第13話 初めて魔物を討伐しました

 しばらく楽しく休憩をしたのち、再び攻略に向けて出発し始めた。

「ストップ。この先に敵がいるみたいだ」

 シュロさんの警告通り、『危機察知』にも魔物の反応がある。

「あの!私に討伐させてもらえませんか!」

 シュロさんは「もちろんいいぞ」と頷いた。

「カルミアはそのために来たんだもんな。いってこい!」

「きをつけてね」

「はい!」

 二人に見守られながら、わたしは初めての魔物との戦いに挑む。

「『べオーガリオム』、『イェオライト』、『ティールセント』!」

 わたしはさっきの戦いでアルメリアさんが使っていたのと同じ魔法を自分にかける。

 よし!行こう!

 わたしは魔物を視界に収められる場所まで移動した。

 数はゾンビナイト3体。

 わたしは『イングショット』をそれぞれに向かって放つ。

 ただ、一体は倒すことができたけど残り二体には防がれてしまった。

 気づかれないうちに次の攻撃を。

 しかし、ゾンビナイトがわたしのほうに距離を詰めてきた。

 なんで⁉姿は見えないはずなのに⁉

 その時、『べオーガリウム』の魔法が切れてしまっていることに気づいた。

 しまった!『べオーガリウム』は集中しているときにしか効果が続かないんだった。

 一体のゾンビナイトの剣が赤く輝きだす。

 攻撃が来る!防がないと!

「『ソロミュル』!」

 わたしの前に土の壁が現れる。

 そこにゾンビナイトの攻撃がぶつかる。

 炎をまとった横一文字の鋭い攻撃が壁にぶつかると、土が削れる音がする。

 なんとか防ぐことができてよかった。

 というかもう一体は⁉

 『危機察知』に反応があった。後ろだ!

「転がれ!」

 シュロさんの叫びでわたしはとっさに横に転がる。

 見るとさっきまでわたしがいた位置に剣が振り下ろされていた。

 もう少し反応が遅かったら。

 背中に冷たい汗が流れる。

 魔物との戦いを甘く見ていたかもしれない。これは生きるか死ぬかの戦いだ。

 そのことにわたしの集中が高まる。

 よく見ると、二体は攻撃したばかりでスキができている。

 やるとしたらここだ!

 わたしは『イングショット』をありったけ叩き込む。

 『魔法効果上昇』によって強化されたそれはアルメリアさんの『イングルティアス』にも負けず劣らずの威力となってゾンビナイトたちに襲い掛かった。

 二体のゾンビナイトが反応するよりもはやく、私の魔法が直撃する。

 大きな音とともに煙が上がる。

 はぁ、はぁ

 息が上がる中、煙の先に意識を集中する。

 念のため『並列思考』で周囲の警戒もしているが、幸い近くにほかの反応はない。

 煙が晴れる。そこには焼け焦げて倒れているゾンビナイトがいた。

 『危機察知』に反応しない。

「や、やった!」

 討伐できた!

 そこにシュロさんとアルメリアさんが駆け寄ってくる。

「やったな!カルミア!」

「おめでとう!」

「ありがとうございます!」

 二人はわたしの頑張りの成果だよって言ってくれるけどわたし一人だったらあの時よけられなくて死んでいただろう。

 わたしは魔導書のおかげで確かに戦える力はあるかもしれない。でも普通の人が天稟を与えられるのと違い、わたしにはそれを使いこなせるだけの実力が伴っているとは限らないことを忘れちゃダメなんだろう。

 強い力にはそれ相応の実力が必要になる。もっと練習しないとな。

「よし!それじゃあ先に進もうぜ!」

 わたしは今回の反省を胸に再び二人とダンジョン攻略へと進んだ。

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