第3話  阪神高速と一人のお客

==あれからまた数日後==

 AE111で営業する事になって数日後この車を運転にかなり慣れ、営業もかなり慣れてきた。

最初のうちは大丈夫か心配だったのだが、俺みたいなタクシーが思ったより多く普通に受け入れられてる。

 少し興味本位で何人かのお客に聞いてみると

「まあ、最初は抵抗感あったけど普段と違うタクシー乗れて少し面白いし少しガチャ感あって好きなんだよなぁ」と言う人も居れば…

「乗り心地いいタクシーがあったり面白いやつもあるから結構好きね」など、かなり高評価が多く入社したタクシー会社がかなり変わってる会社という考えから凄く変わってる会社に変わるほど衝撃を受けた。

 社長の車好きがここまで影響するとは……大阪…恐るべし……

 なんやかんやで大阪でタクシードライバーをやっていた。

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その日の夜

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 俺はいつも通りタクシーを運転していた。

 今日はJR大阪駅桜橋口のタクシー乗り場で待っていた。

 そこへ一人のお客がやってきたのだった。

 俺はいつも通り行き先を聞いた。

「大阪南港にあるこの病院なのですが…」

俺は場所が写っているスマホの地図を見て場所を特定しナビをセットした。

 すると男がこう言ってきた。

「なるべく速くお願いします…」

「わかりました、なるべく近道で…」

「いや、近道でもいいので急いでください!!いいから!」

 かなりお客は急いで欲しい様子だったので出る事にした。

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 ある程度走ってお客になんで急いでいるのか聞いてみる事した。

「お客さん、何故急いでいるのでしょうか?」

「……。」

 お客は黙っていたが口を開いた。

「娘が病気で悪化した知らせを聞いて少しでも側に居たいので急いでいるのです……」

 それを聞いた俺は

「わかりました、少し道を外れますが娘さん所に早く行けるように最善を尽くします。」

 俺は梅田 IC インターチェンジに乗りスピードを上げた。

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【ETCカードを認証しました】

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 その声を聞いた瞬間、俺はギアを2速に下げアクセルを全開にした。

ヴォォォォオオオ!

 4A-GEが唸りうなりをあげ速度を上げていく。

 あ、そうだったお客さんにあれ頼まないと…

「お客さん、これからスピードを上げます。なのでシートベルトをそれから後ろに回ってる4点シートベルトに変えてください。」

 そう言うとお客さんは直ぐに3点シートベルトから4点シートベルトに変えた。

 俺も素早く4点シートベルトに変え、お客が変え終わったのを確認した俺は分岐地点で阪神高速11号池田線ルートに入った。

 俺は速度を上げ、トラックなどをすり抜けていった。

 [時速150キロ]

 回転計タコメーターが7800回転指してきた所で俺はギアを上げた。

 トップギアの6速に入っており速度は地味に上がってゆきかなり分岐に来た。

 東船場JCTジャンクションに入り右折する。

 FF[フロントエンジンフロント駆動]であり、NA自然吸気のエンジンにとってギリギリ出せる時速180キロ走行。

 スローインファストアウトを意識して走らないときついが高速のこのステージでは走れるラインは常に変わってゆく。

 俺は速度を時速90キロまで落としてコーナーにインを取り、車の向きが変わったら直ぐに加速をした。

 そして、俺はどんどん速度をまた上げていった。

 4速から5速に上げどんどん速度を上げていった。

 ここから先は5キロ程の長距離ストレートになる。

 俺はさらに6速に上げ速度を上げていった。

 俺は車を左右に揺らしながら車を避けてゆき      

 車がいなくなると速度をどんどん上げてゆく。

 俺がふとお客の方を見ると顔面真っ青になっていた。

 まあ、そうかこんな速度で走られたら溜まったもんじゃないか…

 そんな事をしていると南港北ICインターチェンジ付近まで来た。

 俺は左側により出口から高速を降りた。

 そこからは安全運転で目的地の病院まで急いで行った。

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 病院に着き俺は料金を請求後、お客にこう言われた。

「ありがとうございます……」

 この一言を聞いた後、俺は会社に帰り業務を終えた。

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翌日

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 俺は会社に出社すると点呼直ぐに社長に呼ばれた。

 俺は昨日の高速での走行について言われると思い俺はドキドキしながら社長に会いに行った。

 俺が社長の元に着くと俺は胸が張り裂けそうだった。

「矢守君だっけ?」と聞かれて俺は

「はい」と一言だけ言った。

 俺は胸の鼓動が加速し時の流れが遅く感じていた。

 社長が言った言葉を聞くまでは

「よくやったよ矢守君!」

 俺はそれを聞き口を開け驚いていた。

「君が夜に送ったお客さんは私の親戚でうちの社員が病院に急いで送ってもらえた良かったって」

 それを聞き心がホッとしてあんしんした。

「しかも、急いで送って貰えたのが良かったのか娘さんが安心して様態が良くなったらしくてうちの社員に感謝して欲しいと言ってたよ。」

 俺はそれを聞き、目が潤ってきていた。 

 急いで良かった……俺はそれだけ思っていた。

「今回の功績を称えて、担当の新しい車を手配したからよろしく。」

 ん?新しい車?

「1台だけじゃ何かあった時不便になるだろう、基本的に車の管理はドライバーにやってもらうんだけど2台持つ人は整備士を付ける事になってるんだ。」

 聞く感じ、今までやってきた点検を手伝ってくれる人が常時ついてくれるらしい。

 それはありがたいので受け入れる事にした。

「車はまだ手配は出来てないから手配出来たら上司を通して報告するからよろしくね」

 まだまだ先だけど少し楽しみではある。

 俺はこの機会にとんでもない質問をしてしまう。

「車を改造しても大丈夫でしょうか?」

 そんな俺の質問に社長は

「いいよ。車検に通る範囲内でなら大丈夫よ」

 え?いいの?

「え?大丈夫なのですか?」

 俺がそう聞くと

「私は元々阪神高速の走り屋でね、そう言うのは嫌いじゃないのよ」

 なるほどね……社長が車好きな理由がよくわかった気がする…

 俺は社長との話を終わらせてAE111に乗り業務を始めた。

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