第12話 『遺跡空母浮上計画』

 この遺跡の話は渡りに船だった。

 斥候の情報によれば帝国の飛空艇艦隊がこの広咲城に狙いを定めている。

 おそらく帝国の狙いが俺。

 皇国側の狙いが桜花だ。

 そして、口封じにこの津軽藩も……。

 美咲さんたちは完全に巻き込んでしまった形だ。申し訳ない。

 奴らは空から攻撃してくる。こちらの空中騎兵兵力は少ない。

 現戦力で制空権を握られての戦いは圧倒的に分が悪い。

 だがその問題をこの遺跡空母がクリアにしてくれる可能性を秘めているのだ。

 もっとも、このポンコツ空母をどうやって空に上げるかが大問題なのだ……。

 敵が来るまでそれほど猶予はない。

 ああ、もっと時間がほし~~。




 メティアのスマホは生まれ変わった。


【ミスティア第一世代型

  『邪神竜ファフニル』魔導石内蔵

   3次元魔導回路式スマートフォン改】


 正式名称が長いので魔導スマホでいいか。


 こいつには俺の角の欠片が組み込まれている。

 そう、俺の角がのだ。

 あえて言及するのは俺が知らなかったから。

 相変わらず角さんは仕事が早い。それはいいんだ。

 けどさ、ほうれんそう(報告連絡相談)はもう少しして欲しいと切に願う。

 きっかけはいきなりメティアの声が脳内に響いたときのこと。


⦅やっほー、頼経。メティアだよ~~⦆

「うわっ、脳からメティアの声がする。幻聴か?」

⦅あはは、幻聴じゃないよ。超絶美少女メティアちゃんだよ⦆

「そうだね」

⦅むう、気のない返事。またマスターって呼び方に戻そうかな⦆

「そうだね」

⦅……脳内彼女じゃないよ⦆

「そうだね」


 俺はどうでもいい返事を返す。

 今は人型になってデスクワークをこなすのに忙しい。

 だから、俺はメティアの罠に気がつくのが遅れた。


⦅――彼女だよ⦆

「そうだ……じゃない!!」

《ちっ》


 危ない、危ない。メティアにはてきとーに返事をするのも危険だな。

 言質を取ろうと姑息な手段を折り混ぜてくる。

 まあ、俺の態度も悪かったとおもうけどさ。


「っていうかマジで頭の中からメティアの声がする。なんで、ナンデ」

《慌てるの遅いよ~~》


 こうして俺は知らされた。

 角さんがメティアのスマホに削った角の欠片を組み込んだことを。

 これによってメティアと角さんは情報共有が可能となる。

 AIたちによる分担処理も可能になったのだという。

 その副産物として疑似念話が可能となったのである。

 ……ほかにもないだろうな。

 そう問いかけると返事があった。

 遺跡の量子演算装置にも同じく組み込んだそうな。

 こうして俺の角は間接的にメティアと遺跡の演算装置の処理能力も手に入れてしまったようだ。

 あれ、なんかメティアがますます手のつけられない存在になっていく予感。


《安心していいよ~~》

「どう安心しろと?」

《私が角さんと遺跡さんとの格付けも済ませたから絶対に暴走なんてさせないし》

「むしろお前が暴走しそうだよ」

《……ぽっ///》

「今のどこに照れる要素があった!?」

《だって、お前ってなんだか熟年夫婦みたいな呼ばれ方……もう――》

「結婚は無理だから」

《以心伝心!?》


 なんだろう。とても疲れる。

 これがこれからずっと続くのかと思うと憂鬱になりそうだ。

 そう思っていると角さんから素晴らしい提案がもたらされた。

 すげえ、忖度スキルが今日はめっちゃ冴え渡っている。


「ほうほう、さすが角さんだ。メティアはスマホだもんな。着信拒否なんて設定が出来るのか」

《ほえ……?》


 メティアの間抜けな声が聞こえる。

 が、すぐにその意味に気がついたメティアが慌て出す。


《ちょ、ちょおっと待った。しょ、しょれは~~》


 俺は問答無用でスマホの設定をいじってブロック設定画面を開いた。


《すいませんでした。調子に乗りましたーーーーっ》


 わざわざ立体映像を出現させて土下座までする。

 そんなメティアに俺は大きくため息をはく。


「もうしないか?」

「前向きに検討……」

「それはしないと同義だから。うやむやにした後、ほとぼり冷めてから結局やりませんってその場しのぎの方便だから」

「はわっ、ごめんなさい。でも……」


 俺は画面にタッチしようとして……けれどやめた。

 まあ、どうせ可愛いじゃれ合いのつもりだったのだろう。

 っていうか俺も悪ふざけにのったしな。

 忖度スキルは本気だったかもしれないが……。


「はあ、冗談だ。お前とのやりとりは嫌いじゃないからな。でも時と場合は考えろよ。そうじゃないといざというとき判断を誤る」

《わかった。やっぱり頼経好きぃ~~》

「はいはい」

《反応が淡泊だよ!?》

「ば~~か、俺に黙ってたお返しだよ」

《はわわっ》


 からかうように優しく額を人差し指でついてやる。するとメティアの顔がゆであがったように真っ赤になり、表情を手で隠しスマホの中に引っ込んでしまった。

 あれ、怒ったのかな。からかいすぎたか。

 わるいことしたなあ。

 

