第3話好きになった理由
ローズガーデンには公式のホームページかある
その名もそのまま「ローズガーデン」
編集はレイが中心的にやっておりレイはニコニコと
我らがアンナとジャックが正式にカップルになったことを記事にあげた
そのためかお客さんたちがまた少し増えたらしく
レイは上機嫌だった
「もうレイさん!またホームページ」
「えへへ、いいでしょあの記事」
「面白がってるでしょ!」
アンナがぷりぷり怒るのをみながらレイは
「ごめんごめん、にしても交際は順調かな?」
「それ聞きます?」
「うーん、気になる」
ニコニコしてアンナを見るレイ
アンナも呆れつつ「一応」と答えた
「こらこらレイあんまりアンナをいじめてやるな」
「シエルってば、いいじゃんオレらの可愛いアンナの初めの恋愛だよぉ!」
「おまえなぁ、おまえはアンナのなんだ」
「俺にとってアンナは可愛い妹ちゃんなの」
むーと頬をふくらませるレイ
それを見てアンナは呆れ
「こんな兄持った記憶ないですけど…」と項垂れた
その日も半ば恒例になっている2人が来店した
「アンナさん今日は白状してもらいますよー!」
「レイさんからアンナさんはジャックくんに本当はぞっこんだって話聞いたんです」
「ずばり、好きになった理由聞かせてください!」
目を輝かせて聞いてくるものだからアンナは
「そんなの聞いてもなんも楽しくないわよ?」
「えーアンナさんの恋バナききたい」
2人とも迫ってくるので困っていると
「うんうん俺も聞きたーい」
「俺も少しは気になるな」
「先輩方まで…」
と先輩二人までもが興味を出してきた
「なーに盛りあがってんの」
「ランスくん!アンナさんの恋バナです」
「俺も聞いたいなぁ、なぁアンナ話せよ」
「まったく……仕方ない話すか、今日はジャックは休みだし」
これはまだアンナが17歳の頃の話
アンナは図書委員の仕事でその日は帰宅が遅くなった
ランスは先に帰ってたらしく
夜道を一人で帰ることになった
そんな時突然学校の不良達に絡まれてしまったのだ
「やぁ俺たちの相手しろよ」
「やだ、通して」
「は?たてつくのか?」
相手は3人でアンナはどうしたらいいかわからなかった
体は震えていた
するとどこからともなくジャックが走ってきて
「なに女に絡んでんだー!」
と相手のひとりを殴ったかと思うとアンナの手を取って「こっちだ」と走り出した
少し走ったところで「ジャック、ジャック!」とアンナが声をかけるとジャックは止まった
「すまんアンナ、怖かったよな」
「うん……でもありがとうジャック来てくれてよかった」
「ランスから連絡あってアンナがまだ帰ってきてないて言われてさ、少し胸騒ぎがしたんだ」
「それで来てくれたんだ………」
「当たり前だろ?それにアンナが心配になったから僕急いで走っていたんだぞ!陸上部なめんな、ただアンナが無事でよかったよ」
そう言いジャックが優しくアンナを抱きしめてきたのでアンナはつい泣いてしまった
さっきの恐怖がいまになって出てきたのだ
「怖かったろアンナ…大丈夫何かあったら必ず僕が助けてやるからな、俺たち親友だろ?」
「うん」
本当に走ってきたことが分かる鼓動の速さと汗の匂いがジャックからしてきた
アンナはそれが不快じゃなく安心した
その後はジャックが傍で歩いていてくれたから無事に帰宅できたのだ
「これが1つ目の理由かな」
微笑みながらアンナが語り終わると周りはおおうと息を飲んでいた
「ジャックくんやるう」
「………確かその頃のジャックってよく暴力沙汰で有名になってなかったか?」
「シエルさんそれ微妙に外れです」
「暴力沙汰に関してはそのアンナを助けたのだけっすよ、あとはそのときリーダー格のを殴り飛ばしてしまったんで、ジャックに絡むと殴り飛ばされるっていう変な噂が飛び火に飛び火して跳躍した噂話ですから」
ランスが応えるとシエルはそうだったか?と頭を捻った
「でも、そういう行動さすがジャックくんだよね…あの頃のジャックくん優等生になるんだ!って変に意気込んでたし」
「その頃にお父さんが亡くなりましたからね、事故で」
