第10話 初めてダンジョンに入りました
ダンジョンの中はところどころに火がともってはいるものの基本的には真っ暗だった。アルメリアさんの明かりがなければまともに前を見ることもできなかったかも。
とはいえ一応『ルート開拓』は使用しているから、迷うことはないと思うけど。
「気をつけろよ。どこに魔物が潜んでいるのかわからないからな」
ゴクリ
わたしは息をのんだ。
そもそも一概に魔物とはなんなのか。『知識の楽園』によると魔物とは主に二通りの存在を指すらしい。
例えばゴブリンなどは人間に敵対し魔王の配下として動く魔力をもった生き物であるが、体のつくりは生物のそれだ。
一方でスケルトンなどの生きた肉体を持たない魔物はあくまで死んだ生き物の魂が魔力によって汚染されたことで生まれたもので、正しくは生物ではない。
さらに魔物は人間などと異なり進化が早いためその種類は数えきれないほど存在するらしい。
魔物に関する本はわたしのお店にもたくさんあるけどたくさん種類がいるなら『知識の楽園』で確認したほうがはやいかもな。『並列思考』で確認しながら戦えるだろうし。
その時、『危険察知』に反応があった。
シュロさんも何か感じたのか指示を出した。
「そこの曲がり角からなにかくるぞ!二人とも警戒態勢!」
わたしとアルメリアさんはいつでも魔法を使える構えをとった。
警戒する方向からカランカランという音とともに骨の体をしたものが姿を現した。
さっき考えた通り『知識の楽園』を使ってみる。スケルトンだ。
「カルミアはまずは見ていてくれ」
了解です。
わたしが了承したのを確認するとシュロさんがすぐさま切りかかる。
よくみると今日は大剣ではなくショートソードを持っている。たぶんダンジョン内でもしっかりと戦えるようにするためなんだろうね。
スケルトンが持っているロングソードでシュロさんの攻撃を受け止める。
「こいつには炎か浄化効果のある能力が有効だ!アルメリア!」
シュロさんの指示でアルメリアさんが魔法を放つ。
「『サンクトスアロー』!」
光の矢がスケルトンめがけて飛んでいく。
それに合わせてシュロさんも切りかかる。
「『イングスラッシュ』!」
シュロさんの剣が炎をまとう。
あれって魔法なのかな?
二人の攻撃を食らったスケルトンは崩れ落ちそこにはバラバラになった骨のみが残された。
「よし!先を進もう」
「すごいですね!初めて本物の魔物との戦いを見たんですがこんなにもあっさりと倒してしまうなんて!」
アルメリアさんは苦笑しながら「最初はこうじゃなかったんだけどね」と口を開いた。
「冒険を始めたばかりのころはなかなか息が合わなくて苦戦することも多かったのよ。それが次第によくなって今ではこうして戦えてる」
それにしたってすごいと思う。冒険者ってみんなこんな感じなのかな。
フリージアといっしょに戦うってなったら今回みたいな戦い方になるだろうし実際に見れてよかったな。
「そういえばシュロさんが使ってたあの技って魔法なんですか?」
「まあ魔力を使ってるって点では魔法と一緒かもな。ただあれは戦士が使う技で詠唱ではなくきまった動作によって発動する。少ない魔力でも使えるが数が少ないのが欠点だな」
へーそんなのがあるんだ。
「ほかにも戦い方はいくつかあるぞ。代表的なのは魔力ではなく気力を使うものだな。使い方はいろいろあって、極めたら大魔法くらいの効果も出せるらしい。ま、ただの伝承だけどな」
フリージアもこういうのをつかって戦ってるのかな。
「じゃあつぎはアルメリアが主体でやってみるか」
「そうね。魔法職が一人で戦うってなった場合のやり方も見せておいたほうがいいだろうし」
というわけでわたしたちは次の魔物を探して再びダンジョンの奥に進んでいった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます