第4話
棚は俺の身長よりも高い場所に設置されているせいで、一番上に積まれている箱を取り出すことができない。
ソファに乗っても届かないので、行儀は良くないが、テーブルの上から取ろう。
そこには先輩が高校生の時に創ったペンギンの像や先輩が持ってきたSF本が置かれているが、わざわざ別の場所に移してテーブルを動かすのも面倒なので、このまま乗ることにした。
それでも離れているが端に立って手を伸ばせば、やっと届きそうだ。箱は埃まみれで、鼻の中へ容赦なく入ってくる。我慢したいが、くしゃみが出そう。
「クシュン! うええ」
おじさんの様なくしゃみをしてしまい、思わず松島さんの方を振り向いてしまった。
また睨まれているのだろうと思っていたら、こちらを心配そうに見ている彼女が目に入った。
その瞬間、テーブルの端にいたせいで天板が動いてしまい、ペンギン像が宙を舞ったのが見えた。脚立を持っている写真部にお願いをして借りてくれば良かったと後悔をしても、もう遅い。
「むっちゃん!」
彼女が俺のあだ名を呼んだ気がしたが、何故知っているのだろう。
頭から血が出ていたらどこの病院へ行けば良いのだろうと考えながら目を開けると、辺りが灰色に染まっている場所に立っていた。
「死んだ?」
そう呟くと、いつからいたのかは分からないが隣に母がいるではないか。
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