第19話 PVPイベント

 PVPイベント当日。俺はインオンにログインしていた。開始まであと5分を切っており、この時間から参加することが出来る。

 エリスは参加することが出来ない。


「頑張ってねチサキ! 私は見守りながら、精一杯応援しているわ!」


「良い結果を残せるように頑張るわ」


【PVPに参加しますか?】


「行ってくる」


 俺はYesのボタンをタップした。すると足元が光り輝いて、俺は森の中へと転移された。




 俺の体はスタートするまで動けない。まるで金縛りにあったみたいだ。


 今の内にPVPイベントのルールを把握しておこう。

 PVPは時間制限があり、プレイヤーにはポイントがある。プレイヤーに勝てば増えて、やられたら減る。やられたプレイヤーは10秒後にリスポーンすることが可能だ。あと、エリアは別れており、各エリアを行くことが出来る。種類は本番当日になってからのお楽しみということであり不明である。


 カウントダウンが始まった。――スタートした瞬間、俺の体は動けるようになった。


「森ね……用心深く進みましょうか」


 俺はレッドサイズを出して森の中を進んでいく。……視線を感じるんだよな。

 影が動き出した。


「【エンチャント(風)】」


「取った!」


「遅い!」


「なにっ!? ぐあああっ!!」


 瞬時に後ろを振り返り、レッドサイズを振り下ろした。クリティカルも発生して、相手プレイヤーは地面に倒れ伏す。両手には短剣を持っていた。私が持っているレッドサイズに対して間合いが違い過ぎて奇襲したのかな。


「とどめ」


「ぐっ」


 レッドサイズを振り下ろして、相手プレイヤーを消滅させた。確定クリティカルほど強いものは無い。


「見つけた! 先手必勝、【スラッシュ】!」


 目の前から新たなプレイヤーが現れた。両手剣が光り輝き、それを振り下ろすと斬撃が飛んできた。俺はレッドサイズを振って、風で斬撃を相殺した。


「そんなのアリかよ!?」


「私も!」


 これに関しては多分弱体化されると思う。俺だってこんなことされたら理不尽に感じる。


「ぶっちゃけどうかと思うわ!」


「ぐああああっ!!」


 プレイヤーをレッドサイズで交差して切り裂く。プレイヤーは断末魔を上げて消滅した。

 よし、この調子でプレイヤーを狩り続け――いや、アリサさん探さないと!

 俺は駆け足で移動した。




115:Noname

ファッ!? 強過ぎやろ!?


116:Noname

大鎌使いの美少女強過ぎwww


117:Noname

これで6人目だっけ?


118:Noname

そうやね


119:Noname

攻撃したプレイヤーに対して、結構やり返しているよね?


120:Noname

しかも大体一撃だからね、STRに極振りしているのかね


121:Noname

それにしては速過ぎね!?


122:Noname

見たこと無い大鎌も使っているんだよなぁ


123:Noname

あっ、この大鎌の娘、見たことある!


124:Noname

えっ、本当か!?


125:Noname

うん、ワンスターの冒険者協会にいたことを見たことある


126:Noname

おっ、大鎌使いが4人に挑まれてるぞ




 俺はアリサさんを探しているが、中々見つからない。もしかして別のエリアにいるのかも。


「見つけたぞ大鎌使い! お前のポイント、奪わせてもらう!」


 俺の目の前に現れたのは、4人のチームだった。それぞれ、片手剣と盾、杖、大剣、槍を持っていた。


「私のポイント目当てね」


「悪く思うなよ」


「別に、ルール違反じゃない訳だから良いんじゃないかしら?」


 チームを組むことはありだからな。


「行くぞ!」


「「「おうっ!」」」


「【エンチャント(闇)】【身体強化】!」


「【ファイアーボール】!」


 迫ってきた【ファイアーボール】は薙ぎ払う。片手剣持ちと槍持ちが接近戦を仕掛ける。まずは槍持ちからだ。

 片手剣の攻撃を避ける。槍の突きも避けて槍持ちに大鎌を振り下ろす。


「ぐああああっ!!」


 1人目。槍持ちは消滅する。


「【スラッシュ】」


「【ファイアーボール】!」


「取った!!」


 前から【スラッシュ】という斬撃と【ファイアーボール】。後ろから大剣が振り下ろされる。

 俺はそれを横に避けた。【スラッシュ】と【ファイアーボール】が大剣の男に当たる。


 俺は背後から大剣の男を大鎌で切り裂く。2人目だ。


「くっ」


「なんて強さですか!?」


 片手剣持ちが背後にいる魔術師を守るように立った。盾を構えている。俺は一度距離を取って、木々に紛れ込む。


「来い!」


「私の狙いは、貴方よ!」


「なにっ!?」


 俺は魔術師の背後を取って大鎌を振り下ろす。これで3人目。


「うおおおおっ!!」


 片手剣持ちが片手剣を振り下ろす。だけど数秒遅かった。

 俺は横に回避して、片手剣を持っている腕を切り落とす。そして盾を構えるより前に、腹に大鎌を突き刺した。


「やるな、見事だった……」


 片手剣持ちはそう言って消滅した。素直に嬉しい。

 それと戦闘ダメージは全てクリティカルであった。




144:Noname

いや、全部の攻撃回避しつつ、一撃って


145:Noname

木の中に紛れて、背後を狙うのは上手かった


146:Noname

これはかなり大波乱になるぞ


147:Noname

大鎌って不評でしたよね? どうしてここまで使えるんですか


148:Noname

そりゃ、愛でしょ




 ここで、空から大音量が聞こえた。見上げると映像が写し出されていた。その中に、アリサさんの姿があった。


『荒野エリアにはまるで誰かを待っているかのように動かないプレイヤーがいるぞ! いったい何が目的なんだ!?』


 荒野エリアか!

 俺はすぐにマップを出す。そこには俺の現在地と全体のマップがあった。


「待っていて下さい、アリサさん!」


 俺は荒野エリアに向けて駆け出した。




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