第11話 10体の骸骨騎士
俺とエリスはダンジョンの中に入った。中は洞窟のようで自然のトンネルみたいな感じだった。
中は薄暗くランプが無ければ何も見えない。暖色の光が周りを照らしていた。
ちなみにエリスなんだけど羽から光の鱗粉(?)を飛ばしている。それを光源にしていた。
「こんなこと出来たんだ」
「妖精だからね。出すも出さないのも私次第って感じ」
妖精って器用なのかもしれない。
暖色で照らされているダンジョンを歩く。地面には骨が落ちていたり、人骨がそのままあったりした。
ホラゲは全然やったことないから分からないけど普通に怖かったりする。エリスも骨見る度に「ヒィ!?」と小さな悲鳴を上げる。
ダンジョンを歩き続けた。ここまでは骨がある以外何事もなかった。
だが俺がここに足を踏み入れた瞬間、何処からか火が灯った。見れば柱の上に火が揺れ動いている。
柱は複数あり、上に火が灯っていく。周りの柱に火が灯る。
ここはコロシアムだった。観客席は無人。広場は俺とエリス。そして鎧を纏い剣を持つ
「骨だらけと思ったら敵まで骨なのね」
「スケルトン達、強いよ!」
エリスの言う通りスケルトンは強い。数は10体。どれも鎧を纏い剣を持っている。何よりレベル20だった。俺とエリスの倍くらいある敵が10体もいる。
可笑しい。ダンジョンの難易度はプレイヤーのレベルと数に合わせて調整するようなこと書かれていたけど。どう考えても合ってないぞ難易度。
だからといって引く訳にもいかない。レベル差がある戦いはこれで2度目か。
「出てこい大鎌。……エリス、やれる?」
「サポートなら任せて!」
頼もしい限りだ。
俺は大鎌を出して構える。スケルトン達も構えた。最初に動いたのは俺だった。
「【身体強化】! はあああ!」
【身体強化】を使いスケルトンに接近。攻撃される前に攻撃する。
大鎌で攻撃。当たった。ダメージはそこそこか。これはもう1つ使うしかなさそうだ。
考えている間にスケルトン達が剣を振ってきた。数が多い! って!?
「【
迫ってきた剣に光の矢が当たる。剣が反れる。ありがとうエリス!
後退して、
「【エンチャント(闇)】! やああああ!!」
大鎌に黒いオーラが纏う。スキル使用後に即攻撃を繰り出した。スケルトンは反応出来ず当たった。
良いダメージだ! もう一発! 1体倒した! 残りは9体。
攻撃を避け続けて返しの攻撃を繰り出す。勢いよく横に振って2体に当たった。だけど
「っ!?」
「チサキ!」
後ろにいた奴に一撃を貰ってしまった。数が多ければ囲まれるよな! やられっぱなしは嫌だから返しに一撃与えてやる。
俺の放った一撃はクリティカルになり、胴体を2つに分けた。結果良ければ全てよし残り8体。
俺は一度全速力で下がる。レベル差激しい中で数まで多いとここまできついのか。
「エリス! 空中から攻撃を仕掛けて! 当たらなくても良い!」
「分かった!」
「全力で行く!」
フードを取って気合を入れ直す。
「なら、【
エリスが光の玉をスケルトンに向かって発射する。しかも連発で雨のようだ。
スケルトンがエリスに意識を向けた。その瞬間に俺は駆け出す。
防御を捨てた代わりに攻撃力と素早さを手に入れた俺が出来ることは、
「ただひたすらに敵を切り裂く!」
手数でのごり押しだよ!
意識が向いたスケルトンを大鎌で切り裂く。1体葬るとすぐさまもう1体に近付いて切り裂く。残り6体。
俺に気付いたスケルトンが剣を振った。俺はすぐに横に回避。剣が下がった瞬間に近付いて腕を切り落とす。そのままスケルトンに攻撃、残り5体。
「チサキ! 左右から来る!」
エリスの言葉を聞いて左右を確認。絶賛スケルトン2体が向かってきていた。すぐには避けずにスケルトンを近付ける。剣を振った瞬間に俺は回避。標的を失った剣はお互いに当たった。
その背後から大鎌を振った。1体倒すともう1体が剣を振るう。しかし遅い。俺はスケルトンに近付き、腕を落として切り裂いた。残り4体。
「まだまだ!!」
俺はスケルトンに近付いて大鎌で切り裂いた。エリスの空中砲撃もあり攻撃している途中でエリスの攻撃に当たり倒れる個体もいた。残り3体。
「っ! やああああ!!」
剣の突きで顔が掠れる。赤いラインが入った。それでも臆さずに大鎌を振った。攻撃の手数は俺の方が上だった。残り2体。
「【
エリスがスケルトンの顔面にライトボールを当てた。俺もすぐに近付いて正面からスケルトンの首を刎ねる。クリティカルだった。残り1体。
俺はスケルトンに向かって駆け出す。スケルトンも駆け出した。
俺の方が攻撃を出すのが速い! 交差するように切り裂く。
「これで終わりだ!」
俺は横に大鎌を振るう。鎧を貫き骨を砕いた。大鎌を抜くとスケルトンは静かに倒れ落ちた。
倒れていたスケルトン達が全て紫色のエフェクトを出し消滅した。
「最後物凄い音聞こえたけどやり過ぎたかしら」
「全然問題ないでしょ。それより怪我治すからね」
「お願い」
「【フェアリーヒール】」
エリスが回復スキルを使ってくれた。【フェアリーヒール】。スキル名から分かる通り妖精又はそれに近い存在しか使えないスキル。普通の【ヒール】より回復量が多いのが特徴だ。
エリスのおかげでHP回復。防御のない俺の回復手段として重宝したい。
MPとSPはそれぞれポーションで回復する。
「チサキ、私はこれ以上戦えない。MPが枯渇しちゃった」
「嗚呼、共通じゃないのね」
契約者である俺が飲んでもエリスは回復しないらしい。ここは不便だが、俺が飲んでエリスも回復するのも世界観的には可笑しいのか。
「分かった。ここから先は私1人で戦うわ」
「無理しないでね! 私、チサキに何かあったら……」
エリスが暗い表情をしてしまう。感情が重い! 重い! 心配してくれるのは嬉しいけど。
「問題ない。エリスがいるのに倒れることなんてしない」
「チサキ……」
「エリスは私が勝てるよう、祈っておいて」
「うん!」
まあ余程のことがない限りは大丈夫じゃないか。レベルも15に上がったし。
いや、分からないな。このイベントは。初見で楽しみたいから攻略情報見ないで来たけど見るべきだったかなぁ。……いやソロプレイだし、もうここまで来たのだから関係ないな。
誰かが同伴する時は素直に見よう。攻略情報。
「行きますか」
広場の奥には開かれた道。スケルトンと戦っている時はただの壁だったのが、いつの間にか開かれていた。
道には松明があり、火が揺れていた。
俺はコロシアムから進んで行く。
――――――――――――――――――
エリス
Lv10
HP 100/100
MP 150/150
SP 200/200
STR 10
DEX 40
VIT 10
AGI 25
INT 50
MND 30
LUK 25
スキル
【フェアリーヒール】Lv7
【光球(ライトボール)】Lv2
【光矢(ライトアロー)】Lv2
【???】
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ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
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