第20話 狼藉者は神隠し
総理執務室を光秀が突然、訪れた。
秀吉「如何致した、光秀」
光秀「御目通り頂き痛み入ります」
秀吉「そなたの事、私の時間を調べ上げての事であろう」
光秀「滅相もない。考えすぎかと」
秀吉「聞いておるぞ、そなたがあの明智光秀ではなく、家康の相談役として暗躍して
いた天海であることを。して要件はなんじゃ」
光秀「許しがたき事件、いや謀反が御座いましてな。沖ノ縄県で謀反者を救うため、
警備の者が尊い命を失いました」
秀吉「また沖ノ縄か。確か藩主は珠置銭とか言う中酷被れの奴だったな」
光秀「はい」
秀吉「奉行・三成を呼べぇ」
秀吉の側近は直ちに石田三成奉行大臣を呼び出した。側近は呼び出しの内容を伝え、それに対応すべく三成は適応する法律・対策を速やかに調べ上げ、総理の元を訪れた。
三成「お尋ねの案件を調べました。全沖ノ縄と名乗る他の地域からきた似非沖ノ縄
人でなる組織が米軍基地移転に反対し、土砂運搬ダンプカーの走行を妨害する
行き過ぎた行為の中、起きた事です。その組織は、国政に逆らい、工事を妨害
することで自分たちの主張を違法にも成し遂げようと活動する輩でして、あろ
うことにダンプカーの前に立ちはだかったり、ダンプの下に潜り込んだりと好
き勝手な振舞。その危険な行為か老婆を救おうと警備の者が命を落としたも
ので御座います」
光秀「許しがたきこと。なぜ、取り締まらぬ」
三成「暗殺された安部川総理時代に共謀罪を作ったが適応に曖昧さが残り、活用さ
れていないのが現状。曖昧部分は一般市民か組織市民かの判断。我らからす
れば愚かな問題ですな」
秀吉「三成、キリシタン狩りじゃ。道路交通法における違反行為とそれを容認してい
た周辺の者を共謀罪で取り調べ厳しく罰せよ」
三成「承知致しました」
三成は、執務室を後にし、すぐさま、警視総監に直接、取り締まりと捜査の強化を命じた。本来なら沖ノ縄県警に任せるべきだが、地元の権力者や政治家がらみで任務を全うしないと判断し、直接、警察庁を動かすことにした。特に露西亜に狙われている北海道、中酷に狙われる沖ノ縄県のような村的な癒着の人間関係が蔓延する警察機構を三成は信じないでいたからだ。
秀吉「人の上げ足を取るのに長けた三成からの申し出ではなく、光秀からとは情け
なく感じる」
光秀「前政権で適応されなかった定めでは手を出せなかっただけ、落胆はお門違い
かと。おっとこれは口ほどが過ぎましたな、失礼致しました」
秀吉「そのとぼけた話術で家康を誑し込んだか」
光秀「滅相もない」
秀吉「して、そなたの本意を聞かせてもらおうか」
光秀「流石、秀吉様。お察し頂けましたか」
秀吉「褒め殺しには乗らぬわ。早う申せ」
光秀「全沖ノ縄を支援する者の中に野党がおりましてな」
秀吉「律嫌眠種党か」
光秀「御意。共謀罪を適応すると差別だ、人権だ、独裁国家だと騒ぎ、マスゴミも偏
向報道を行う。今回も組織の人間でなく一般市民だとテロ準備罪法に抵触し
ないと騒ぎ、活動家を容認するように仕向けている。挙句の果ては、過剰な警
備と老婆を身を挺して助けた者を罵倒するような主張をマスゴミと共用する始
末。マスゴミも全沖ノ縄の活動の闇を隠すようになかったことにする腹積も
り。許しがたき行為」
秀吉「奴らは慈善事業なのか」
光秀「いいえ、日当二万円昼食付でSNSで募っております」
秀吉「日当二万円?年金暮らしには喉から手が出る金額だな。しかし、その資金は
何処から出ておる」
光秀「そこまではまだ調べが及んでおりません。しかし、SNSを辿った所でどこまで
炙り出せるか。苦慮してる中の謀反。動かざるを得ないでしょう。少なくとも
国内の裕福な者、藩主・珠置銭が関わっていることから背後に中酷からの資金
