第27話「鷲掴み」
「アタシにデッカイおっぱいを揉ませろおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「天野先輩が出たぞ女子は逃げろぉ!」「頼む逃げてくれええええ」「終わりだぁ……女子達が超肉食状態になっちまう」「くそっ、天野先輩が来る前に詳細を知りたかったぜ……」
校内きっての淫乱過激派女子、天野朱鷺の出現により男子は恐慌状態に陥った。
対して女子は、揉まれるぐらいだしランキングも気になるしと落ち着いた様子で静観。
真玄と素丸は目配せを一瞬、こっそり教室を出ようと一歩下がった時だった。
「――はいそこぉ!! スタァァァァップ!! 不審な動きをしたよね!? 絶対ヘン感じだった、もしや君たち、おっぱいランキングを持っているね?」
「絡まれる前に逃げようと思っただけですけど? なぁ素丸そうだろ?」
「そうですよ先輩、へへっ、勘弁してくださいよ俺らは平和に学校生活を暮らしたいだけなんですから」
「ふぅん……ま、アタシとて自分の評価は理解しているつもりよ、だから筋は通る――」
「そうそう、だからランキングなんて持って」
「――通るわけがないっ!! アタシの目は誤魔化せないわよ真玄くん!! 素丸っちならともあれ、真玄くんがゆらぎちゃんを置いて逃げようだなんて不自然ッッッ! 余りにも不自然の極み!! 皆もそう思うわよね!!」
犯人はお前だと言わんばかりに真玄を指さす朱鷺、その言葉にクラスメイト達は確かにと頷き彼へと視線を向ける。
周囲の風向きが己の方に向いていると判断した朱鷺は、おっぱいをゆさゆさ揺らしながら真玄の隣にいたゆらぎに微笑んだ。
しまった、と真玄が顔色を変えるより早く。
「ねーゆらぎちゃん? 真玄くんに変わった所ってなかった? 何かを隠してたりとか……」
「え、えーと、それは……知らないです」
(ゆらぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃ、言わなかったのはエライけど僕をチラチラ見ながら言うなよおおおおおお!!! 頑張れ僕っ、なんとか誤魔化さないと!!)
「なるほど、真玄くんが持ってるのは確定みたいね」
おっぱいの下で腕組みをし、おっぱいを揺らしながら真玄に近づく朱鷺。
彼は冷静な表情を崩さず、いつでもゆらぎの手を引いて逃げられるポジションに移動しながら迎え撃つ。
「まったく朱鷺先輩は、どこにそんな証拠があるんですか? そもそも、おっぱいランキングが初耳なんですけど?」
「しらばっくれても無駄よッッッ!! 今回のおっぱいランキングの糸を引いていたのはアタシ!!
「先輩が黒幕かよおおおおおおおおッッッ!?」
「実行犯の童貞クン達は完成のご褒美で既に童貞卒業させてあげたもの!! そして――この件で動いていたのは三人、一年のアリカちゃんのムキムキイケメン執事のマスラオくん、素丸っち、そして真玄くんの三人」
「っ!? で、でもまだ僕が持っているとは限らない筈だ!!!」
食い下がる真玄に、朱鷺は艶やかに笑う。
「ふっふっふー、この中で誰が持ってるかなんて考えればすぐに分かるわ。素丸っちは自分が持つより信頼できる人に預けるタイプ」
「あ、うん、俺はそんな感じ」
「マスラオくんは持つことにより危険が発生するなら主人であるアリカちゃんの事を考えて他の人に任せる」
「……確かに、マスッちはそういう人だって付き合いの短い僕にも理解できるね」
「なら……残るは校内でも随一の優等生にしてこのアタシに対抗できる唯一の人物、絶対に悪用せず守りきる人物となると……」
「――僕しか居ない、確かに黒幕である朱鷺先輩からしたら簡単な消去法だね」
そう余裕の表情で答えた真玄であったが、内心は狂乱状態であった。
然もあらん、もう言い訳できない、残るはこの手を延ばせば肩を掴まれるような至近距離で逃走などの物理的手段しかなく。
(どどどどどどッッッ、どーしよおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!! 逃げても追いつかれたらアウト、今すぐ破り捨てたり食べて証拠隠滅するには近すぎる、それに……ゆらぎを人質に取られたらアウト、――――ピンチだ、これは絶対絶命のピンチ、だ――)
ここまで追いつめられたのは久々だ、この窮地を脱しないと真玄には死亡フラグが立つ、その確信がある。
ランキングを渡してしまえば。ゆらぎは朱鷺におっぱいを揉まれる、それだけじゃなく朱鷺のおっぱいカーニバルの結果発生する女子の超肉食化の影響を受けること間違いなし。
