第2話:上手く取り入るベルデ。

異世界とやらからベルデとバッカスが来てから俺の家も賑やかになった。

今までは母ちゃんとふたりっきりの時は静かなもんだった。


ファンタジーとかゲームの中じゃダークエルフって、あまりいい

印象ないよな。

なんせダークだから・・・黒エルフとか闇のエルフなんて言われてる

割にはベルデって普通に明るいキャラだよな。

ネクラじゃなさそうだし・・・。


ベルデぐらいの年頃の女の子は箸が転がっても可笑しい言うから、どこの

世界の女の子も同じなのかも。

まあ、どよ〜んとしてるより賑やかなほうが気が紛れていいんだどな。


で、その日は学校が休みで、俺は家にいた。

なんだか、ふたりを家に残してダチの家に遊びに行くのも心配だったし・・・。

人間じゃないからな、なにしでかすか分かったもんじゃない。


「あ〜退屈・・・ヒマ・・・」


「ベルデ、そうやってゴロゴロしてなにもしないから退屈なんだよ」

「居候なんだからさ、ご飯作るとか掃除するとか洗濯するとかしてくれたって

いんだぞ?」


「めんどくさい・・・」

「なんで私がこんな腑抜けな世界にいなきゃいけないの?」


「俺に文句言うのやめろ・・・僕が悪いみたいに聞こえるだろ?」

「飯食ってプラプラして・・・文句ばっかじゃないか?」


「なんかこうスリル満天で劇的なことってないのかな?」


「ドラマじゃないんだから、普通は毎日が平凡に過ぎていくんだよ」

「なんならディズニーランドにでも行って絶叫マシンにでも乗ってくりゃいいんだ」


「なにそれ?」


「だから絶叫マシン」


「あのね、私はこっちへ来てな〜んにも知らないの」

「いいとこあるならケンティーが連れて行ってよ」


いつの間にか俺はベルデからケンティーって呼ばれていた。


「え〜それこそめんどくせえ〜だよ」

「俺は絶叫系は嫌いなんだ」


「なら言わないでよ」


「おまえら、なんの話をしとるんだ?」


横からバッカスが入って来た。


「あんたは入ってこなくていいの・・・ウザいから」

「って言うか・・・バッカス、私の指輪返してよ」


「まだ言ってんのか?・・・売っぱらったからもうないよ」

「それに、あっちに帰れないんじゃ取り戻すこともできないだろ」


「なんで、あんたまでこっちに来たのよ」


「俺だって、こんなところに飛ばされていい迷惑してんだよ」


「こんなとろこで悪かったな」


「あ〜もういい」

「私、暇だからお母さんの家事でも手伝ってこよう」


そう言ってベルデは台所で昼飯を作ってる母ちゃんのところに行った。


まあ、俺とベルデとバッカスの今日の昼ごはんは冷凍食品のお好み焼き

の予定だけどな。

母ちゃんは自分の昼ご飯だけ、作ってるんだ。

ベルデはそれを、ご相伴にあずかろうと台所に行ったに違いないんだ。

俺が作る飯より、母ちゃんが作った飯のほうが美味いに決まってるし・・・。


ワシも手伝いに行ってこようかな。


「おまえもか?」


「ねえ、ねえ、迷子めいこさん」


あ、紹介し忘れてたけど、俺の母ちゃんの名前は「夢野 迷子ゆめの めいこ」って言うんだ。


「ん?なに?ベルデちゃん」


「お手伝いすることない?」


「ないわよ・・・もうお昼ご飯できちゃったしね・・・」

「これね、シュクメルリってシチューなの・・・ベルデちゃん、ちょっと味見

してみる?」


「するする・・・」


そう言ってベルデは母ちゃんが作ったシュクメルリってやつを味見した。


「うま〜い・・・めっちゃ美味しい・・・いいな〜こんな美味しいご飯食べられて」

「ケンティーが作るご飯って不味くて・・・」


「そう・・・じゃ一緒にお昼食べる?」


「食べる、食べるぅ」


で、結局、ベルデは朝も昼も夜も母ちゃんと一緒に食事を取ることになったらしい。

ベルデは上手く母ちゃんに取り入ったみたいだ。

俺とバッカスは俺の作った不味い飯を食うことになるわけで、


女の子はなにかと得だな。

母親にとっちゃ男より女の子の方はいいだろう。

同じ女として分かり合えることだってあるだろうし・・・。

なにかと役に立つのは女の子、男は力はあるけどなんの役に立たないんだよ。


じゃ〜女に生まれたかったかって言うと、そこは男でよかったって思うけどな。

だって、痛みこらえて死ぬ気で赤ちゃん産みたくないもん。


とぅ〜び〜こんて乳。

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