episode2

 私は、周囲と何かズレている。いわゆる「普通」「常識」と言われる不文律的なルールが分からない。


 毎日、ズレないように必死に頑張った。

 みんなの顔色をうかがって、出来ないことは適当な嘘をついて誤魔化して。

 そしたら心が壊れた。もう、無理だって悲鳴を上げた。

 だから、学校に行けなくなった。


 でも、

 そのおかげで、ようやく自分と向き合える時間ができた。

 お母さんは、「学校に行きたくない」と言った私を褒めてくれた。

 なぜなら、学校に行きたくないという選択は、とても勇気のいることだから。

 私もそう思う。不登校なんて、人生終わると思った。


 休んでみて分かったこと。

 人生は終わらなかった。ちょっと「普通」とは違うけど、ちゃんと道はつながっていた。

 お母さんに連れられて学校ではない教室に行くと、いろんな子が来ていた。

 そこで初めて普通に息が吸えた。

 誰も「純粋だ」とか「個性的な感性だ」なんて褒めはしないけど、私のありのままを受け入れてくれた。

 ちょっとズレちゃう自分。できない自分。弱い自分。


 今でも人混みは嫌いだし、自分の気持ちを伝えるのも苦手。できることも年相応じゃない。それに、やっぱりズレてしまう。

 でも、そういうの含めて「自分」を見つけることができたし、認めることができた。


 将来に不安がないと言えば嘘になる。

 きっと世間は、また私に「普通」を求めてくるだろう。

 だからこそ、私は声に出す。「ごめんなさい、普通が分かりません」と。

 分かろうと心壊れるまで頑張って、分からないという結論にたどり着いた。


 だとしたら、私にできることは声に出すことだ。

 勝手かもしれないが、面倒かもしれないが、知ってほしい。

 普通が分からない人がいるということを。

 そして、そんな存在でも、懸命に頑張っているということを。


 そうそう、お母さん。

 話はもう少し短くしてね。私は、集中力が続かないから。

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