 メティアの妙に高いテンションにどっと疲れた。

 だが後になっておもうと気を遣われたのかもしれないな。

 それというのも俺はようやく先送りにしていた件に向き合ったのだ。

 つまり自分の体に、である。


 結論から言うとやはり現在の体は女性型に近い。

 もったいぶった言い回しなのは生殖器官が存在しなかったからだ。

 転生したばかりの俺は人型形態の成長が早い。

 一月の間で胸が膨らんできて女性らしい体つきに変化している。

 こうなると嫌でも確認しなくてはならなくなった。

 そうして、仕方なく鏡に向き合ったんだけどね。


 ――絶望した。

 俺が男でも女でもないことにへこんだね。

 しばらくその場で崩れ落ちてた。

 いろんな体を掛け合わせた転生のせいかもしれない。

 便利で盛りすぎな能力だと喜んだが思わぬ落とし穴があったようだ。


 角さんがいずれ成長とともに性別が現れるかも、と慰めてくれたが気休めではなかろうか。

 もともと一角ウサギの支配種スノーラビットは希少で子孫を確実に残すため、伴侶に決めた相手に性別を合わせる。

 俺もその異性と番になるように性別が確定する可能性が高いらしい。

 それが俺に当てはまるのかはまだ情報が足りないそうなのだが。


 まあ、救いと言えばさすがの美人ぶりに照れてしまうぐらいだ。

 けど白百合とはそれほど顔似てないね。

 俺とスラユルの影響かな。


 しっかし今後は胸を隠すためにさらしを巻く手間が増えるのが億劫だ。

 部屋に不躾に乗り込んできたフォルケくんに裸を見られた事も億劫だ。

 あいつ俺の体を見て卒倒しやがったし。

 気絶するほど俺の体が気持ち悪かったのかねえ。

 まあ、生殖器官がなければびっくりするかもな。

 ……はああ。


 閑話休題


 遺跡の魔改造でこの鬱憤を晴らすとするか。

 そうして遺跡の解析と応急修理も一段落したこともあり俺は動き出す。

 この遺跡を魔改造しちゃるわ(寝不足でテンションだけは高いよ)。


 まずはこの遺跡空母だ。巨大な空飛ぶ原子力空母をイメージしてかんがえるか。規模はさらにでかいものだが。

 地上の城郭部分が巨大な甲板部分にあたり、天守が艦橋に該当する。

 ただし、射出カタパルト口などは地中に埋まって塞がっている状態だ。

 現状戦艦どころか駆逐艦すらない。

 今の天守は美咲さんによる後付の天守のため遺跡とほぼ非対応。

 見せかけだけの天守ともいえる。

 なので現在の実質的艦橋は地下の遺跡内にその機能を移していた。


「やっぱパワー不足が一番の問題か」


 初期起動と航行のための大出力のエネルギーが捻出できない。

 エネルギーとなる城郭神穂花の神核は現在引きこもり中の役立たずだ。


《動力は本来あの破損した神核なんだがさすがに死にかけの神は頼れないよねえ》


 さらに機関室にあるエンジン部の損傷も大きく復旧には時間がかかる。

 2基の補助エンジンは修復できそうだがそれでは浮いてからの移動はともかく浮上時の推力が不足していた。

 お手上げだと身振りで肩をすくめてみせるメティア。

 立体映像だからか消沈したエフェクトまで入るので芸が細かい。


「エネルギーは神力か。オーラでは補えないのか」

《出来なくはないけど効率が悪いし、神力とオーラでは質が違いすぎるね》


 詳しく説明を聞くとオーラを神力に変換することも出来なくはない。

 が変換時に大きなロスが生まれる。

 それに神力とオーラでは力の質が違うらしい。

 単純に比較は出来ないらしいが、たとえとして、神力1に対してオーラでその力を補うと、少なくとも10以上の力を必要とする。


《この馬鹿でかい城郭と地下の遺跡を空に浮かべるんだからそりゃあ大変だよね》


 スペリオルタイトの特製で質量を操作するにしても空母すべてに俺のオーラを流してはすぐに枯渇する。

 それにこの空母はスペリオルタイトだけで構成されているわけじゃないしな。


「メティアは代案あったりするか」

《あるよ》

「おおっ、さすがだな。聞かせてくれ」

《私の愛の力で……》

「戯れ言はいい」

《――即答!?》

「お前に聞いた俺が馬鹿だった」

《辛辣~~。でもそんなハードボイルドな頼経も素敵♡》

「……処置なしか」


 俺は首を振って妄想に浸るメティアを見限った。

 あの馬鹿AIはあてにせず自らのアイディアを提示する。

 空飛ばすための基本に立ち返るべきなのだ。


「ふむ。だったらいっそ物理的に軽くするか」

《どうやって軽くするの。遺跡の機材とか人を降ろしたりするの》

「論外だな。そもそも俺の計画だと大量の人を乗せて空を飛んでもらわないとならないしな」

《だね、美咲ちゃんの性格からいっても民は見捨てられないよね》


 そう、状況によっては民を乗せて撤退も視野に入れる。

 見捨てる事はあり得ない。


「じゃあ、どうするの。まさか遺跡の壁をくり抜くとか、縮小するとかいわないよね。下手な構造改変は強度の問題で不安だし、いくらスペリオルタイトでも脆弱にしすぎると加速時の増大するエネルギー質量で自壊して空中分解だよ。それに工期だっていくらあってもたりないよ」


 ふふふ、AIはやはり独創的な発想はまだ人間には及ばないようだな。

 俺はほくそ笑みつつ、スペリオルタイトのインゴットを手に持った。


「メティア、このスペリオルタイトのインゴットの質量を観測できるな」

《そんなの簡単だよ。なに、ふざけてるの》


 何を当たり前のことを、とちょっと機嫌が傾いたメティアの表情が驚きの表情に変わった。

 俺がアイテムボックスのスキル応用と特殊な技法を使ってインゴットの中身をくりぬいたのだ。スキルを使ったので作業時間は一瞬だ。


《えっ、質量がものすごく軽くなってる。でもそれじゃあ……って嘘でしょ》


 口元に手を当てて目を見開き俺をみる。


《強度が桁違いに高くなってるよおお。一体どうなってるの》

「俺の亜空間収納の遠隔ゲートスキルで中をくりぬいたんだ。スペリオルタイトは俺の意思を通して加工が容易になる性質も助かったな」

《スキル……これなら時間がかからないね。この中抜きしたのに強度が増すって……まさか》

「ああ、強度の向上はハニカム積層構造の技術を使ったせいだ」


 極小の三角の立方体を集合させて積み上げていくハニカム構造をイメージしてほしい。いうなればトラス型のハニカム積層構造といったところかな。

 インゴット全体を最高のポテンシャルになるようスキルAIで計算してくりぬいた。

 それもアイテムボックススキルによって一体成型加工を実現している。 

 ふふふっ、スキルという裏技あって可能になる工法だな。


 これって本来は実現不可能な構造体だろう。

 こんな妄想レベルの技法を可能とするスラユルのスキルは有能だね。

 それにスペリオルタイトもでたらめだ。

 本来は魔法やスキルをはじく性質もあるみたいだけどまるで意思があるように俺のスキルだけをスルーしてくれる。

 この金属は主と認めた所有者以外では加工を受け付けないし、主の意思に反応して性質も柔軟だ。

 俺がこの遺跡の城主になったのが原因らしいがそこは感謝だな。

 この基本変化しない不変の性質がある金属は無限の可能性を秘めた金属だ。

 これを使えばチート武具も作れる気がする。

 まあ、それも今は後回しだ。

 俺以外に加工が出来ないから頑張らないと。


《し、しゅごいよ。スキル演算でくりぬいてるから完璧な一体成形。むらなく安定した強度性能が担保されてるんだよ。これなら工期もスキルだからすぐおわるよね》

「さらにこれはどうだ」

《うわあ、これはえげつないよお……》


 俺はアイテムボックスからあらかじめ作っておいたインゴットをメティアに見せるとそんな感想が返ってくる。

 なにせこれはハニカム積層構造に加えて自動車の軽量化と構造強化に用いる粘着テープ(角さん監修)を自分なりに作成した。

 内部に施工することでどれだけ強度が増したのか聞いてみたがこれがとんでもない事になったらしい。


《頼経、中に使った粘着剤って魔導素材も使ったでしょ》

「ああ」

《魔導学的にとんでもない相乗効果を生み出してるみたい。演算したけど構造強度が元の千倍以上になるよ。……少しは自重しようよ》

