閑話《八》

 ハツは竜胆の鉢植えを持ち上げると壁際の棚に移動させた。

 机の上を片付けて、念入りに拭く。

 ソファの下の床に落ちている紙片に気づいた。

 永遠に紙屑を落とし続ける西園寺さいおんじにわあわあ言いながらけんが片付けていたものだ。

 二人の声が聞こえる気がして、広間を見渡す。

 静寂があたりを包んでいた。

 サッと拾い上げてハツは目を丸くする。

 それから紙片を戸棚に入れた。

 ハツが箒を持って監視している前で、西園寺が手帳に何かを書いては机の上に山積みにしていたことをふと思い出す。

 広間を後にすると、ハツは静かに扉を閉めた。

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