第13話 因縁の対決。風の民 VS 米陸軍特務尉官。
日付が変わっていた。
真夜中になっても相変わらず辺りは霧で、星ひとつ見えなかった。
もしかしたらこの里を出れば満天の星空が広がっているかもしれないが、今ここで身を隠すシンシアとロバートにはそんな思慮は一切浮かばない。
『……出てきたな』
ロバートが言うとシンシアは頷いた。
天然の洞窟を利用したチュパカブラの施設から白衣を着た男たちがぞろぞろと出て来た。
その数は入った数と一致する。
つまり施設にはもう誰も残っていないことを意味した。
数時間前だった。
辺りがだんだんと暗くなり、空と大地の境界がわからなくなった夕陽が沈んだときだった。
木陰に身を潜めるシンシアたちの脇を薬品の臭いが染みた白衣たちが通って行ったのだ。
行き先はあの洞窟で、彼らは間違いなくチュパカブラを維持するための人間たちだった。
それから二人はそれから数時間待ち続けた。
そして今、作業を終えた技術者たちが立ち去ろうとしていたのである。
のん気な会話をしながら白衣たちが通り過ぎた。
そして薬品臭がやがて霧散し、足音が去り、すべてが完全に消えたとき、二人は足音もなく動いた。
行動開始だった。
『……思った通りと言いたいが、これはペヨーテとちょっと違うぞ』
足下に開花しているサボテンの群生を見て、ロバートが言った。
『そうね……。
日本の警察はペヨーテの一種と発表しているけど、少し違うわね』
シンシアが、そのひとつをむしり取った。
『最初は湿気の多いこの土地に合うように品種改良した一種だと睨んでいたのだけど、これは別品種に見えるわね?』
『どう言うことだ?
この国にもともとサボテンなんかあるのか?』
『ないと思うわ。……不思議ね』
『だとしたら、やっぱり最近持ち込まれたものか?』
『どうかしら?
この国は島国なのよ。はるか昔の外国の難破船が積んでいたなんて想像も楽しいわね』
『なるほどな。
ま、それがどうやってこの地にやって来たかよりも、現在ここに禁断の実があることの方が重要だな』
『そうね』
シンシアはペヨーテを少し囓った。
苦みが口いっぱいに広がった。そしてすぐに吐き捨てる。
『当たりね……。
やっぱりこれ、そうみたい』
しかめっ面のシンシアをおかしそうに見ていたロバートが先へと促した。
しばらく歩いた先に、施設の入り口があった。
堅く分厚い金属製のドアだった。そして当然のように鍵がかかっていた。
ロバートはバッグから工具を取り出して、ものの数秒でそれを解錠させる。
ドアを開けると薄暗い常夜灯が灯っていた。
闇の中から来た二人には、それでも明るい照明に思える。
内部に踏み込むと激しい異臭が鼻についた。
中はかなり狭かった。
通路の両脇に背の高さほどのガラス製の円形水槽が並んでいる。
培養槽だ。
その中には目を開けたまま静止しているチュパカブラが一匹ずつ入っていた。
だがそのほとんどが顔なり腕なりが崩れている。
『破損がひどいわね……。
半数はもう使い物にならないんじゃないかしら?』
『まだまだ使い捨ての兵器だからな……。
へえ、なるほどな。初めて見た』
『なあに?』
シンシアが歩み寄った。
そこには小さい水槽があり、手のひらほどの毛むくじゃらがたくさんの管につながれてあった。
『……これが三日もすれば成体になるんだぜ。
信じられるか?』
『まさに神の技ね……。
いや、悪魔の技かしら』
シンシアはカメラを取り出すと、それらを写真に納め始めた。
破壊の前に撮影は終わらせるつもりだった。
『あ、これを見てみろ』
