第11話 凛として

 ある国際会議で、国際原子力機関(IAEA)による安全性の確認がなされた日本のALPS処理水の海洋放出について中酷は日本を非難した。ALPS処理水は高度な技術を伴った処理がなされたもの。日本は、中酷や缶酷のように処理に関する重要度を軽視し垂れ流す阿漕な国とは違う。自国の無能さを棚に上げ、自国に不利になることも思い上がりから我関せずで非難することに集中砲火に勤しむ愚か者の集団。事実から目を背け、都合よく改竄したデータ・言い分を真実と洗脳され全世界に臆面もなく垂れ流す。思考回路が破綻した人間は厚生も再生もできない粗大ごみ以下の存在であり取り扱いに手間取るものだ。

 最早通常業務になった中酷の日本批判。日本は大人の対応で論理的に粛々と対応するしかなかった。この国際会議も例外ではなかった。中酷の利教首相は自信満々で日本批判を展開した。


利教「日本は汚染水を垂れ流し、近隣諸国以外にも海洋汚染を通して世界に危険な汚

   染物を垂れ流す非道な行動を非難するとともに直ちに放水を中止すべきだ」


 利教は強い口調で独自の日本批判を行い満足げだった。論理ができる諸外国の要人・報道陣は完全無視し、中には居眠り、欠伸をする者まで出る始末。その中でも債務の罠に嵌った国や見せ金に騙される愚かな国が中酷に賛同する情けない状態も少なくなかった。会議が休憩に入った。織田信長の顔は紅潮し、利教の方を凝視していた。テーブルを叩くとすくっと立ち上がった。それを伊達政宗外務大臣が「私が参りましょう」と制止した。政宗は帯を締めなおし、襟を糾して「ふ~」と息を吐いて利教の斜め背後に立った。利教が政宗の方を向くと政宗はしっかりした口調で言い放った。


政宗「異議申す!我が国の処理水は汚染水にあらず。IAEA(国際原子力機関)のお墨

   付きも頂いておる。そなたが我が国の放水に異議を申し立てるのであれば、さ

   ぞかし中酷は世界を納得させられる対応を執られているということであろう。

   ならば、IAEAの調査を受けて見られては如何かな。出来ぬであろう。そのよ

   うな国の愚かさに我が国は付き合う必要なし。それでも苦言を吐くならこの場

   でIAEAの調査を海外の記者と共に受けられては如何かな」


 利教は政宗の鋭い視線と迫力に驚き、顔面が蒼白になるのを周知に露呈してしまった。対面すれば何も言えない、それが見せかけ国家の真髄だった。この場面は世界に流れ、世界の反応は、中酷への大国としての責任を問われる記事として拡散された。

 恥を掻かされた中酷は、日本国内にある水産物輸出業者の加工や保管などの施設登録を、五月から全て無効にした。これで中国への輸出はできなくなった。


黒田官兵衛渉外大臣

 「中酷が必死ですな。これを機に我が国も中酷からの輸入を控えるのがよいかと」

本田忠勝政調会長

 「それはいい。ただ子供の喧嘩では情けなし。ここは中酷食品による健康被害を取

 り上げ、汚染食品の危険性を国民に知らしめるのが宜しかろう」

加藤清正資源大臣

 「流通への混乱を危惧し表沙汰にしなかったが売られた喧嘩は馬鹿にされぬために

 も買うのが常套。困るのは奴らの水産業界隈だ。我が国が困るのは鰻位で鮪は他国

 で既に補っている。国民も昨今中酷産・缶酷産には疑いの目を持ち手を伸ばさない

 から問題ない」

小西行長財務大臣

 「奴らは成長ホルモンや危険な農薬を使い、収穫期間を縮めて収益を上げている。

 大人が摂取するのは現時点で問題は不明だが、子供に摂取させれば高齢者となるこ

 ろに間違いなく危害を加える。そうなれば、医療費が逼迫致しましょう。それを防

 ぐことは我らの役目かと」

徳川家康幹事長

 「墓穴を掘るとはこのことよ。以前も水産業に大ダメージを与えて自国の産業を衰

 退させた経験が全く活かされないのは相手にしないのが無難よ」

豊臣秀吉副総理

 「先制攻撃ならぬ防御か。安さに釣られて輸入するのは商いでは当たり前であって

 も、それを食した者が障害や疾病にあえば、国費が削がれる。削がれる前に中酷と

 いう腫瘍を削ぐのが一番よな」

織田信長総理大臣

 「一層の事、鎖国でも行うか、ワハハハハ」

豊臣秀吉副総理

 「それは宜しいな。これを機に親中議員・企業も一層致しますか、あはははは」

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