エッセイ:呟きたいこと

先日、ニュースでやっていた不登校の原因について思ったこと

 どこで語ろうかと思って、ここで語ることにしました。


 先日、食事中にテレビを見ていたら「国の調査で不登校が過去最高の34万人を越えた」というニュースが流れていました。高校生を入れるとなんと41万人越えです。


 そこで一緒に伝えられていたのが、「学校生活に対してやる気が出ない」などの相談が3割を越えて最も多かったというものです。つまり、子供たちの不登校の主たる原因は「やる気」であると考えられると。

 これは文科省が行っている「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果によるものです。


 さて、ここで皆さん、この調査に回答しているのは誰だか知っていますか?

 不登校の子供本人や保護者ではありません。学校や教育委員会です。


 実は、昨年までこの調査には「不登校の要因」という設問があり、そこでダントツのトップだった回答が、「無気力・不安」でした。何度も言いますが、調査対象は不登校の子供たちではありません。学校や教育委員会です。

 つまり、学校や教育委員会は、不登校の子供たちが「無気力」だから学校に来ないと。まさに50%越えです。


 んなわけ、あるか。(それとも「無気力・不安」の不安の方に1票を投じた?)


 この調査の結果報告書は約130ページ、概要版でも約40ページあります。最初の方をすっ飛ばして読んでいたら、「不登校の要因」は子供たち本人が答えたと思うじゃないですか。(事実、私も最初はそう思いました。が、「無気力・不安」がダントツのトップで意味が分からず、調査対象をあらためて確認したら、学校や教育委員会に対する調査であることが分かったのです)

 これ、うちの子が不登校生だったから違和感を覚えたけれど、知らない人が不登校の要因だけ見たら、「学校に行かない理由は、無気力かーい!」て思ってしまうだろうなと。不登校の要因なんて本人でないと分からないものを、どうして第三者が語ってんの。誤解と偏見を生じかねない。

 だからさ、うちの地方議会なんかでも、「不登校にならないよう子供たちのやる気を~」なんて、センスのない質問が出てくるのよ。


 そういう意味では今年の調査は少しマシになっていました。「不登校の要因」という設問がなくなり、「不登校児童生徒について把握した事実」という設問で、どういう相談を学校側が受けたかを答えるようになっていました。主語と調査対象が合ってます。

 そして、そこで最も多かったのが、冒頭の「学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった」というものです。

 まあ、微妙ではあるんですがね。結局のところ、不登校は「個々のやる気」の問題であると言われているようで。


 子供たちが、当たり前に行く場所に行くことができない辛さ、大人はわりと「なまけている」「たるんでいる」「頑張りが足りない」と過小評価しています。本人たちは、生きるか死ぬかの瀬戸際で選択しているんです。不安で不安で仕方がないけれど、でも行けない。


 学校に行けない理由をそんな簡単に言いませんよ。「言えない」とも言えます。言える訳がないじゃないですか。心が壊れるくらい辛い思いを口に出すのって、とても大変なんです。

 丁寧に辛抱強く聞き続けて、ようやく枝の先程の気持ちを聞けます。それぐらい時間がかかります。深く傷ついていればいるほど、です。もうこれ以上、傷つきたくないんです。


 皆さんの周りの子供たちはどうですか? きっとみんな、めちゃくちゃ頑張っていると思います。学校に行っているとか行っていないとか関係ない。今を懸命に生きている子供たちに最大の賛辞を。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

普通になりたい すなさと @eri-sunasato

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る