第3話 不幸比べ
ドクドクと流れる血が僕の視界を赤く染めていく。
「刃‼‼‼‼‼」
遠くから聞こえる彼女の声。
何が起きた。
いったい何が……。
それは、放課後に起きた。
いつもの学校のハズだった。
その学校は公立でどこにでもあるような田舎の学校で幽霊なんて数えるほどしかいない学校だった。お仲間さん。
三日間の学校生活で、仲良くなったお化けがいた。
それは、俺と同じ自殺した幽霊でこの学校で飛び降り自殺した幽霊で雄一というやつだった。
最初はすれ違うだけだったが、蒼井が授業中暇な俺は、学校の階段でそいつと話すことが多くなった。
「やっぱブリーチいいよな」「あの詩がいいよね」
「もうできないけどフォールアウト4とか俺好きだった」
「オープンワールドで自由度が高いゲームは神げーが多いよね」「わかる」
「けど神げーとクソゲーって紙一重だよね」「わかるw」
好きな漫画の話、好きなゲームの話。そんなたわいない話をするようになっていた。
「雄一」俺が声をかけると雄一は困ったような照れくさいようないつもの様に笑って見せた
「雄一、相変わらず暇だな」「そうだね」
「ここで自殺してもうすぐ49日経つんだ」
「そうかぁ~」
「雄一はどうして、じさつしたんだ」
少し困ったような顔をして雄一ははなしだした。
「僕はね、いじめられてたんだ、ずっとずっと」
「小中高、もう慣れてたんだけどね」「けどある日気が付いたんだ僕の中に、何もないって」「それで死んじゃおうってさ」「軽い気持ちで、不思議と救われた気がした。」
「けどさ、自分で葬式観て後悔した。みんな泣いてた親戚とか家族とか何人かの、クラスメイト、友達。」「けど同時に憎かった」「なんで、もっと早く気が付いてくれなかったんだってね」
そう言って雄一は、笑ってた。
俺と同じだ……。
でも違った、俺には泣いてくれる友達や親戚なんか居なかった。
逃げ場なんてなかった。居場所なんてなかった。
急に本当に急に怒りがわいてきた
「逃げればよかったのに」
「学校なんてやめて逃げればよかったんだよ、お前は」
そう俺には泣いてくれる奴なんていなかった、居場所なんてなかった。
嫉妬。
「お前はさ、泣いてくれる奴がいたんだろ?」
「じゃぁいいじゃぁ死んじゃぁダメじゃねーかよ」
「じゃぁな」
「………ごめん」
羨ましかった、葬式で泣いてくれる人間が居ることが俺はたまらなく羨ましかったんだ。俺が説教なんて出来る間柄じゃないくせに。
そう言って蒼井のところに行った。
「何でいなくなるの‼‼」蒼井に怒られた。
いつもいつも授業中にふらっといなくなるんだから‼‼‼
「ごめんて」「もう」
放課後の廊下を歩く、そこには雄一がいた。
「よう雄一」
その瞬間、俺は腹部を切り裂かれた。
は!?
俺は目の前が真っ赤になった。
そこには雄一であって雄一でない者がいた。
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