第3話ひとまず安心

__ひっ 何⁉︎ やっやめて!怖い怖い怖い怖い怖い


「ぁ…ぁぁああ…あ゛あ゛…」


今まで声の出し方が分からなかった美海が恐怖のあまり初めて声を出してかすれた声で必死に叫んだ。


数秒で声が出なくなってしまったのか美海の叫び声は止まり、その代わりに今度は咳が止まらなくなった。だが男は変わらず美海にナイフを美海に向けている。咳によって美海の体は前後に動き今にもナイフが首に触れそうだ。




しばらくして咳は止まるが変わらずそのままの状態で顔の見えない男に美海は小さく震えていた。声は元から対して出せないし、恐怖により口も動かせないため何も伝えることができない。どうしようかと必死に考えるも、正常な思考ができなかった。


私が混乱していると男はナイフを首元から離して急に美海に顔を近づけた。


へっ 何?


美海は驚きと恐怖を感じるもその状態は数十秒間続き、顔が離れると男は顔につけていたベールをとった。今まで見えていなかった顔があらわになる


切れ長の吊り目が特徴的でおそらく年齢は美海と同じぐらいの16歳前後だと思われる。


彼はとったベールを隣にあるテーブルの上に置き、再び美海のほうを見る。さっきと違って彼の切れ長の目がガッツリと合い、さっき以上に恐怖を感じたが彼は突然口を開いて何かを言っている。


慌てて彼の口の動きを読むと「お前、耳が聞こえないんだろう」と言っている。


えっ なんでわかったの


私が返事をする間もなく、「お前は誰だ、なんでここにいる、何が目的だ」とどんどん質問がくる。


えっと、どうやって答えよう。口パクでわかるかな


少しの恐怖はあるもののもう首元にナイフがないため少し落ち着いてゆっくりと口を動かす。


『私の名前は美海っていいます。私もなんでここにいるのかわからないんです。ここはどこですか』


口パクで伝わったかな


彼は腕を組んで何か考えている。そして部屋の端へ向かい大きな戸棚の引き出しを開けて何かをとるとまた美海の前に戻ってきて手に持っていたものを美海の手に渡してきた。


えっ、えっ、何これ?ん?ビー玉?


美海の手には500円玉サイズの透明なビー玉みたいものがあった。


「おい、本当になんでここにいたるのかわからないのか」


『はい、そうですけど』


美海が答えると手の平の上のビー玉は青く変わった。


えっ!なんでこれ色変わったの


彼は「そうか」と呟くと美海の手の上のビー玉をとり、また棚の方へ行き同じような青色ろや赤色のビー玉がたくさん入った瓶の中にそれを入れる。


そして私の方を向くと


「さっきは疑って悪かった。お前の言っていることは信じる。」


と言った。


よかった。信じてもらえたみたい、これでとりあえず命の心配はないかな。けどほんとにここはどこなんだろう。


『あのう、ここってど「そんないつまでも地べたに座り込んでないでそこの椅子に座れ。質問はそれからだ」』


彼は話を遮って椅子に座るように指示した。

美海が椅子に座ると


「ちょっと待ってて」


といい彼は部屋から出ていった。


美海は一度深呼吸にて落ち着く。そして再び周りを見渡した。


ほんとにここはどこなんだろう。もしかして最近アニメとか小説でよくある異世界転生ってやつだったりして。さっきの彼の服もちょっと昔のヨーロッパみたいな服だったし……

まあそんなことあるはずないよねえ。そういえばさっきの彼少し怖かったなぁ、いきなりナイフ向けるんだもん。お前は誰だとか言ってたから彼が私を誘拐したとかそういうことはないと思うけど、きっともう命を脅かすことはしないよね、大丈夫だよね…うん…、うん!


少しの不安はあるもきっと大丈夫っと思い込ませ勢いよく前を向くとちょうど彼が戻ってきて美海の目の前にいた。


うわあっ!びっくりしたっ

戻ってきてたの気づかなかったや。


彼の手にはティーセットがあり私に紅茶を入れてくれた。

ポットの中をスプーンでひとかきして、茶こしでこしながらカップへと紅茶を注いでいる。


うわあ!めっちゃ仕草が綺麗。


「はい、どうぞ」


紅茶の入ったカップを美海に渡すと、彼は美海の正面の椅子に座った。

そして紅茶をで一口のみテーブルにカップを置く。


やっぱりすごく仕草が綺麗だなぁ。どこかのお坊ちゃんかなあ。


なんて思っていると彼をこちらを向き、口を開く。


「さて、ここはどこかっていう質問だったか。」


『はっ、はい』


わっ、びっくりしたあ。ジロジロ見てんのバレたかと思ったー。


「ここはイデア王国のルーア領の西に位置する私の研究所だ」


イデア王国?ルーア領?えっ?


今まで聞いたことのない国名が出てきた。


えっ、もしかして本当に異世界転生しちゃった感じ?


のおおおおおおおおおおおおおおおおおお、どうなってんの_____

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