猫吸い

@dada02121610

猫吸い

猫吸い:一度この快楽を知るとこれなしには生きていけない行動


ある山道男3人が道に迷っていた。

「はあ~。ここ何処だよ」

「完璧に道に迷ったな…」

「はやくシャワー浴びたい…」

3人は夏休みの休暇中山に登ろうと近くの山を登っていた。

しかし、山を登っている途中で分岐点があり上級者コースの険しい方へ入ってしまったのが今となっては悔やまれる。

「食料ももう底をついたな」

すぐに上り切って降りる予定だったので食料は昼ごはんの為に持ってきたおにぎりしかなかった。

3人の間で重い空気が流れる。

「とりあえず川が流れているところに行きたいけど」

「そんな奇跡みたいなことなんか起きないだろう…」

皆のテンションは最悪と言ってもいいぐらい落ち込んだいた。


「あのさ、こういうときは頂上を目指すべきなのか山を下るのがいいのかどっちなんだっけ?」

「それは頂上を目指す方がいいだろう」

「いや、下山するべきだね」

「「あん?」」

意見が割れて二人はにらみ合う

「常識に考えて頂上を目指す方が見つかる確率が高いに決まってるだろうが」

「はあ~わかってないな。下山したら道に出られるんだぜ。そっちの方がいいに決まってるだろ」

二人は言い争いを続ける。

「なに言ってんだ。確実に道に出られる保証なんてないだろうが!!」

「そっちこそ、この状態で助けが来るとは到底思えないんだが!!」

「‥‥はあ、せめてネットが繋がればな~」

スマホを確認するがそこには圏外という二文字か煌々と光っている。

なにせここは山と言っても樹海に入ってしまっている。

まわりは巨大な木が奥まで続いておりすこし霧が出てきて100メートル先も見えずらくなってきている。

「そろそろ寒くなってきだしたな」

そういうと2人は言い争いをやめこちらを向いた。

「もうそんな時間になるのか」

「確かにさむいな」

上を見ると快晴だったのが黒く染まっている。

「でもさ、おかしくないか?」

「なんだよ?」

「だって、今って夏だぜ」

「まあ、夏でも夜は寒くはなるだろ」

「これは確実にマイナスはあるって」

「確かにそれはおかしいけど‥‥」

「おい、竹内はどう思うよ」

話し合いに入っていない男に話を振る。

竹内の方を向くと竹内はスマホに視線を向けていた。

「おい皆…見てくれ」

「「どうした?」」

竹内はスマホの画面をこちらに向けてきた

そこには大きく12:00と映し出されていた。

「おかしいだろまだ正午らしいんだけど…」

二人は黙るしかなかった。


3人は黙って下山を目指した。

一刻も早くこの山から逃げるためだ。

口を動かさず山を下る下る下る下る下る下る下る。

ひたすら下る。

地面がぬかるんでいる場所や木の根が露出している場所も気にせず進む。

仲間がどこかに足を引っかけて転んでも振り返らずに。

一心不乱に進むと川が流れている場所に出た。

そこで3人は足を止めた。

「なあ、どうする」

「どうしょうか。」

「‥‥‥」

一人の返事がない


「なあ、どうしたんだ」

「さっきはすまん!こけたのを無視して、それどころじゃあなかったんだよ」

「‥‥」

静かに立っている竹内は衣服が泥だらけのまま無言だ。


「と、とにかくここで休もうぜ」

「そ…そうだな」

そう言い川の近くで座りこんだ。

竹内も運動座りをして縮こまっている。

「なあ、これは完璧に怒ってるだろ」

「まあ、無視して進んじゃったからな…」

「そうだよな~」

「どうしょうかな」

「それにしても食料とかどうする?」

「我慢するしかないだろうもう元の道には戻れないぞ」

来た道の方を見ると辺りは暗くなりすぐ先も見えない。

「まあ、時間が経ったら家族の誰かが通報をしてくれるだろ」

「ああ、そうだなそう考えよう」

「なんか疲れてきたな」

「寝るか」

「じゃあ誰か見張りをしようか」

「おい竹内!!そろそろ寝ようぜ!!」

竹内はこちらに近づいてきた。

「おお、竹内。あのさ、かわりばんこで見張りをしようと思うんだが。

そういうと竹内はうなずいた。

「なら俺が見張っとくから2人は寝ていいよ」

そう言い2人は横になり寝た。

その後は2時間おきに交代して見張りをした。


竹内が見張りをしており2人が寝ている時

「ニャー」

と周りの音に負けないぐらい大きな猫の泣き声がした。

寝ていた2人は目を覚まし起き上がると見張りをしている竹内がいない。

2人は竹内を探した。

その間も猫の泣き声が聞こえ続ける。

そして、竹内を見つけた。

2人の川の向こう側で。

「竹内!!」

「聞こえてるか!!」

声をかけるが反応しない。

竹内はそのまま奥に進んでいく。

「おいどうする!!」

「どうするって言っても…行くしかないだろ」

「そうだよな」


そう言い2人は川を渡ることにした。


川を抜け竹内が通ったであろう道を進んでいくと大きな広場のような場所に出た。

「ここって…」

「こんな場所があるんだなぁ」

あまりの景色に圧巻されていると奥に竹内が立っているのを見つけた。

2人は走って竹内の方に向かった。

するとそこには猫がたくさんいた。

がりがりに痩せている猫、逆に太っている猫、飼い猫だろうか首輪をしている猫、様々な猫がいる。

そしてなんといっても正面にいる白猫。

このような土煙が舞う場所にいながらも白い毛には汚れが見えない。

3人の何倍もある存在がこちらを向き丸まっている。

2人はこの圧倒的な雰囲気に動けずにいた。

すると、足元に猫たちがこちらに寄ってきた。

猫の温かさが肌を伝って伝わってくる。

今この川に入って凍える体にはたまらない暖かさだ。

竹内は大きな白猫に向かって歩みを進め白猫に顔から体を預けた。

あの白猫に近づいたらもう戻ってこれないことはわかる。しかし、羨ましい行きたい。そう思った、そう思ってしまった。

そのころにはもう遅い2人は白猫に抱き着き思いっきり息を吸った。

これはだめだ。何も考えられない。この暖かさからはもう抜け出せない。2人はこのまま意識を失った。


                        -終わりー

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