「お前にはいわれたくないんだけど!?」


 普段から自重しない奴に言われると割とショックだ。

 でも今は寝不足のせいかハイになっている。

 俺は早くめどをつけていい加減仮眠を取りたいんだよ。

 そのためにはなりふり構っていられない。


「ふっふっふ、自重なんてゴミ箱に捨ててやる。この調子でガンガン魔改造していこう」

《うわあ、まだやらかすの。確かにこれならひとまず飛んで逃げるだけならいけそうだけど》

「まあ、非戦闘員も含めて民の避難計画となると実際はきびしいよな……(ウトウト)」


 飛空艇によって空から一方的に攻撃できる帝国軍相手にこの城郭では人々を守り切れない。

 制空権のあるなしで戦場の優位性は言葉通り天と地ほどに違ってくる。

 無論、ただで制空権を相手に取らせるつもりはない。

 対策も考えている。


 この広咲城内部と周辺部に数え切れないぐらいのスライムが密かに集結しつつある。

 スラユルはスライムのなかでも支配種の突然変異体。

 スラユルが庇護し、従えてきたスライムは数知れず。

 西側の大陸ではスライムの排斥が深刻でスラユルを慕って多くのスライムが海を渡って追ってきた。


 集結しているスライムの中にはスラユルの指導のもとで、独自の進化を果たした種もある。

 クラゲのように変形し、空を漂うクラゲスライム。

 重力に干渉して空に浮くグラビティスライム。

 風の魔法を使って空を飛ぶスカイスライム。

 爆炎の力で空をかっとぶジェットスライムなどなど……。

 俺が悪乗りで教えた現代知識を使ってとんでもない進化形スライムが続々と爆誕し続けている。

 スラユルがいなくなってからは角さんが現在スライムを統率し、絶賛やらかし中のようだ(全容は俺も知らされていない)。

 ほうれんそう(報告連絡相談)? あいつはどこかに失踪中だよ。


 極めつけが合体してより強力な個体になるユニオンスライム。

 このスライム合体能力が俺の計画の肝だ。

 もともとの防衛計画は城郭一帯を合体したスライムたちで膜のように包み込み、砲撃を防御。空からの攻撃は無力化する。

 そうなると地上部隊を降ろしての白兵戦になるだろう。

 そういった俺の見解をメティアに聞かせてやるとメティアが何やら考え事をしている。


《ふ~~ん、そんな手が……。――あ、そうだ。津軽藩の人たちの避難計画だけど私に一任してほしいな~~》

「ああ、それは助かる。俺は戦闘に集中したいからな。余剰戦力のスライムたちに協力を仰ぐといい」

《わ~~い、ありがとう》


 このときの俺は眠かったんだ。

 だから見逃した。

 メティアがめっぽう悪い笑顔で口角がつり上がっていたことを。

 聞くべきだったんだ。

 こいつの避難計画の詳細を。

 俺の不用意な許可のせいで後で頭を抱えることになる。



「さて、来る戦いのためにも艦橋(ブリッジ)の整備が必須だ。空母の航行操作と情報管制システムは戦場で重要な役割を果たす。これが無ければお話にもならない」

《ふむふむ、基本だよね》

「メティアにはこれら制御システム全般も任せたい。空母の量子通信技術を用いた超高速戦闘指揮システムと魔導術式中心で構成する魔導式の戦闘指揮システムの構築、並びに両者のリンクと切り替えの調整も出来るようにしたい。複数の通信技術でシステムを構築すればどちらかの通信が封じられても対応できる」

《確かにね。そのうち通信妨害技術を敵が導入してくるかもね。後回しでいいならそのアンチ対抗技術対策とアナログ式もやってみるよ。まあ優先順位は大分低くなるよ》

「当然だな。最優先は機関室のエンジンとあしまわり系修繕、つまり航行システムだ。次に情報管制システムだな。それ以降の優先順位は任せる。難しいだろうが頼むよ」


 俺はやってもらう詳細一覧を角さん経由でメティアに送った。


「ひとまず遺跡の内部に管制ブリッジを設置する。本当は天守を空母の管制ブリッジに改造するつもりだったけど今後建造する予定の戦艦を考えるとちょっと思うところがある」

《……あ、それを聞いて頼経が何を考えてるのか読めたよ。本当にとんでもない事を考えるよね》

「ははは、さすがメティア。俺の考えが読めたか」


 遺跡に残された戦艦の設計図だが、これも基本は城郭神を利用するシステムのようなのだ。つまり、他の城郭神を味方につけて動かしてもらわないと十全の戦闘能力を発揮できない。

 それと城郭神の能力によって戦艦の戦闘スタイルも一変する仕様だ。

 この戦艦の設計図、気になることに艦橋部分が抜けているのである。

 俺はこの抜けている艦橋部分をみてピンときたんだ。


《これでもだからね》

「腐れ縁的にな」

《――先回りけん制された!?》


 ふふふ、お見通しだよメティア。

 どうせ、つまりはおしどり夫婦だね、とか言いたかったんだろうが。

 だが俺はニンジンも忘れない。


「大変だと思うけどメティアなら出来ると信じているよ」


 これにはメティアの顔色が一変した。

 信頼されている。

 その思いをくみ取って俄然やる気を見せたのだ。


《任せてよ。完璧な仕事をしてみせるから……惚れろよ》

「……そこは惚れるなよって言うのがテンプレじゃないか」

《ぶう、だって~~》


 恋に猪突猛進なところは相変わらずだな。まあ、ある意味安心するいつものやりとりだ。




 一方、俺が遺跡の魔改造に取り組む中で、恐山に向かった美咲さんの方では大変なことになっていた。

 美咲さんは災厄たちと遭遇。恐山で戦闘になった。

 正直やばいかも。計画の大幅な見直しの必要が出てきた。

 美咲さんにつけた分身から送られてくる災厄の強大さは俺の予想を遙かに上回っていたのだ。奴らとまともに戦っても勝てる気がしない。

 なるほど、こんな戦艦用空母という超弩級兵器が必要となるわけだと納得した。

 ひとまず戦力が整うまで奴らとの戦闘は避けるのが基本戦術だな。

 やっても各個撃破が基本だ。

 美咲さんが逃げ帰ってくるころには事態が急激に進むことだろう。

 俺はさらに気合いを入れて戦準備に奔走することになる。

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