「え、にんじんの皮剥くの？」

みんなでカレーをつくっていると、小野が横からうざったく絡んできた。小野はバドミントンサークルに所属している典型的なガリ勉で、垢抜けたいないヒョロリとした男だった。「うちの母親は皮に栄養があるから剥かない」出た、マザコン発言。噂では毎日の食費を負担してもらっていて、基本的に外食をしているらしい。料理のできない単身赴任の夫のようだ。なんだか一時でも妻役をやらされたようで嫌だった。小野の友達でありバドミントンサークルの田中は穂乃果の方がすきだった。今日は作戦会議だ。「遅れてごめん、アイス買ってきた」これまたバドミントンサークルの中村先輩が遅れてやってきた。サークルを辞めてからもこのメンバーでダラダラ呑んでいることが時々あった。田中は冴えないメガネをかけた男の子ではあるが、優しい好青年で中村先輩と兄弟のような同じ雰囲気をまとっていた。穂乃果の好きなタイプではない。分かってはいたが、私から穂乃果に一緒に出かけようと伝えると言ってしまった。小野と田中と穂乃果と私の4人でディズニーランドに行く約束をした。