これは読むべき話で、知るべき話

　なかなかにきつい描写が多く、きつい展開ばかりの話ではあります。しかし、それも全て現実を反映したもの。
　十割なのか、九割なのか、どこまでが作者のとみき　ウィズ様が実際に見聞きしたものを反映しているのかはご本人にしかわかりませんが、きついなと感じる「お話」も現実《real》にある話なのだろうと感じさせるだけの迫真性《realism》があります。


　最初の序文から辛い話ばかりで、特に読んでいて第７話が一番辛く、この付近でそれ以上読むのは辛過ぎると感じ、読むのを止めてしまう方が多いのではないかと思います。
　それはそれで当然の反応だと思います。ただ、できるのであれば、その後、最後まで読まれれば、小さな、でも悪意に負けることのない人の心を見付けることができます。



　人の悪意に底はなく、愚かさにも底はない。でも、希望はある。少なくとも、希望を生み出す心はなくならない。
　それは救いと呼ぶには小さ過ぎるかも知れませんが、それでも存在する。決してなくなりはしない。希望を諦めない人間がいる限り。それを受け取る人間がいる限り。

　それが自分がこの話を読んだ感想です。


　一番やりきれないのは、遅くとも二十年以上前には大々的に報道され、問題視された少年兵が今もまだ続いていること。
　全ては知ることから始まる。この話が多くの人に読まれることを希望します。