第9話「股間の堅い何か」
ゲーマーを自称する雪城ゆらぎの朝は、真玄に起こされた後でいくつものソシャゲのログインから始まる。
なお原作ではゲーマー設定は活かされず、朝から奉仕調教や陵辱の日々であったが。
ともあれ、女子高生として最低限のメイクをしながらデイリーボーナスを受け取り、デイリーミッションをこなし。
「――あれ? 氷里くんが私服って事は……今日は日曜日?」
「君ね、曜日の感覚を僕頼みにするんじゃないよ。それから食べながらゲームをするんじゃありません」
「はーいママ」
「ママはゆらぎをお食事中にゲームするような子に育てたつもりはありません!!」
「ソーリーママン……、ところで朝ご飯のご予定は? 私的にはママンとなんかゲームしたいって気分なんだけど」
「僕はいいけど勉強しなくて大丈夫?」
「ふっ、テスト期間になったら頼んます!! それより勝負しましょう勝負! 私が氷里くんの膝の上に座りますから、氷里くんは足が痺れたら負け! そのまま今日は私の椅子でーすっ! 氷里くんが勝ったら私は退いて…………んー、そうだなぁ、膝枕して耳掻きでもしちゃいましょうかね?」
「ほほう、僕に勝負を挑もうって? 格ゲーは君の得意分野だから他のにしてね」
折角の日曜日、予定もないし普段から予習復習を欠かさない真玄は朝から勉強する理由もなく。
また、何も予定もない事から。
「おっけ、じゃあそれに加えて負けた方が昼ご飯の用意にしよう」
「乗った!! 勝負じゃ勝負じゃ! 負っけないぞぉ!! 折角だし」
という事で話し合いの末に、レトロゲーのスーファミを引っ張り出し。
スーパーボンバーマンをやる事になったのだが……。
(ぬおおおおおおおおおおッッッ!! し、しまった!! 僕の迂闊ぅ!! なんでこの条件を受けたんだよ畜生!!)
「へいへいへーい、びびってんのかーい? 来いよ来いよ氷里くん!!」
「はっはっはっ、手加減してくれてもいいんだぜ?? っていうかあんま動かないで??」
「はい??」
不味い事になったと真玄は冷や汗を流した、ゆらぎが膝の上に座っているという事は。
(デカケツがッッッ!! 弾力があってハリがあるのにむにゅんと柔らかい叩いて手形を付けたくなるようなデカケツが僕の股間にダイレクトアタックッッッ!! さながらそれはセックスをおねだりする痴女の如く二次元エロでしか存在しない行為ッッッ!! だがしかしここはエロゲー世界、なんて事だチクショウ!!)
ゲームに集中できないというレベルじゃない、レギュレーション的にもはや反則。
しかも。
(ふっ…………女の子からいい匂いがするなんて都市伝説だと思ってたよ!! 確かにいい匂いだ……けど同時にドスケベな匂いがするって何だよ!!)
本能が理解してしまう、甘い匂いの中に脳髄が痺れるような何かがあって。
それは、真玄の真玄を強制的にカッチコチに天元突破させるエロゲヒロインフェロモンと呼ぶべきもの。
ただでさえ、オラァ今からスるぞ!! と叫びたくなるデカケツ感触があるのにこれは酷い。
「へいへいへーい、そんなんじゃ私と戦う前にAIに負けちゃうぞ~~っ!」
「イ、イヤー、ハハ、このゲームもニガテだったみたいだナー」
真玄は盛大に冷や汗を流しながら、乾いた笑みを浮かべた。
この無自覚な誘惑に対し、まず彼の前提条件が悪かった。
何故ならば彼がゆらぎをエロゲヒロインだと認識した日以降、自己発散すらしておらず、つはりはムラムラ状態で。
「はい! はい! うおおおおおおお! どけどけAIが邪魔をするんじゃない! 私が倒す前に氷里くんを倒そうとするんじゃない!!」
「くッッッ、負けない、僕は絶対に(性欲に)負けないからなあああああああああああ!!」
真玄は他でもない自分の理性を鼓舞するために叫んだ、真玄の真玄にダイレクトアタックするデカケツの感触、脳髄を犯すフェロモン、問題はもう一つある。
ゆらぎが彼の膝の上に居るという事は、彼がコントローラーを持つ手はどこか。
必然的に、彼女お腹の前でコントローラーを握ることになるのだが。
(うおおおおおおおお!! ゆらぎのデカ乳すぎて僕が僕の手元が見えない!! それだけならまだいい!! ――――デカ乳すぎて下乳がバルンバルンむにゅんむにゅんと僕の手に攻撃してきてクッソ操作しずらいッッッ!!!)
これで雪城ゆらぎという人物は純粋にゲーム勝負をしている気なのだから、エロゲ世界ってクソじゃねと真玄に確信させた。
操作が直接妨害されているのが、実に始末が悪い。
しかし指摘すると変に意識した末に真玄の死亡フラグが立つかもしれなくて、なら何も言わないのがベストだと彼は考えて。
(早くッッッ、早く終わってくれッッッ!! なんでAIとイイ勝負してるんだよゆらぎ!! AIはAIで僕が自爆しようとするのを邪魔するんだよ!!)
このままだと、ドスケベエロスのオーバードーズで真玄の真玄が暴発してしまう。
否、それすらも覚悟すべきだ、むしろ賢者になった方が楽まである。
しかし、現実は真玄に非情であった。
「――――ん? ちょい待ち、氷里くん何かズボンの下に隠してない? こっそりリアル妨害しようとしてない??」
「ンンンンンッッッ!? い、いきなり何を言うんだ!! 何もない!! 僕のズボンの下には何も!! ない!!」
「えー、だってこんなに……うりうり、うりうり、ひっぷアタックをくらえっ!!」
「君はさあああああああああああああ!!!」
「んー? なんだぁコレ、堅くて……熱い感じがして…………大きくてちょい太めで堅い…………500ミリペットボトルにお湯でも入れてる? というかそれでどんな妨害するつもりだったの??」
あ、詰んだ。と真玄は確信したのだった。
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