「あぁ、バイクの交通事故でな」
「それから色々彼は変わったんだよね…元から優しい彼だったんだけど、誰よりも強く大切なものは自分が守るってやってた」
アンナはすこし困った顔をした
「アンナさん…」
「大丈夫よ今は彼は変わらないから、すこしドジなとこがあって頼りなくて」
「そういう所が好きになったんだよねアンナちゃん」
「はい」
「そういえば1つ目の理由ってさっき言いましたよね」
「もうひとつの理由って?」
「………あんまりこれは話したくないかな」
「聞かせてください」
「うーーん、ランスもちょっとこれは嫌なこと思い出すんじゃないかな、先輩方も」
「………あの話か?」
「アンナちゃん話していいよ」
「はぁ………これは4年前の話なんだけどね、ある意味ここが出来る理由になった話なの」
4年前
アンナが18歳のときのこと
進級を境にアンナの様子がおかしくなった
「アンナどうしたんだ浮かない顔して」
「ジャック……それが…」
最近誰かに後ろをつけられてる気がする
というものだ
「嘘だろ、それ気のせいじゃ 」
「そう思ったんだけどなんかここ1ヶ月ずっと…つけられてる」
アンナが身震いをし始めたのでジャックはアンナの背中を擦りながら教室へむかった
「お、はよ2人とも」
「ランス、アンナのことなんだが」
ジャックが簡単に説明するとランスははぁ?といい
目の色を変えて「どいつだそんなことするやつ」
「わからない……」
「とりあえずアンナ帰りは一緒に帰ろうな」
「なんかあったら俺たちがついてる」
「2人とも……ありがとう」
それからはなるべくそばに2人がいてくれたので特に被害はなかった
だか数週間後アンナが下駄箱を開けると封筒が置いてあった
アンナは開けると悲鳴をあげた
そこには自分の部屋の中の盗撮や学校内での盗撮が入っていたのだ
「どうしたアンナ! 」
「おい、ランスこれは………」
「アンナとりあえずおまえは今すぐ保健室にいけ?ジャック頼んでいいか」
「あぁ」
ジャックに支えられアンナは保健室に向かった
ランスはこのことを学校に相談し、学校から警察へ連絡を入れてもらうことになった
だが犯人は見つからなかった
ランスはアンナが気にかかったので過ごして元気が出るようにと幼なじみの先輩3人に詳細を伝え相談した
その頃シエルはパティシエの専門に通いレイは料理の専門へ通っていた、またシモンは家の家業をつぐための勉強をはじめていた
3人は詳しく話を聞くとアンナが元気を出せるようなにか案をねっておくからとアンナを2人に任せた
そして、犯人は意外と早く見つかった
たまたま2人がアンナが元気が出るようにと学園の中庭にアンナをつれていた、その時変な視線をかんじたのだ
2人はその視線の先を見ると犯人がいたのだ
2人に気づかれたことに気づいた相手は一目散に逃げ出した
それに気づいたジャックが走って追いかけて犯人を捕まえた
「観念しろ!」
「ジャックの足舐めんな、んで?お前たしか同じクラスのやつだよな」
そう同じクラスの男子のひとりだった
犯行の同期も身勝手でたまたまターゲットになったのがアンナ、しかしこいつほかの女の子にも同じことをしてたことがわかり、警察へと歩道されてった
アンナはいうとまだ恐怖が消えないのか塞ぎ込んでしまっていた
「アンナさんそんなことが…」
「ええ、本当にあれは怖かった……実はねジャックが取り押さえた時相手は胸元に何故かカッターナイフを隠し持っていたの」
「その時ジャックの顔にカッターナイフで傷を付けたんだよあいつ」
「それもあって私塞ぎ込んじゃったのよ、ジャックを巻き込んじゃったって」
「その後のアンナの取り乱しようも凄かったからな…ジャックがどんなに大丈夫だからといっても聞かなかった」
ランスはアンナの肩に手を置き
「でもいまじゃこんなに元気でいてくれてるんだ」
「ランスもあの時は沢山助けてくれたからね」
「そうそう、あの時の2人は本当にアンナちゃんを心配してたからね、俺たちも心配だった」
「そんな時だシモンが俺たちこの6人でなにかやらないか?って言い出したのは」
