第15話 告知

 帰宅した。『インオン』にログインする。ちなみにインオンはインフィニティオンラインの略称である。最近使い始めた。


「うん?」


 メニューが自動で開いている。告知があるようだ。


「なんだろ」


 俺は告知をタップ。するとイベントの情報が載っていた。


「イベントの内容は……PVP!?」


 つまりプレイヤー同士で戦うのだ。チームを組むのは有りで、初めての対戦イベントであった。ちなみに報酬はあるけど、


「うーん、俺に合う報酬は無さそうだ。だけど、腕試しには悪くない」


 腕を試す機会にはなる。嗚呼、楽しみだ。PVPイベント!


「チサキ、さっき『俺』って言ってなかった?」


「ひゃっ!? エ、エリス。あっ、それはその……秘密ってことで良いかしら」


 そうだ、エリスいるんだった。やっべ普通に俺って言っちゃったよ。ここではチサキなんだから俺は。秘密で誤魔化し効くかな。


「ふーん。秘密なら深く聞くことはしないよ」


「ありがとう、エリス」


 どうやら秘密ってことで納得してくれたらしい。エリスには感謝だな。俺も女の子らしくしよう。


「それじゃあ、冒険者協会に行くけどエリスは姿を消せる?」


「任せて!」


 これは偶然出来たこと。人がいる場所でエリスが映ったら大変になるんじゃないかと思い、エリスに聞いてみた所、自身を消せるようになっていた、らしい。前までは出来なかったのだが、俺と契約したことで出来るようになったと、エリスは語っていた。

 俺には形だけが見えるようになっており、透明になっていた。


「行きましょう」


「うん!」


 俺とエリスは部屋から出た。




 俺とエリスは冒険者協会にやってきた。エリスは空中を自由に飛び回っている。エリス~。

 それと冒険者協会もかなり人が多い。多くの話題がイベントに関することだった。


「イベント情報見たか? インオンもPVPやるんだってさ」


「PVPか、面白そうだな」


「PVP、どんな風になるのだろうか」


 等、様々な声が聞こえてくる。みんな、どんなイベントになるか期待を寄せているそうだ。


「あっ、チサキ!」


「んっ? ア、アリサさん!?」


 後ろに振り向くとちょうど冒険者協会に入ってきたアリサさんがいた。ここで見ても美少女である。


「こんにちわ」


「こんにちわ」


「周りは盛り上がっていますね、PVPイベント、私も楽しみです」


 アリサさんはそう言って腰に掛けている自分の剣に手を置く。剣は紫色だった。

 アリサさんも楽しみなんだ。


「アリサさんは、参加するの?」


「勿論です。私自身の腕を試せる良い機会だと思うから。チサキは参加するんですか?」


「私も参加する。だから、イベントだと敵同士ね」


「そうですね。……なら1つ提案があります」


「提案?」


 チームを組みたいのだろうか。


「私と、戦って下さい!」


 その場にいた全員が喋るのを止めた。アリサさんが言ったのは、俺に戦って欲しいとのことだった。その瞳は真っ直ぐ俺を見ている。

 俺も気合いを入れて挑まないといけないらしい。


「良いわ、受けて立つ」


 俺は真っ直ぐアリサさんを見つめる。この場の人達は俺とアリサさんの間で火花が散って見えるだろう。


「私が見つけるまで、誰にも倒されないでね」


「良いでしょう。貴女も必ず来て下さい。待ってますから」


 アリサさんは俺を通り過ぎる。沈黙していたこの場も、今じゃ俺とアリサさんの話が話題に上がっていた。


 アリサさんに勝負を持ち掛けられた以上、俺も気合いを入れ直さないと。少なくとも今のままじゃ駄目だ。アリサさんと戦うに相応しい姿で挑まないといけない。

 だから、最近考えていたけど……おしゃれしてみようかな。今の俺、美少女だし。


「……エリス、行くわよ」


「? 何処に?」


「服屋よ」


「分かった」


 俺とエリスは冒険者協会を出る。さてと、服屋を探しに行きますか。




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