第4話:きっかけ。

朝早くから若干一名は未成年のくせに冷蔵庫からビールを取り出して

うぇうぇ言いながら呑んでるし・・・。


「そのビール、母ちゃんのビールだろ、勝手に呑んだら怒られるぞ」

「それに未成年のくせに朝から酒呑んで酔っ払ってるってなあダメだろ」


「みさいねん?」


「未成年だよ・・・酒やタバコは二十歳過ぎなきゃダメなんだよ」


「私たちの世界じゃ歳なんて関係ないよ」


「ここじゃ未成年は牛乳しか飲んじゃいけないの」

「だから、コンビニでそんなことしたら、おまわりに補導されちゃうぞ」


「こんびに?」


「そうか・・・ベルデは何も知らないんだった」

「とにかく俺の世界では法律って決まりがあってちゃんとルールを守らないと

怒られるんだよ」


「面倒くさいんだね」


「これから、俺が手取り足とり教えてやるから」

「ってことは、俺たちもっとお互いの交流を深めないとな」


「なにそれ?」


「だから、もっと仲良くならないとって言ってるんだよ」


「仲良くって?」


「鈍いな〜・・・だから、このさい俺たちプライベートで付き合っちゃおう

よって言ってるの」


「ケンティーと?」


「俺以外、他に誰がいるんだよ」


「う〜ん・・・ケンティー、私のタイプじゃないし・・・それに向こうに帰ったら

私、彼氏いるし・・・」


「なに?彼氏いるのか?」


「うん、いるよ」


ベルデは自分のほっぺたをボリボリ掻いた。


「ウソだな・・・見栄張っただろ?・・・分かりやすい女」


「とにかく、人間の男なんかと付き合うつもりないから」


「じゃ〜なんで俺の後ばっか金魚のウンコみたいについてくるんだよ」

「それに毎晩、俺の布団に潜り込んでくるし・・・」


「きんごのうんこ?ってなに?」


「金魚のウンコ・・・あのな・・・説明するのもめんどくさいわ」


「さっき、手取り足とり教えてやるって言ったよね」


「それより、俺のことタイプでもないならなんで毎晩、俺の布団に潜り混んで

来るんだよ、おかしいだろ、その行動」


「ひとりで寝るのが、寂しいだけだよ」


「ベルデ、もしかしてホームシックか?」


「え?ほ〜む・・・」


「もういい、もういい・・・」

「まあ、ホームシックなら・・・そう言うことならしかたないけど・・・」


どうやらベルデの場合はホームシックって言うよりメンヘラ?

自分で気づいてないだけで・・・精神的不安定?。

あとはかまってちゃんか?

自分で寂しいってアピールしてるし・・・。


ベルデは俺のことがタイプじゃないって言ってながら俺が学校へ行ってる

以外は俺のそばにいることが多くなった。


そんなだからバッカスに言われた。


「お主ら、できておるのか?」


「なに、言ってんの・・・できてなんかないよ」

「ベルデは俺のことなんかタイプじゃないんだってよ」


「その割によく、くっついてるではないか?」


「ひとりでいるのが寂しいんだと・・・」


「ベルデは見斗くんが好きなんだろ・・・見栄っ張りだから認めたくない

だけだろ・・・天邪鬼な女だからな・・・」


「バッカス・・・ベルデのことよく知ってるんだな」


「そうだな、忘れるくらい昔から知ってるからな・・・ベルデとの付き合いは長い」

「え?そんなに?・・・バッカスとベルデって本当は何歳なんだよ」

「気の遠くなるような歳だな」

「それよりベルデは見斗くんに気があるぞ」


「そうかな・・・」


「見斗くんは鈍いヤツだな・・・ベルデの見斗くんを見る目に気づかないのか?」


「いやあ・・・ハナっから俺のことなんか眼中にないって思ってるから見てないよ」


「たぶん、きかっけだな・・・ちょっとしたきかっけだよ」


「きっかけってなんだよ?・・・意味が分かんないんだけど・・・」


その夜もベルデは俺の布団に潜り混んで寝た。

最初は彼女の存在が気になってしかたなかったけど、それももう慣れた。

飼い猫が俺の布団で一緒に寝てると思えばいいんだ・・・現に猫みたいだし。


「可愛い顔して寝てるよ」


俺はふと魔が差した・・・・俺の横で寝てるベルデのクチビルにバレない

ようにそ〜っとキスした。


俺はベルデはてっきり寝てると思ったんだ。

キスが終わったと同時に彼女は片目を開けて大きな目で俺を見た。


「おえっ・・・ごめん・・・悪かった」


そしたらベルデは、くるっと寝返りをうって俺に背中を向けた。


「まじで悪かった・・・黙ってキスして悪るかったよ〜ごめん」


「いいよ・・・」


「え?・・・いいって?」


「だから、いいんだってば」


「怒ってないのか?」


するとベルデはまた寝返りをうって俺のほうを向いて俺の胸に顔をうずめた。


「抱きしめて・・・ケンティー、このまま朝まで抱きしめていて」


「そうか・・・これが、きかっけか・・・さっきのキスが・・・」

「バッカス・・・おっさんの言った通りだよ」


もう言葉はいらなかった・・・。

俺はそのままベルデの温もりを噛み締めながら眠った。


とぅ〜び〜こんて乳。

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