第24話

「え、え、ほんとに?」

私達は授業終わりに裏門方向に向かって歩いていた。最近のアルバイトの状況をそれぞれ話していた。ふと波瑠に話を向けると彼氏ができたと言う。貴子と私は驚いた。相手は同じバイト先の人の良さそうな年下の子。

波瑠は明るくてお笑い好きで、私とふざけて、アパートのインターホン画面越しにレンジャーの全身スーツを着てはしゃぐようなキャラクターだ。カップラーメンの残り汁を炊飯器に入れて米を炊くという荒技をやって、その話でバイト先の男性陣にひかれたこともあった。そんな恋愛に興味がなさそうだった波瑠からのまさかの報告。

私達は質問責めしたい気持ちでいっぱいだったが、とても恥ずかしそうにしている波瑠をまるでいじめているかのようで、聞けなかった。彼女の人間的な魅力を知っているからこそ、なんだかとても嬉しい気持ちでいっぱいだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る