第7話
次の日の朝、僕たちはまたリビングに集まって、今日の行動を決めていた。その結果、雪が買い出し担当で、隣町の田舎の土地の余った場所に良く建っているタイプの巨大なショッピングモールに、行くことになり、初絵が図書館に行きこの地球と元の地球で本当に一切違いがないかを確かめることに決まり。僕と二山はそれぞれ自由に町中を見て回ることになった。僕らは一緒に歩いて五分の場所にある最寄りのバス停に向かった。移動は基本このバスで行うことになる。
「みんな、緊急時の時だけ携帯で私に連絡入れてね。昨日充電器買ったけど、一つだけだから無駄使いしないように。」
そういって初絵がにこやかに手を振りながら最初に図書館のバス停に降りていく。僕たちは今朝話し合って、何かあった時の連絡先は初絵に統一することになった。今朝出発前に急に僕の電話が鳴った。相手は二山だった。しかし目の前に携帯を手に持っていない二山がいる。
「ねえ、なんか二山から電話かかってきたんだけど」
そう言って僕がみんなに言って携帯の画面を見せた。
「え、いや。俺かけてないけど?なんで?」
二山がズボンのポケットから携帯を取り出し見せてきた。確かにかけてなさそうだった。しばらく後に電話が鳴りやんだ。
「これってもしかして......」
雪がさっきまで鳴っていた携帯を見てつぶやく。考えられる可能性は一つだった、二山が掛けていないなら、もう一人の二山が掛けてきたのだろう。
「厄介ね。電話もSNSももしかしたら向こうの私たちに繋がっちゃう可能性あるんじゃない?」
場が静まり返りそれぞれ考え込んでいると、二山が「あ!」と大きな声を上げた。一瞬で視線が二山に集まる。二山は少し得意げな雰囲気を醸し出し話し始めた。
「これさー、初絵さんにだけなら電話も連絡もし放題なんじゃない?どうよ!?」
僕はハッとした。そうだったこの世界の初絵には繋がることはないのだった。
「そうかー!そうだったこの世界の私は”ここ”にいるから私には電話とかしても平気かも!」
初絵が自分の頭を指さしながらそう言った。その結果僕たちは、誰に電話で連絡するにしても初絵を一度通して話を伝えることにしたのだった。
バスは次にショッピングモールに着いて雪が降りて行った。
「何か必要な買い物思いついたりしたら、初さん通して連絡入れてね。それじゃあまたね」
そして次にバス停は町の駅から少し離れた住宅地に停まった。僕の目的地はこの場所だったので既に停車のボタンを押してある。そういえば、まったく意図してなかったけど最後に残ったのが二山でよかった。初絵や雪だと変に勘繰られる可能性があったが、おそらく二山ならあまり気にしないだろう。
「じゃあ、僕はこの住宅地と駅の方を見て回るから、またね」
「おう、俺はこの先にある運動公園見てみるわ、あそこでかいから、よく昼間にお年寄りがいっぱい居るし、俺年寄りの知り合い居ないからちょっと話しかけていろいろいまの日本の時事とか地元の噂とか聞いてみるわ。」
僕は二山に手を挙げて軽く挨拶するとバスを降りる。住宅地には二十近い家屋が並びそのどれもが多少の差異はあれど同じ形と区画を持っている。僕はその住宅地のちょうど中央に位置する家屋に向かう、そこは産まれてからずっと僕が暮らしている家だった。昨日の夜に財布と一緒にポケットに家の鍵が入っていたことに気づきこの場所に来た。僕はここでどうしても確かめたいことがあった。
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