ロバートが指し示した先には山と積まれたペヨーテとそれのエキスを抽出するらしい設備があった。
『メスカリンね。
こいつらが見境なしに襲ってくる訳ね』
そして奥に進んだ二人は異臭の元を見つけた。
『なんて臭いだ。鼻が曲がっちまう』
『ちょっと。
……正視するには耐えられないわね』
それは破棄されたチュパカブラだった。
肉が腐り骨が溶けた状態でまとめてガラス容器の中に浸されていたのだ。
しばらくそれを見ていた二人は首を振ると作業に戻った。
施設の見学が仕事ではないからである。
『……ストレージ類ではずせそうなヤツは、だいたい手に入れた』
ロバートがそうシンシアに報告した。
そして手にしたこの施設のコンピュータのストレージ類をバッグにしまう。
『問題はこれらをどう破壊するかね?』
すべての撮影を終えたシンシアが呟いた。
『爆破、……って訳にはいかないな。
何人いるのか知らないが、里中の人間が目を覚ますぞ』
『そうね……』
そういってシンシアは思案顔になる。
そのときだった。
『おい、これなんだ?』
ロバートが指し示したのは、足下にある扉だった。
『倉庫か?』
『地下室かもね』
ロバートが怪力に任せてその分厚い金属扉を床から引き上げた。
すると白熱電球が灯るここよりいっそう薄暗い空間が現れた。
梯子があり、その下へと降りられそうだった。
『降りて……みるか』
ロバートが先頭になって地下へ降りる。
そして険しい表情になり頭上のシンシアに手招きをした。
『……なにこれ? どう言うこと?』
地下に降り立ったシンシアが、思わず口を押さえた。
『そう言うことなんだろう?』
地下は四畳半くらいの狭さだった。
天井も低く息がつまりそうだ。
もちろん窓などない。
――そこに二人の人間がいた。
『……エリーとリーフ、ね?』
『そうだろうな。
……生きていたんだ』
それはエリーとリーフ。
つまり
両手両足の自由を奪われ、下着姿で転がされていたのだ。
調べてみると二人は生きてはいるものの、すでに正気を失っていた。
瞳はとろんとしていて、半開きの口からはとろりと唾液を垂れ流している。
軍人としてそれなりに修羅場を見てきたシンシアたちだが、これを見過ごせるほど冷徹ではない。
『ひどいわね……。
医者じゃないから詳しいことはわからないけど、完治するのかしら?』
『わからない……。
とにかく救出しよう』
先に出たロバートが梯子の下からエリーを受け取ろうとした。
そのときだった。
「……なるほどな。アメリカ陸軍の登場って訳だ」
突然の声にロバートはギョっとした。
この施設に気配も音もないことは確認しての行動だったからだ。
「ここを破壊でもするつもりか?」
男が立っていた。佐藤だった。
「お前、何者だ?」
相手に合わせて日本語でロバートは尋ねた。
だが照明の影で顔は見えない。
背は高いがロバートほどではない。
それに折れそうな細い身体だ。
ロバートは佐藤を知らない。だから、勝てる、と思ってしまった。
「おいおい、他人の家に土足であがって何者呼ばわりはないだろう?」
「なるほど、ここのオーナーで今は水槽で眠っているペットの飼い主登場って訳だ」
男は警戒することもなく明かりの下へと歩み出た。
にやりと笑った顔に冷たい眼差しが宿っている。
……ただ者じゃないな、とロバートは瞬時に悟り、一瞬前の自分の判断を訂正した。
この男が無防備に見えるのは見た目だけであり、実は隙など、どこにもないことがわかったのである。
「消えな。
黙ってこの場を立ち去れば怪我しなくてすむぜ」
ロバートが身構えて言う。
