第26話 腐ったNHKの本丸

 本田忠勝政調会長

 「総理、一大事で御座います」

 徳川家康総理

 「如何致した」

 本田忠勝政調会長

 「NHK傘下のラジオ国際放送で我が国の国益を大きく損なう報道がなされました」


 家康は、眉間に皺を寄せ、目を瞑り怒りを抑えていた。国民から受信料を奪い、視聴率を気にすることのない放送局が国を監視する意気込みを拗らせ、批判報道ばかりか、他国を擁護したり、比較して日本を陥れる快感に酔いしれるようになった愚局に対して、改革を必要とする強く感じていた。国が管理すれば、大東亜戦争時のように軍部の都合で情報が捻じ曲げられる。かと言って民法の頂点として管理させれば、同じ失態を招く。民法は、国の管理下で電波オークションし、再編成する方法もあるが、NHKの解体後の監視に苦慮していた。第三者委員会なるものもその選び方や選任者をどう決めるかも悩ましい問題だった。

 苦虫を嚙み潰す家康を感じながら忠勝は、尖閣は中酷領土、従軍慰安婦のことを忘れるな、南京大虐殺を忘れるな、731部隊を忘れるななど、中酷人スタッフが国際放送ラジオを使い、中酷語と英語で放送した内容の要点と報じた者は既に出国してしまうお粗末な展開を告げた。

 家康は、ぱかっと目を見開き、法務大臣・江藤新平を呼びつけた。


新平「例の件ですな」

家康「外患誘致罪・外患援助罪で罰せよ」

新平「創作情報が真実のように取り扱われた慰安婦問題のように日本が尖閣を中酷領

   土だと認めたと世界に発信するでしょうな。国際問題を悪化させる自意識のな

   さは一命を落としても償うべきでしょうな」

家康「ならば、しっかりと取り調べよ」

新平「現実は無理かと。偽計業務妨害罪でNHKに訴えを起こさせるしかないかと。

   お江のセキュリティクリアランスを活用できれば良いのですが、詳細足らずで

   してな。何とも歯痒い事態で御座います」

家康「構わぬ。NHKの主、幹部、報道関係者すべての者の名を公表致せ。それで問

   題が拗れれば多額の賠償を個人に負わせよ。資産の凍結・没収、資産を移動さ

   せれば収監も厭わぬ」

新平「見せしめで御座いますか。ならば、擁護する者は次から次へと援助罪で吊るし

   あげますか」

家康「徹底的にぬるま湯感覚を剝してやれ」

新平「仰る通り、直ちに対応致します」


 家康は、豊臣秀吉を招聘した。


秀吉「聞いたぞ。大事の前の小事だな」

家康「秀吉殿を見込んでお頼み申す。厚生労働大臣を石田三成にお譲り下され。新た

   に防衛大臣をお願いした。慶長の役を再びの気配が致し申す故」

秀吉「決着をつけるか。ひとつ国を揺るがす判断には迷いはいらぬ。お互い戦の機微

   は存じているはず。それでもよいか」

家康「構いませぬ。責任はこの生首を当てまする故」

秀吉「よくぞ言った。お引き受け申した」


 NHKが取り逃がした、いや解放した中酷人スタッフは、中酷大使館に逃げ込み、すぐさま外交特権を利用して本国に隠密に帰還させられていた。中酷本土の経済は抜け出せない貧困に見舞われていた。面子国家がそれを認める訳にはいかなかった。

 姑息な手立てで今や世界の不良国家とされる露西亜と裏で通じてはいたが、米国がそれを洗い出し、中酷の金融機関との取引に厳しくなり、それに恐れをなした大手金融機関は露西亜との関係を絶つ方向に動き始めた。露西亜の通貨は下落し、金融取引が出来ず物々交換か不安定な仮想通貨での取引となっていた。起死回生を狙っていた台湾侵攻は自ら没落し行えない。戦浪外交しか知らない中酷は日本を味方につける手段を模索していた。今回、中酷人スタッフを国家総動員法を発令し、国内の英雄に仕立て上げた。人民の目には戦う強酸党を見せつけ、我が国の主張を愚かな日本が認めたとプロパガンダに利用した。ここで脅せば、弱腰の日本は震え上がるだろうと中酷軍機で日本の領空を侵犯してみせた。自衛隊はスクランブル発進し、二分程度の侵犯で今回は事なきを得た。領空侵犯は領海侵犯のようにゆったりはできない。一瞬の判断ミスが戦争になり兼ねない重大な危険行為だった。

 秀吉は激怒し、中酷大使・王村民を官邸に呼びつけた。


王 「今回の件は、政府の意図ではない。何かのトラブルであるからして、問題にな

  さらぬように」


 おどおどしながらも、強気な王に秀吉は、机をバンと叩いて言った。


秀吉「トラブルだと。そなたの国の軍とはそのように愚かなのか、恥を知れ!このこ

   とはあらゆる言語で世界に発信する。次、同じことがあらば、国際法に基づい

   た処置の跡、撃墜もあることを肝に銘じられよ。そうそう、我が軍も処置ミス

   を犯すやも知れん。その際は、総理が責任をとると断言成されている。危険な

   遊びは控えるように。付け加えてやる核を使うなら使えばよい。その後、世界

   はどう出るかを想像してな。そうそう、専守防衛出来ますぞ。潜水艦が謎の爆

   発にあうやも知れませんぞ。日本海には魔物が棲んでおりますからな、わはは

   ははは。そうじゃ、助言を土産に持ち帰れ。露西亜に助けを求めれば骨の髄ま

   で食いつぶされるぞ。そなたらとの関係を明るみに出してもそなたの国の存続

   を脅かしてくる。やつらは自分のことを過信しておる故、道理も脅迫も通じぬ

   わ。国際取引から省かれた今、怖い者はないからな。そなたらとは違う。よく

   考えて行動するように秀欣平に伝えられよ。下がって良し」


 顔面蒼白の中酷大使・王村民は、ズボンを濡らしながら部屋からこそこそと出て行った。


家康「派手にやられましたな。痛快痛快。秀吉殿に任せて正解じゃった」

秀吉「こうも言ってやったわ。今回の中酷スタッフの引き渡しか国内での厳重な裁

   き、インフルエンサーとやらが日本に来て不届きを行う者を英雄視する民度の

   低さを改善できぬなら、敵国認定を行う故覚悟しておくように、とな」

家康「天晴、天晴。吠える犬には吠え返す。知能の低い連中にはそれが一番ですから

   な、わははははは」

秀吉「そうじゃな、わはははははは」






(主な登場人物)

総理大臣に織田信長→豊臣秀吉→徳川家康

副総理に豊臣秀吉→徳川家康→明智光秀改め天海

幹事長に徳川家康→伊達政宗

政調会長・本田忠勝

財務大臣・小西行長

外務大臣・伊達政宗 伊達政宗→島津義弘外務大臣

国務大臣・明智光秀 →服部半蔵

奉行大臣・石田三成→法務大臣「司法卿」・江藤新平

資源大臣・加藤清正

渉外大臣・黒田官兵衛 黒田官兵衛渉外大臣

経済安全保障担当大臣・お江「崇源院」

侍日本党副幹事長・細川ガラシャ

厚生労働大臣・豊臣秀吉→石田三成

防衛大臣・豊臣秀吉。その裏では、名軍師竹中半兵衛と黒田官兵衛渉外大臣が動い 

     ていた。

法務大臣「司法卿」・江藤新平


律嫌眠種党

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