ならば彼女に殺される未来は想像に容易い、それを回避するには――。
「――わかった認めるよ先輩、そうだ、僕がおっぱいランキングを持っている」
「真玄!?」「やっぱり……」
「じゃあ渡してっ!!」
「待ってくれ朱鷺先輩、僕は渡せない、そう……ゆらぎのおっぱいを守るためにッッッ!! そうだろう素丸ッッッ! お前だって万が一を考えて護士木さんのおっぱいを守るために今回のおっぱいランキングを闇に葬ろうとしたんだよな!! だから――渡せません、ゆらぎのおっぱいは僕が守る!!!」
「氷里くん……っ! そんな私の為に……!!」
「ほほー? いやー、素丸ってやっぱうちのコト……」
「お、おう! そうだぜ! 俺も護士木の為にだなぁ……だから渡せないぜ先輩!!!」
真玄に釣られて素丸も継奈を守るためにも、と力強く叫ぶ。
二人は必死で、照れるゆらぎと継奈の顔に肉食女子の気配が混ざっていることに気づかず。
これは面白いことになったと、朱鷺は舌なめずり。
「なるほど……君たちの想いは伝わったわ!! けどアタシが引くには一つ条件がある」
「言ってくれ先輩、どんな条件でも僕は一歩も引かないぞ」
「そうだそうだ! でも手加減してください天野先輩!!」
「なーに簡単なコトだよ、――真玄くんはゆらぎちゃんの、素丸っちは継奈ちゃんの……おっぱいを鷲掴みにしてお前を守ると高らかに叫んでっ! そしたら満足して今回は引き下がるとするよ」
「…………氷里くん」「わかってよね素丸??」
ゆらぎは恥ずかしそうに顔を真っ赤にして、そして継奈も睨みながら恥ずかしそうに。
先に動いたのは素丸だった、彼もまた耳まで顔を真っ赤にしてギクシャクした動きでゆらぎの隣にいた継奈の前に立つ。
「い、いいっ、か!」
「なに恥ずかしそうにしてるんだよ、ウチだって恥ずかしくなるじゃんかぁ~~っ、揉むなら早く揉むっ!!」
「うおおおおおおおおおっ、俺はお前を守る!!! ああっ、女の子のおっぱいを初めて揉んでるっ、柔らかああああああああい頭がどうにかなりそうだあああああああああああ!!」
「ええいっ、揉みすぎっ! それ以上は言うこと言ってからにしなさい!!! 天誅チョップ!!」
「あうちッ、ご、ごめん……」
「ほほー、いいねいいねぇ、ラブの気配大好き!!」
素丸と継奈は俯きながらも、お互いを意識してチラチラと見あっている。
朱鷺は実に楽しそうに、次は真玄とゆらぎだと視線を送る。
真玄は隣のゆらぎに向き合うと、くるっと彼女を回転させて。
「ふぇっ!? え、氷里くん!?」
「実は僕……昔から後ろからおっぱいを揉みたかったんだ! いくぞゆらぎ!」
「は、はいっ、心の準備はできておりませんがいつでもどーぞッッッ!!」
「うおおおおおおおっ、この重みと柔らかさブラを付けているというのに感じる確かな幸せッッッ!! と、止まらない、僕の手が止まらないッッッ、これが朱鷺先輩の目論見だっていうのか!!!」
「いや違うから、アタシそこまで頭よくないし。単にゆらぎちゃんのおっぱいに真玄くんがドハマリしてるだけ」
「あ、あのっ、氷里くん!? ゆ、ゆび……とめて、止めて欲しいぃ…………」
止まらぬ真玄の指に、ゆらぎは首筋まで真っ赤になって俯いてしまう。
その時、朱鷺は彼の指使いに目を見開いた。
(な、なんてテクニシャンッッッ!? 真玄くん、ブラの上からだっていうのに的確に弱いところを攻めているッッッッ!! しかも恐らく本人的には無自覚、ゆらぎちゃんも意識していない弱点を攻めている……仮に真玄くんの童貞卒業をアタシがするとして……勝てるの??)
「うおおおおおおおおっ、僕はゆらぎを守るっ!! 絶対に守るぞおおおおおおお!!!」
「――――ふっ、負けたわ真玄くん。それからゆらぎちゃんが失神する前に揉むのを止めてあげて……って自分じゃ無理か、――そいやっ!!!」
「あだっ!? あ、ありがとうございます」
「ううっ、……氷里くんのばかぁ」
「アタシの完敗だわ、まだまだ修行が必要みたいね。――じゃあまたアデュー!!」
「…………とりあえず僕らの勝利!!」
おっぱいランキングは無事に死守され、数分後に家庭科室のコンロで燃やされ完全に闇に葬られた。
だが真玄は気づかなかった、己が陵辱主人公として相応しいエロテクニックを存分に発揮してしまった事を。
ゆらぎが余計に彼を意識してしまった事に、気づかなかったのである。
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