由貴の訃報を知ったのは、あの電話から3日後だった。

 それは、富士さんからの連絡で知った。


「望ちゃん、久しぶり。前の合コン参加してくれてありがとうね。直接連絡取りたいから連絡先教えてくれないかな?」とSNSのDMが届いた。

 私は、何だろうかと思い連絡先を送った直後に電話が来た。

 そこで、この事実を知ったのだ。

 富士さんと由貴はそこまで接点がないはずなのに、どうしてつい最近会った私より先に富士さんの方が早く情報が回ってきたのか不思議だったけど気にしないようにした。お通夜と葬儀の日程と場所を教えてもらい通話は終了した。

 死因については、自死とだけ伝えられた。あんなに、彼氏のことで惚気ていた由貴がどうして?真相なんて、もうわからないけどつい最近会った由貴のことを思い出して、少し傷心に浸る。


 お通夜は、残業終わりに急いで行ったから知っている人はいなくて久しぶりに見る由貴の両親に挨拶をした。

「望ちゃん、お久しぶりね。由貴とは会ってたの?」

「お久しぶりです。この度は、ご愁訴様です。はい、ついこの前カフェしたとこで」そうなのね、と望のお母さんは涙を拭いながら「本当になんでこうなったのかしら」「あの、差し支えなければ由紀に何が?」

 その時、火曜日に受けた電話を思い出す。何か切羽詰まっていたような、そう思うが自死するほどの原因があの電話にあるとは全く思えない。

「自分の部屋でね、亡くなってたらしくて。発見されたのは会社の無断欠勤が続いて心配してくれた由貴の後輩さんが家に訪ねてくれたのがきっかけで発見に至ったのよ。自殺にしては色々と気になる点があったみたいだけど」

「そうなんですね」私は言葉が見つからず、ご両親に再び挨拶をしてその場を離れた。


 会場から出ると同時に、車が目の前に止まり富士さんが降りてきた。

「あ、望ちゃん....」

「こんばんは」富士さんは涙ぐみながら「ちょっと今から私会場行ってくるから、えっと、よかったら一緒に帰らない?車よかったら乗ってて。彼のこと知ってるでしょ?」とそう言って、後部座席のドアを開けてくれた。

 運転席をチラッと見ると、恋焦がれていた彼が座っていた。

 こんなチャンス二度とないかもしれない「いいの?」と聞きつつ、私は後部座席に乗り込んだ。「うん。望ちゃんをよろしく」と富士さんは彼に伝え、ドアを閉めた。


「大変だったね」と先に声をかけてくれた彼に「はい」と小さな声で答える。

「俺のこと覚えてる?」

「もちろんです。富士、えっと、さやかちゃんのSNSで付き合っているの見ました」「恥ずかしいな」一見あまり興味がないように答えておいた。

 ここでがっつくと危ない。ましてや、友人のお通夜の後だ。


 少ししたら、富士さんが戻ってきた。

「ごめんね、お待たせ」と言って当たり前のように助手席に座った。

 少し、もやっとする。

「望ちゃんも急にごめんね。私、ここ数ヶ月結構由貴と会ってたからさ現実受け止めれなくて」そんな由貴からは話聞いていない。と言っても私と由紀はついこの前の休日に久しぶりに会った程度、富士さんとは3ヶ月前の合コンで久しぶりに会った程度。私の知らない友情だってあるに決まってるけど、なんだか接点が見当たらない。

 「やっぱり、彼氏のことで悩んでたのかな」ぼそっと富士さんがつぶやいた。「彼氏って?うまいこといってるんじゃないの?」カフェで散々惚気られた話が蘇る。

「あぁ、うん。別のところで話そっか。達也くん、どこかカフェできるところまで連れて行ってくれない?」

「うん。近くにファミレスでいっか」そう言って、彼は車を動かし会場からすぐのファミレスへ向かった。







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