「そうそう、俺たちで大切な幼なじみであるアンナちゃんを守るためにね」
レイがそう言うと2人は驚いた
「え、そういう理由でここが」
「ええその頃は私も自分の未来を見失っちゃってたからね、そしたらシモンさんがよかったらこういう事をやりたいんだと声をかけてくれたの」
「それでここ、ローズガーデンができたんだ1度辛い思いをしてしまったアンナが再び笑えるようにってな」
「アンナさんって皆さんに大切にされてるんですね」
「そうだよぉ、アンナちゃんは俺たちの大切な子だからね」
レイが笑うとアンナはそうですねと笑って返した
「じゃあアンナさん、ジャックくんを好きになった理由ってそのあとの事がかかってるんですか?」
「ええ」
アンナがまだ塞ぎ込んでいた頃
ある日曜日の午後ジャックがアンナの家を尋ねた
「あらジャックくん」
「こんにちはおばさん、アンナ今日借りていいですか?」
「ええ構わないけど……それよりごめんねジャックくんアンナのこと」
「いいんですよ、それよりもう同じようなことはないよう僕たちが守りますから」
アンナの母親と話したあとジャックはアンナを預かり
アンナを後ろに乗せてバイクを走らせた
「いいかアンナしっかりつかまってろよ?」
「う、うん」
ぎこちなくアンナがつかまるのがわかるとジャックはある所へむかった
そこは近くの海辺だった
季節はもう秋に差し掛かっていたので風が涼しくなり始めていた
「ジャック…」
「いいところだろ?何も考えたくない時僕はここによくくるんだ、ただ波の音聞いてるだけでも少し心が楽になる」
「うん」
アンナはまだ真顔だったが海を見て泣きそうになっていた
「泣きたい時は泣くといい、ここなら誰にもバレない、この時期なら他に誰もいないから」
そう言ってジャックはただその場に座って海を眺めていた
アンナも一緒になって座ると日差しの暖かさからか少し眠くなってきた
ジャックはアンナに肩を貸してやりそのままアンナが眠るのを見守ってそっとしていた
そうこうしていると夕日が見られる時間になった
ジャックはアンナを起こすと夕日を見るように促した
「アンナ見てみろ」
「あ……綺麗」
「本当はこれをアンナに見せたかったんだ」
そう言ってジャックはアンナに微笑んだ
「アンナに元気になって欲しくてさ」
頭を掻きながら少し照れくさそうにするジャックを見てアンナは嬉しくなった
「ジャック…ありがとう」
「どういたしましてだ」
その時のジャックはいつもよりかっこよく見えたのはアンナの中での秘密だ
「これがもう一つの理由」
「うわぁ……あのジャックくんが」
「あのってなによ」
「想像つかない……てかカッコよすぎるしロマンティックすぎる…ジャックくん」
「そうね、今の彼じゃ思いつかないかもね…少し頼りないしドジだし……でも優しいのは変わらないかな」
アンナがそう言うとランスごむすっとむすくれはじめた
「ちっ、その頃にはもうアンナはジャックが好きだったとか…なんで言わないんだよ」
「絶対にふたりきりにしてくれないのはどこのどなたでしたっけ?」
「うーん、俺」
「だからよ、それにあの頃の私は恋愛とかより2人といたかったから、ふたりとの関係壊したくなかったのよ」
「へえへえ」
ランスが呆れながら答える
そうしているとジャックが顔を出しにきた
「こんにちは~って、なんの話ししてんだ?」
「うーん、とりあえずジャックくん意外とやるねぇ」
「はい?」
なんのことやらと、首を傾げるジャック
「今までアンナさんの恋バナ聞いてたんです」
「ジャックくん意外とやりますね」
「は、はぁ………」
「はいはい、それより閉店よ閉店…」
2人を帰して店じまいを始める
ジャックは一体何の話をしてたんだと思いつつも
仕事を終えるアンナを待っていた
「よし、アンナ帰るぞ」
「ええ」
カフェローズガーデンへようこそ〜アンナ・ダウトの恋愛譚〜 @erika_setuna
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