第33話「バナナがぶがぶ」
(――――これは試練だ、神様が与えた僕への試練に違いない)
公衆の面前で抱きつき巨乳押しつけのゆらぎにフェラチオを教えるという危機に対し、真玄のストレスが頂点に達した。
敵だ、クラスメイト達は普段なら味方とも友人ともいえる仲間であるが。
今この瞬間は敵、そうだ彼らは敵なのだ。
(神は乗り越えられる試練しか与えない、そう、だから僕はこのピンチを乗り越えられる筈さ)
なお、陵辱エロゲのクズ主人公へ転生した事で、欠片も神など信じていない真玄だったが。
生憎と、今の彼は正気ではない。
どうしたらクラスメイト達にダメージを与えられるか、冷静に思考を組み立てていく。
(使える札はバナナ、ゆらぎ、フェラチオの三つ、死亡フラグはゆらぎが僕に憎悪を抱く事だ、恋人関係になる、変態化する、それらは切欠にすぎない。真に――)
真に危険な要素、それは。
(ゆらぎが性的に無知な事だ、正確に言えば性知識はあれど学校の授業レベルで尚かつ実際に見たり聞いたりしても知識と繋がらないという事だけど)
だが、その無知さが武器になる。
(ゲーマーであるゆらぎなら敵を用意し、その対処法を教えればゲームをプレイするように何とかなる筈!!!)
恥ずかしがり屋の彼女であるが、その無知さとゲーマー気質を利用して。
(名付けて――アンチエロ知識作戦、ゆらぎが万が一、そう万が一エロピンチに陥った場合、自分の身を自分で守れる術を手に入れる事が出来、そしてクラスメイト達に…………主に素丸、否、クラスの男子全員にダメージを負わせる事が出来るはずだ!!!)
過度のストレス状態により、ここまでの思考を三秒足らずに終えた真玄は。
抱きつき、おしえてーと可愛くおねだりするゆらぎの両肩を掴んだ。
全ては彼女にかかっている、だから機嫌よく遂行して貰うために彼はイケメンフェイスを全力で活用、背後にバラの花弁が飛ぶ幻想すら浮かぶ笑顔を向けて。
「~~~~っ!? ひ、氷里くん!? その顔でその表情は心臓に悪いんだけど突然すぎるっ!?」
「フェラチオの知識を君に教えよう、なんとピンチの時に使える応用編だ!!」
「やったーーっ! でも上級者向けってこと? いきなり出来るかなぁ……」
「大丈夫、簡単だから。ではお耳を拝借」
「ほわっ!? イケボがっ!? 生イケメンに生イケボでリアルAMSRされてるっ!?」
ゆらぎの戯言はともあれ、真玄は丁寧に教えた。
とはいえ、そう難しくもなく、押さえておくポイントも少ない。
彼女はふむふむと頷き、わかったと笑顔を向けた。
――それを、クラスメイト達は興味深そうに注目して。
「じゃあ実演してみようか!」
「よーしやってやるぞぉ!!」
「――――みんなもよーく見てて欲しい、そう、よーくね……ッッッ!!!」
「や、やるのか今ここで!?」「凄い流石は真玄だぜ!」「でも優等生の真玄が素直にやるのか?」「ほうほう、これは見物ねっ!」「……イヤな予感がするのだけれど?」
勘の良い一部の人間は察していたが、真玄は気にせずゆらぎに指示を出した。
「じゃあ教えた通りに」
「はい! ……フーン、ちっさ、こんなモンなんだ(何が小さいんですかね??)」
「ッ!?」「グハっ!?」「そ、それは禁止だぞ真玄ぉ!!」「ちょっと興奮してきたな」「――じゅるり、そういう攻め方も“アリ”ね」「あー、そういう……」「これはもしや氷里君は??」
クラスメイト達、特に男子連中に精神的ダメージを与えながら。
ゆらぎは教えられた通り、次の行程へ。
「皮かむってますけど必要ありませんよね? そーれブチブチブチィ!! はッ、これでちょっとはマシになったでしょッッッ!!!」
「ひぎゃっ!?」「う゛ごごごッ」「ひゅっ、ってした!?」「雪城さんには必要な知識かも……」「でもさ、これって」「うん、たぶん――」
男子は青い顔をし股間を押さえ、一部の女子が真玄の想定外の反応をしていたが、まだゆらぎのターンは残っている。
彼女は皮を破り千切ったバナナに、勢いよく――。
「――ガブッ!! ガブガブガブッッッ!!! これでもくらえッッッ!! こうして欲しかったんでしょ!! くらえっ! くらえっ! くらえっ!!」
「おわああああああああああああッッッ!?」「もう止めてくれえええええええええええええ」「つかさ、これって真玄っちもしや?」「あー、これは決定ね」「ラブの気配を感じるわぁ」
素丸を含めて男子は阿鼻叫喚、女子は何故か生暖かな目で真玄とゆらぎを見ている。
彼は女子達の反応を不思議がりながら、勝利宣言を行った。
「フハハハハ! 見たかぁ!! 僕らの、いや……僕の勝ちだぁ!!! 思い知ったか君たち! これに懲りたらだなぁ……」
「ひゅーひゅー、雪城さん愛されてるぅ!」「いやー、イケメンの独占欲を堪能させて頂きました」「僕の女に手を出すな、生で見れるなんて感動しました!」
「…………あっれー??」
どういう訳か、女子達は真玄がゆらぎを守るために、独占する為に他の男への対抗策を教えると同時に。
真玄の女であるとアピールしライバル達を牽制した、と受け取った様で。
当然、ゆらぎもそう勘違いして……。
「ひ、氷里くん!! …………わ、私頑張るから、精一杯頑張るから……、家に帰ったらホントのこと教えてね?」
「うーん、いつかねっ!! また今度だね!!」
(私を守るために、俺の女だ的に独占欲も……、ううっ、きゅんきゅんして正面から顔が見れないっ!)
(なんかスッゴイ熱烈に抱きしめられてるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!! もしかして好感度上がった!? で、でもこれ以上好感度を上げなければ時間経過で下がる筈、そう信じて――――)
帰っても絶対にフェラチオを教えないし、調べようとしていたら絶対に阻止すると真玄は堅く決意したのであった。
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