第18話 草原での魔物との戦い
馬車から出たわたしは魔物が迫ってくる方向を見据えた。
グルルルル
唸り声を上げながら反応があった魔物が近づいてきた。
その数6匹。風をまといながら走ってきている。
白い毛並みのオオカミのような姿だけどところどころに翡翠色が混ざっている。
《ベルウルフ》:オオカミが長い年月をかけて魔物化した存在
風魔法を得意とする
群れでの行動が多い
どうやら連携をとっているようで左右から挟み込んで攻めてくるようだ。
「そうはさせないよ。『ベーガリオム』」
わたしは隠密魔法で自分の姿を隠す。
「さらに、『レイズウィンド』!」
風魔法で自分に加速をつけてすごいスピードで駆け出した。
『レイズウィンド』は使い方によっては舞うかのように駆け回ることができる。
練習のおかげで近づいてくる一匹のベルウルフの背後をとることができた。
「隙だらけだよ!『ラグネル』!」
わたしの放った水の刃がベルウルフの首を切り落とす。
並列思考で隠密魔法を維持しながらべつのベルウルフへと近づく。
もう一度『ラグネル』を放つ。
また一匹のベルウルフはぱたんと倒れる
状況の危険性に気づいたベルウルフたちは下がって集まり四方の見つめる。
ベルウルフたちが鋭い爪のついた前脚で宙を引き裂き始める。
それは風の刃となりあたりへと襲いかかる。
まずい!
「!『サロミュル』!」
咄嗟に馬車を後ろにして土の壁を生み出す。
壁を風が引き裂こうとする音がするけどオーガジェネラルの時のように壁が壊れたりはしない。
しばらくしたら攻撃がやんだ。それに合わせてわたしはすぐにベルウルフのもとへと迫る。
ベルウルフたちはわたしが魔法を使ったことで警戒をましているようだけどわたしの姿はまだ見れていないようだ。
足に力を込めて再び『レイズウィンド』で駆け出す。
集まっているベルウルフのところに『ラグネル』を連続で打ち込む。
ベルウルフたちはなにが起きたのかに気づかないままその場に倒れこんでしまう。
ほかの魔物の反応は・・・ないね。
よし!これでおしまい!
「もう大丈夫ですよ!」
わたしが声をかけると馬車の中から恐る恐る出てきた。
「も、もうおわったんですか?」
「はい。もう魔物はみんな倒しましたよ」
「もう!すごいですね」
練習の成果かな。なんにせよ無事に倒せてよかった。
「お礼に今回のお金は無しでいいですよ」
え!そんな!
「気にしなくていいですよ!」
けど行商人さんは真剣な顔で首を横に振る。
「あなたがいなかったらもっと大きな損害が出ていたんです。これくらいはして当然ですから、気にしないでください」
でも・・・
「はぁ。わかりました、ありがたくいただきますね」
わたしの言葉に満足そうにうなずいた。
「さぁ、乗ってください。また魔物が来る前に出発しましょう!」
行商人さんの言葉に頷いてわたしは再び馬車に乗ってクンツァイトへと向かい始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます