【エッセイ】猫はやる気ない

夏伐

猫っていう生き物

 どこでだか、猫の研究が進まないのは猫がいう事を聞かないからという説を見た。


 猫の日エッセイを読みつつ、どこかで書いたとも思うが一つ猫どもは人の言葉を少しは分かっていると信じるエピソードがある。


 実家に帰ってごろごろと寝転がっていると、眼前を一匹の猫が通りがかった。

 こいつは野生を忘れていない、猫嫌いの猫Kである。賢い猫だ。


「こらK!!」


 私が怒ったように名前を呼ぶと、ビクリとこちらを見る。あたし何かやっちゃいました?そんな表情である。


「お前みたいなやつをなんていうか分かるか!」


 いつもは名前を呼んでもシュッと姿を消すKは、珍しく話を聞く姿勢である。


「お前みたいなやつを『か わ い い』っていうんだ!!!!」


 「かわいい」の単語を聞いた瞬間に、Kは「ああいつもの人間の鳴き声ね」といつものすまし顔にもどりシュッと家の中のどこかに消えた。


 数年前の猫のすまし顔を思い出し、やはり猫どもは人間の言葉をある程度、理解しているのだろうと思い、今これを書いている。


 やる気ないねん、猫は。

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