提供も拭えませぬ。中酷大使館から律嫌眠種党や強酸党を仲介し、団体に流れ
るなど資金の流れを解明しなければ撲滅はできませぬからな」
秀吉「我らの時代なら戦を仕掛ければ良いが、この時代は何を行うにも泥濘を走る
ようで歯痒いのう」
光秀「ですから私共がこの世に呼ばれたのかと存じます」
秀吉「我らには限られた時間がある。その間に強引でもこの国を正すのが我らの役
目であろうな」
光秀「そのようですな」
秀吉「相分かった。SNSで雇われた者には国家反逆罪を適用したいが、判例がないよ
うゆえに年金の停止、生活保護申請があっても拒否。正し、警告二回目で実施
致すか。弁護士が出しゃばってくれば、個別に説教し、権利を主張するなら光
秀が家康を傍で支えた方法で処理致せ。分からぬようにな」
光秀「買い被りはいけませぬぞ。目覚めが悪う御座いますからな」
秀吉「好きに致せ。我らがこの世に送られたのは大胆な粛清を致せのことよ。我ら
に残された刻限は余りないと感じるゆえにな。うん、決めた。この秀吉が貧
乏くじを引いてやる。独裁政治を引き、その責任を取って総理の座を譲ること
に致すか」
光秀「宜しいのですか」
秀吉「そなたの望み通り、家康を次期総理にしてやるわ、わははははは。三成には矢
面に立って捜査に励ませよう。その裏で思う存分、無茶をするがいい」
光秀「それでは三成殿が臍を曲げませぬか」
秀吉「奴は仕事は出来るが実戦に弱い。可笑しな輩の注意を引かせ、揉めている隙に
そなたらが動けばいい。警察・司法・議員内が浸食されておる。敵を欺くには
まず味方からと言うではないか。大事ない。事は急がねばならぬ。世直しとは
時に大胆に進めねばならぬが必定」
光秀「御意。秀吉様の決意、有難くこの光秀、承りました」
秀吉「良しなに、良しなに。わははははは」
秀吉は、三成と会談し、事件の成り行きを伺っていた。そこには公安調査庁の別班も動いていた。結果、不慮の事故として処理されたことから、秀吉の堪忍袋の緒が切れた。沖ノ縄県の警察・司法・行政の幹部を反逆罪で拘束。妨害した老婆を殺人共謀罪で逮捕させた。被害にあった警備員には犯罪被害給付制度を活用して手厚く哀悼の意を示した。秀吉は、公安いや光秀が天海として半蔵などの密偵を使い、家康に仕えたように秘密警察を結成させ、調査に当てさせた。
悪評を垂れ流す地元新聞社の金の流れ、人間関係を三成に調査させていた。また、半蔵の配下を全沖ノ縄団体に潜入させ、実態を探らせた。立件出来次第、逮捕に踏み切る。疑わしくは罰するが基本。その結果、沖ノ縄県の警察・司法・行政の幹部を反逆罪で拘束したことにより、彼らを擁護する弁護士や団体、マスゴミが、独裁政治だと騒ぎ始めた。
その裏で不思議なことが起こっていた。支援していた弁護士が依頼者の金を横領したとかパパ活を行っていたとか、不倫騒動などのスキャンダルが炙り出される中、行くへ不明になる者や不慮の事故で亡くなる者も出てきた。これらも秀吉の差し金かは定かではなかった。ただ、光秀こと天海と服部半蔵、それに関連した闇の組織が暗躍していたことは、神のみぞが知ることとして片づけられていた。
(主な登場人物)
総理大臣に織田信長→豊臣秀吉
副総理に豊臣秀吉→徳川家康
幹事長に徳川家康→伊達政宗
政調会長・本田忠勝
財務大臣・小西行長
外務大臣・伊達政宗 伊達政宗→島津義弘外務大臣
国務大臣・明智光秀 明智光秀国務大臣
奉行大臣・石田三成
資源大臣・加藤清正
渉外大臣・黒田官兵衛 黒田官兵衛渉外大臣
経済安全保障担当大臣・お江「崇源院」
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