コツコツと佐藤の足音が近づく。
「ほお、君は実におもしろいことを言うんだな」
不敵に笑う佐藤が、とうとうロバートの目の前に立った。
互いの鼻先がつきそうな異常に近い距離だ。
「お前、馬鹿にしてるのか!」
ロバートが居合い抜きの要領でナイフを一閃させた。
だが、佐藤はふわりと身をそらし逆手でロバートの利き腕を掴んだ。
ぐッ……。くぐもった声がロバートの口から漏れた。
骨が悲鳴をあげた。
まるで拷問のような握力だった。
「……お前は『風の民』だな?」
この場合「お前も」と言わないのがロバートらしかった。
「も」と言えば響と面識があることがこの男に伝わってしまうからだ。
響と男の接点がわからない以上、相手に無用な情報を与える訳にはいかない。
「ほお、博識だな」
「過去の大戦で我が軍を全滅させた化け物だ」
「ご希望なら、ここでも再現してみせようか?」
「それは……、どうかな?」
にやりと笑ったロバートが腰を効かせた蹴りを繰り出す。
不意を突いた見事な攻撃ではあったが、すでに神域に達している佐藤の反射神経の相手ではなかった。
佐藤は瞬時に体重をかけた足で地を蹴り、気がつくと十メートルほど離れた距離に立っていた。
「確かにお前は強いよ。
だがな、その身体は生身だ。これならどうする?」
佐藤はギョっとして身構えた。
ロバートの左手に握られているモノを視認したからだ。
それは、今まで見たこともない大きな手榴弾だった。
ダンベルのように中央がグリップになっていて両側には大きく丸い爆弾部がある。
これはロバートのような特殊任務についた軍人だけに支給される特別タイプで、その破壊力は手榴弾と言うよりも爆弾と言った方がわかりやすい。
「……なるほどな。だができるのか?」
狭い施設だ。
ここでの爆発は、佐藤はもちろんロバートにも確実に死をもたらす。
「この施設とお前の命、それと引き替えなら悪い計算ではないだろう?」
ロバートはピンに指をかけた。
……だが佐藤は高笑いだった。
「やめておけ、俺はお前を一瞬で殺せる」
それは事実だった。
ロバートにはわかっていた。
『風の民』を相手に、これだけの距離ではピンを抜き爆発させるまでには、まったく時間足りない。
つま先に力を入れた佐藤の靴が、ジリッと音を立てる。
来る……!
佐藤が超人的な跳躍を見せ、その身体が宙に舞った。
ロバートは瞬間的に身をそらしながらピンを抜いた。
そのときだった。
着地姿勢に入った佐藤の目に、地下室から発射された三発の弾丸が迫ってくるのが見えた。
『風の民』ならではの動体視力だ。
くッ……!
支えのない空中での出来事だったのが佐藤には不幸だった。
かろうじて身をよじったが肩の肉に着弾する異物を感じた。
そして着地と同時に激痛を意識した。撃たれたのである。
「ぐおおおおおおおおおっ……!!」
……ぐ!
そこで佐藤は『く』の字になって飛ばされた。
獣のような咆吼とともに、ロバートの重い蹴りが腹部に直撃したのだ。
こみ上げる胃液を吐きながら佐藤は地に着いた片手でバランスを直し、視線をロバートに向けた。
……なにっ!?
佐藤の目にロバートの手を離れた手榴弾が、床を跳ねるのが見えた。
……やがて轟音が起きた。
施設の破片を巻き込んだ爆風は洞窟の分厚い金属製ドアをはじき飛ばして、その圧力の矛先を納めた。
そして訪れた静寂。
しばらくすると東の空が明るくなった。
動くものがなにひとつない施設の中で地下室へと続く床の分厚い扉が重い音をたてて開かれた。
『……いないな』
顔を出したのはロバートだった。
『きっと逃げられたのね……?
