二つめの不思議、職員室で謝り続ける女の子

 扉を開けて職員室の中へと入ると、どこからか女の子のすすり泣く声が聞こえてきた。


「掃除の時間に友達とふざけ合っていたら……窓ガラスを割ってしまいました……。先生……ごめんなさい……。先生ごめんなさい……先生ごめんなさい……先生ごめんなさい……。先生ごめんなさい先生ごめんなさい先生ごめんなさい先生ごめんなさい先生ごめんなさい先生ごめんなさい先生ごめんなさい先生ごめんなさい先生ごめんなさい先生ごめんなさい」


 初めはゆっくりと喋っていたのに、女の子が謝罪の言葉を口にした途端、ひたすら早口で同じ言葉を繰り返し始めた。

 立て続けに抑揚のない言葉は流れる滝のように途切れる事はなく、恐ろしく感じた。


「もう良いよ! 分かったから、誰も怒ってないよ! それより、窓ガラスが割れて怪我はしなかった? 大丈夫なの!?」


 先生が問いかけると女の子の声は聞こえなくなった。


「女の子……ずっと謝り続けてて……何だか少し可哀想だったね……。え? 三つめ? もう次の場所へ行くの? もぉー!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る