの学校マイクロバスの下に
白く輝く幾何学的な丸いナニかが存在している事に気が付いた。
自分の車と目の前のバイクは、その丸いナニかの上には乗って?いなかったが。
交差点沿いの店舗前にいた人達が、その丸いナニかに気がついていて
マイクロバスを指さしたりしていた。
交差点待ちの順番としては、軽トラ、マイクロバス、キャンピングカー、カワサキさんのバイク、そして自分の車だ。
マイクロバスを中心にして、丸いナニかがあるんだけど…
なんか、…白く輝いていたナニかが
輝きを増してきて、
なんか、…ナニかがグルグル回り始めたんだけど…。
これはちょっと不味いんじゃないか?
何か分からないけど、不味い気がする。
いゃ、自分はナニかの上には居ないから不味くはないが
前の車両達は、確実に何かに巻き込まれる。
…ちょっとバックしようかな…
1台分位バックすれば左側にある工場入口で転回できる筈。
なんて思っていた時もありました。
ドン
締め切った車内に響く音。
音のした方角を見ると黒煙がたなびいていた。
位置的には、自分の左側。
転回しよう考えていた工場だった。
国道沿いの交差点には、色んな種類の工場が立ち並んでいたが
そのうちのヒトツの工場内で、何かしらの不都合が起きたのだろう。
バックしようとした位置にいた他の車両は、いっせいにバックや転回でその場から逃げ出したが、自分の車は前に進むこともバックする事も出来ずにいた。
ドンドン
二次爆発。
フワリと車両ごとの浮遊感を感じた瞬間
あ、ヤベ・・
飛ばされた自分の車両と、前にいたカワサキさんバイクとライダーさんは
白く輝くナニかがグルグル回るソレがある前方の車両の方に飛ばされ
マイクロバスとキャンピングカーの間に落ちた。
その瞬間
ナニかの輝きは一層増し、輝きが収まった時、交差点から数台いた車両は
まるで最初からそこに居なかったかのような空白が出来ていた。
ひしゃげたカワサキのバイクと、ひっくり返った車を残して。
*********
『もしもし?』
『もしもーし』
『おーきーてー』
誰かが呼んでる・・・
んぁ?
身体がいつものようにバキバキに固まって、起き上がるのに一苦労。
仰向けに寝ていた身体を一旦横に向けてから、両手に力を入れて
身体を起こし上げる。
そうやって起きないと、頭痛がするのと腰が痛いからだ。
まぶしくて、うまく目が開けられない・・
『あ、起きましたね。えーと、四方司(よも つかさ)さん』
はぃ?
アンタだれ。
目の前には、背は高め、スタイル良し、眉のあたりでまっすぐに切りそろえられた黒髪、そして長い。黒い瞳、例えて言うなら、お菊人形みたいな顔。
『お菊人形って・・』
スタイルいいお菊人形だからええやん。
『四方司さん・・60歳・・女性・・女性?』
『女性にしては随分と乱暴な口調ですが・・』
なんか問題ありますかね?
それよりも現在の状況を教えて欲しいんですけどね。
『はい、まぁ、えーと・・特に問題は無いですね。』
『では簡単に説明させて頂きます。
現在貴方の居るこの場所は、所謂時空の狭間です。
で、何故ここにいるかと申しますと、とある国の召喚に巻き込まれました。
本来なら巻き込まれる筈はなかったのですが、すぐそばで起こった爆発事故の影響で、貴方の乗った車が召喚陣に乗ってしまいまして・・』
テンプレかよ
いゃ、ちょっと違うか。
『と言うか、貴方随分冷静ですよね?』
いゃあ、ちょっとラノベ嗜んでいるんで
白いヤツ見た時、ヤバイんじゃないかと思って逃げようとしたんだけどねぇ。
無理だったね。
でだ、テンプレで考えたら頭の中で考えた事は筒抜けだろうし?
あの状況で考えたら、どう考えても無事では済まないだろうし?
『あの爆発事故では、召喚予定のマイクロバスの学生達とキャンピングカーのご夫婦と軽トラの男性は無事に召喚先に転移できます。
ただ、貴方とバイクの男性は召喚予定に入っていない為
現実世界では瀕死の重傷扱いになります。』
あ゛?
マジで?
よくある巻き込まれ異世界召喚されてみました。 旅鴉 @matatabi0524
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