第3話:料理が得意なバッカス。

朝、昼、晩、母ちゃんの飯にありついたベルデ。

それを見てバッカスがうらやましがった。

だけどバッカスは別に母ちゃんの飯にありつきたかったわけじゃなく母ちゃんと

ただ親しくなりたかっただけなんだ。


「いいな〜俺も奥さんと親しくなりたいな」


「バッカス・・・母ちゃんに惚れたのか?」


「迷子さん、美人だしな」


「・・・バッカスどういう美的センスしてんだよ」


「見斗くん、君の母ちゃんだろ?・・・自慢していいくらいの美人さんじゃないか」


まあ、不細工じゃないけどな。

なわけで、バッカスは母ちゃんに媚を売りに行った。


「奥さん・・・なにか手伝うようなことあったら言ってくださいね」

「なんでもやりますから」


「あ〜ありがとうバッカスさん」

「そうね、でも肝心な高いところのものを取ってって言っても無理そうね」


バッカスは155センチの母ちゃんより低い。


「それ以外なら・・・あの、ワシ料理も得意分野なんだが・・・」

「台所貸してくれたら朝、昼、晩の飯くらいは奥さんの代わりにワシが作っても

いいけどな」


なんだよ自分で飯作れるんじゃねえかよ、横着してたな。


「ほんとに料理できるの?バッカスさん」


「バッカスって呼び捨てていいですから」

「向こうでは、修理屋も兼ねてレストランのコックもやってたこともある

もんで料理は得意中の得意なんです」


「あらそう?・・・じゃ助かるからお願いしょうかしら」


「お安い御用です・・・お任せ」


まあ、楽できるぶん母ちゃんはパートに専念できるわけだ。

バッカスにも仕事ができたし、よかったんじゃないか?


で結局、バッカスも母ちゃんにうまく取り入ったみたいだ。

家の中じゃ俺より母ちゃんを味方につけておいたほうがなにかと都合が

いいからな。


居候がまともな飯食ってるのに息子だけ不味い飯食うのは不公平だよな。

俺もいっしょに飯にまぜてくれって母ちゃんに交渉した。

で、結局、食費は出せよってことで四人で一緒に食卓を囲むことになった。


家族じゃないか・・・それが普通だろ?


俺が学校へ行ってる間に母ちゃんは、ヒマしてるベルデを連れて昼から

スーパーに買い物に連れていこうと思ったらしい。


だけどベルデは料理が不得意ときてるもんだから、スーパーに食材を

買いに行ってもあまり意味がないから買い物はバッカスのほうがいいだろう

ってことでバッカスを連れて行くことにしたらしい。


でスーパーの売り場のおばさんに言われたらしい。


「あら・・・旦那さん?」って・・・。


「バッカス、次のお買い物は私ひとりでいいから・・・」


バッカスは母ちゃんに、その気があったけど母ちゃんの眼中にはバッカス

はいなかったみたいだな。

それでもバッカスは女王様に使える従者みたいに甲斐甲斐しく母ちゃんの

世話をしていた。

なんて涙くましい。

まあ、その努力がいつか稔ることを祈るよ。


バッカスは性格もまあよさそうだし、ドワーフは旦那なんてレアだぞ・・・

人間の男よりよっぽど役に立ちそうだし悪くないんじゃないか?


最初、母ちゃんはバッカスなんかに目もくれなかったけど、これが徐々に

ふたりはいい感じになっていくんだな。

タデ食う虫も好き好きっていうだろ・・・一緒にいたらそりゃ情もわくって

もんだろ。


だから俺もベルデといい仲になりたいわけで・・・さて、どうやって口説こう。


とぅ〜び〜こんて乳。


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