第17話 古竜の血 9
それほど空腹は感じていなかったつもりだったのだけれど、出されたドリアは完食した。
食べ終わるのを待っていたらしいスーツの女性が俺に近づき、また端末を見せる。
「主様達の意見を元に、部屋のレイアウトをご用意しました。インテリアはこの三タイプでしたら在庫がございます」
物凄くお洒落なワンルームが三パターン。
ちゃっかりロフトもある。
でも俺、こんな家具を買うお金ないです。
「装備の作成費用と同じです。先程のドロップ品のうち、不要な物を後で協会に売却していただければ問題ありません」
止めを刺したのは俺だけれど、本当に止めだけだったので、全部譲られる理由が本当にわからない。
画像を見ながら、ふと、この部屋に入った時のことを思い出し、眷属は【居室】で暮らすものなのか気になった。
「普通に家族のいる家で飼ってもいいし、【居室】の中に入れておいてもいいぜ?」
こんな険しい顔の鶴を連れ帰るのはそれなりに勇気がいる。
かと言って俺が部屋に入るまでずっと一羽で置くのも気が引ける。
『我はそなたの【居室】で良い。界に染まった其奴らのようには成りとうないわ』
そもそも、うちの狭いアパートにセツの寝るスペースは無い。
「じゃあ留まり木が必要なのかな」
『我を鳥扱いするでない!』
俺の肩に乗ったまま翼を拡げての抗議。
『だが枝は好ましい! 滑らかな横木を所望する! 中央に設えよ!』
「かしこまりました。この辺りに吊り下げましょう。これでは圧迫感がありますので、【収納】をもう一レベル上げて頂く必要がございます」
素早く画面上で何かの操作がされ、さっきより少し広めの部屋が表示される。
やっぱり欲しいんだ、留まり木。
「では、職人を連れて参ります」
一礼し、スーツの女性は応接間から出て行く。
「
「いいじゃん、筋肉。こっちは引きこもって皆で薬の調合してるんだけど。どこに行けば料理人見つかるわけー?」
「探せば見つかるだろう? 百五十階層辺りで」
「うちの地元には居なかったんですう! もう、本当にどこに居るわけ?
「んー? でも全員の名前覚えるの大変なんだよー?」
話しながら、全員席を立つ。
俺も慌てて立ち上がり、後ろから着いて行く。
応接間、という部屋から再び広間に出ると、そこには厳つい男性の集団がいた。
「主様、いつでも行けるぜ」
もしかしなくても大工さん?
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