でも、無傷じゃないはずよ』
地下からシンシアの声が聞こえた。
爆発の直前にロバートは地下室へと身をすべらした。
それを引っ張り込み、扉を閉じたのがシンシアだった。
身体能力では『風の民』にかなわない二人だが確実に佐藤を上回っているものがあった。
それはチームプレイだ。
長年コンビを組んできた二人には、事前の打ち合わせなどなくても、とっさの判断で最善の結果を呼び込むことができるのだ。
施設は完全に破壊されていた。
金属とガラス、そして肉切れだけがぶちまけられていた。
□
……僕は夢を見ていた。
響が湖畔で横たわっていたのだ。
深く傷ついた身体を休め、必死に体力の回復に努めているように見える。
そしてその姿は満身創痍で、顔や腕に無数の裂傷があった。
彼女の姿は祈っているようにも見えた。
両手で胸に抱えているのは、なぜか僕があげたミカンだった。
さざ波の音と十分に熟する前の、すっぱい柑橘の香りがリアルだった
……ドアをノックする音で僕は目が覚めた。
窓の外から明るい光が差し込んでいた。
「……龍児くん、起きた?」
沙由理さんの声だった。
時計を見たら午前六時。
昨夜は九時には寝たのだから睡眠は十分のはずなのに、なのにどこか鈍い疲労感が残っていた。
「あ、はい」
僕は跳ね起きた。
見ると服は昨日のままだった。どうやらあのまま眠ってしまったようだ。
臭いを嗅ぐと汗くさいので僕はその服を脱いだ。
するといきなりドアが開いた。
「うわっ……!」
下着一枚の姿だったので僕はあわてた。
「あら、ごめんなさい」
沙由理さんはそうは言ったものの、まるで弟の下着姿でも見たくらいにしか思わないようだった。
「……ちょっと事件が起きたの。
急いで下に来てくれる?」
そういって沙由理さんはドアを閉めた。
僕は急いで服を着替えた。
だがその時に、ふとした疑問が起こった。
確か昨夜、ドアの鍵をしっかりかけたはずだった……。
着替え終わった僕は階段を降りた。
するとロビーで意外な人物たちの姿を見かけた。
「……おはよう、タツノコ。
最高の朝ね、と、いいたいけど……正直疲れたわ」
驚いたことにシンシアさんとロバートさんがいた。
ススだらけと言うか泥だらけと言うか、とにかく真っ黒に汚れた服装と疲れ切った顔だった。
そしてソファーには、毛布でくるまれた見知らぬ若い女性が二人静かに眠っていた。
前髪が額に張りついている。そしてその顔は青白い。
相当に衰弱しているのは医者でもない僕でもわかる。
「こ、この人たちは……?」
「エリーとリーフ。
ロバートたちが昨夜救出したらしい……」
悟郎さんが代わりに答えてくれた。
「……佐藤さんは、どうしたんですか?」
僕はあわてて周囲を見回す。
こんなところを管理人の佐藤さんに見られたら、どうなるかわからないからだ。
「……いないのよ」
沙由理さんが言う。
「明け方過ぎに目が覚めたので、トイレに行ったついでに管理人室をのぞいてみたの……。
そしたらもぬけの殻だった。
鍵も開いてたので入ってみたんだけどベッドもキッチンも使った形跡がないの」
佐藤さんの部屋に入った?
……僕はあぶない真似をすると思った。
「……響は? 響はどうなんですか?」
沙由理さんは首を振った。
僕は目の前が暗くなる思いがした。
「――取りあえず事件は解決した。
佐藤とか言う管理人は深傷を負ったはずだ……。
とにかく約束は守った。俺たちは、チュパカブラを全滅させた……」
僕は驚いた。
やはり管理人の佐藤さん(いや、もう『さん』付けはいらないな)……。
厨房の冷蔵庫で見つけたらしい瓶ビールをラッパ飲みしながらロバートさんが話を続けている。
でもその姿は凱旋した戦勝将軍のような堂々とした雰囲気ではなく、どうにか生き延びた敗残兵のようにしか見えなかった。
そして二人が語る長い話から、僕のその判断が正しかったことが証明された。
「……つまり、チュパカブラは佐藤が飼っていた。
そして見境なく襲ってくる凶暴性はこの里で栽培されていた麻薬のせいであり、チュパカブラはその麻薬栽培を隠すための番犬として密かに購入されたって訳ね?」
沙由理さんがロバートさんたちの話の要点をまとめて確認した。
シンシアさんとロバートさんは頷いた。
「……それで、この二人の女の子たちは、おそらくその化け物の施設なり、麻薬を栽培している畑なりかを目撃したかで監禁された可能性がある、ってことだな?」
悟郎さんが念押しする。
これにも二人は頷いた。
「……これが証拠よ」
シンシアさんがバッグから出した緑色の丸い玉をテーブルに置いた。
「サ、サボテンじゃないですか?」
僕は思わず大きな声を出した。
ミカンくらいの大きさのサボテンで、いくつかは白いかわいらしい花が咲いている。
「あー、そうね。
中米原産のペヨーテに近い種みたいね。
乾燥地方原産のものがどうしてこんなに湿気が多い土地で栽培できるのかは、私にはわからない。
……でも事実は事実だわ。
これは食べると強烈な幻覚作用を起こす成分を含んでいるの。
元々は外観に似合わずおとなしい性格のチュパカブラを凶暴化させる原因はこれ。
……そしてこの女の子たちも、おそらくこれをかなりの量を投与されていると思われるの」
シンシアさんがそう説明した。
「……大丈夫なの? この子たち?」
沙由理さんが心配そうに尋ねる。
「わからないわ……。
しばらく入院することになると思うけど。
ここまで運んで来たのはいいけど、衰弱が激しいからこれ以上、下手に動かすことができないわ」
鉛のように重い空気がロビーを支配した。
誰もが口を閉ざしている。
そんな時間がしばらく続いた。
「……思い出したぞ。
ペヨーテは別名ウバタマと言うはずだ。
七色の夢を見るとか言われている強い幻覚作用を引き起こすメスカリンを多量に含んでいるサボテンなんだ」
長い間、考え顔だった悟郎さんが突然言った。
「そ、それって警察が配っていたチラシに載っていたものじゃない……。
そう言うことだったの?」
沙由理さんがおぞましいものでも見たかのようにペヨーテを指さして言う。
「うん、おそらくね。
検問で捕まったトラックが積んでいたのは、この土地へこれを運んでいたんじゃない。
産地であるこの土地から、どこかへ運ぶ最中だったんだ」
「……それなら海も国際空港もないこの場所に大量に麻薬があった理由は説明できるわね」
沙由理さんの言葉に全員が頷いた。
ひとつのからくりが解き明かされたのを理解したのだ。
「……でも、おかしいですね?」
そのとき僕は話を聞きながらも、ひとつの疑問が脳裏に渦巻いていた。
「なにがだい?」
悟郎さんが僕の言葉に反応した。
「大したことではないのかもしれませんが……。
シンシアさん、ロバートさんのお二人の話だと大亀池のそばにあったチュパカブラの施設を手榴弾で破壊したんですよね?」
「ああ、そうだ」
ロバートさんが、あごを引き肯定する。
「……僕にはその爆発音がまったく聞こえませんでした。
もちろん眠っていた訳ですけど爆弾が爆発したんですよね?
相当大きな音がしたんだと思いますが……」
「タツノコは、あの音が聞こえなかったって言うの?」
シンシアさんが、意外なものを見るような目つきで僕を見た。
「はい……」
僕は頷いた。
ところがそれは、僕だけではなかった。
「……そう言えば俺も聞いてないな。
俺は眠りは深い方なんだけど、物音には割と敏感なタイプなんだけどな」
悟郎さんが首を傾げたのだ。
そして沙由理さんも、あわてたかのように口を押さえる。
「私もそうだわ……。
いつもなら夜中に何度か目を覚ますんだけど、嘘みたいに深く眠ってたの」
僕たちが昨夜かなり疲れていたのは事実だ。
だけどここは不夜城の都内なんかじゃなくて、宵闇に満たされれば騒音ひとつしない山奥なのだ。
そんな轟音があれば、少なくとも誰かひとりくらいは気がつきそうなものだ。
「俺たち、よっぽど疲れていたと言うことか?」
僕たちは互いに顔を見合わせた。
そして合点がいかないままだったが、僕たち三人は疲れで熟睡していたと言うことで話は落ち着いた。
「……すまんが、しばらく俺たちを休ませてくれ。
この女の子たちは俺たちが交代で見張るからそれは安心していい」
憔悴しきった顔でロバートさんが言った。
「沙由理たちはスーパーガールを捜して……。
そしてこんな場所から、さっさと引き上げましょう。
でも、
僕たちは頷きながら立ち上がった。
シンシアさんが
それは佐藤のことを言っているのは十分に理解できた。
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